忍者ブログ
ハコの厚みはここ次第!
■ Calendar ■
05 2018/06 07
S M T W T F S
1 2
4 5 6 7 8 9
11 12 13 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
□ Profile □
稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
DQ11小説アンソロジー主催を勢いでしている傍ら、switch購入してバケツを愛でるイカであり、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコがあれば生きて行ける!
■ Booklog ■
□ search □

 ひょ! そんな顔で呆然とするヒョッヒョ爺さんを後目に、ガノのじっちゃんが奥へ駆け出した。
「今のうちに、旅の扉に飛び込むぞい!」
 イサークの兄ちゃんやセラフィの姉ちゃんや、カレヴァンの兄貴、わかめ王様が続く。オイラも見届け役として続かなきゃ! そう思って急ブレーキ。元人間の魔物達がその場で動かねーんだもん。
「どーしたんだ!? 急いで行かねーと、置いてけぼりにされちゃうぞー?」
 魔物の背中は誰一人振り返らない。唯一振り返ったのは、リリパットの兄ちゃんだ。彼は決意を固めたように、オイラ達を見た。
「私達は残ります。兵士長を残しては行けない」
 リリパットの兄ちゃんはぺこりと頭を下げた。きっとオイラの後ろにいるわかめ王様に頭を下げたんだろう。
「ムーニス陛下。どうか、残されたアラハギーロの民を、私達の家族を守ってください」
 わかめ王様は無言で下げられた頭を見ていたけれど、絞り出すような声で「死ぬでないぞ」と言った。リリパットの兄ちゃんは頭をあげ小さく微笑んだ。他の元人間の魔物達も振り返り、わかめ王様に見事な敬礼をした。もう、これが最後のお別れになる覚悟が、伸びた背筋や指先からヒシヒシと感じる。
「行くぞ! ルアム!」
 ガノのじっちゃんの声に弾かれるように、オイラは駆け出した。オイラは見届け役。この後もここに残るんだ。元人間の魔物達が今は戻れなくても、次、戻れるようにオイラが頑張らねーとな!
 追いついた時には、ガノのじっちゃんとカレヴァンの兄貴が素早く魔物の三人組を押し退けた所だった。一人はガノのじっちゃんのハンマーで吹っ飛ばされたのか壁にめり込んでるし、一人はカレヴァンの兄貴に押さえつけられて動けない状態だ。…ってあと一匹は?
『兄さん、旅の扉の裏側…!』
 オイラはバギの力をまとって飛び上がると、一気に天井近くまで浮かぶ。相棒の手が添えられるのを感じると、弓矢が瞬く間にピタリと旅の扉のような青い光の裏側にいる最後の一匹に合わさる。仲間がやられて怒り心頭って感じの奴に、相棒のサンダーボルトが命中した!
 ガノのじっちゃんが旅の扉を入念に調べる。いくつもの魔法陣が青い光を取り囲み、オイラには全くわからない図形が次々に現れては消えていく。ガノのじっちゃんの指先は、ベテランの指揮者のように淀みなく素早く宙を舞って魔法陣を操作する。すごく長い気がしたが、オイラが着地して新しい矢を番えて歩み寄った時には全てがふっと消えた。
「よし。流れ込む魔力に乱れは無いようじゃし、動作は他の旅の扉と変わらぬ。恐らく…大丈夫じゃろう」
 じっちゃんが振り返り、全員を見遣った。
「行くぞ」
 皆が頷き、最初にガノのじっちゃんが飛び込んだ。よく見る旅の扉に飛び込んだ時のように、青い光はドワーフの体を飲み込み強く輝いて元のように小さい淡い光の玉に戻った。わかめ王様が、イサークの兄ちゃんが続く。その様子を、オイラは食い入るように見ていた。特に変な様子もないし、淡々と旅の扉で移動していくように見えた。
 カレヴァンの兄貴が促すように、セラフィの姉ちゃんの背に頭を押し付ける。
「カレヴァンさん。私、ルアムさんにアラハギーロの皆を宜しくってお願いするから、先に行って」
 がう。そう一鳴きして、カレヴァンの兄貴が旅の扉に向かう。旅の扉が開かれる瞬間、セラフィの姉ちゃんが兄貴に小さい鞄を投げ渡した。兄貴が驚いた様子で振り返る。光に包まれて霞んでいく兄貴に、セラフィの姉ちゃんの声が響いた。
「さようなら! カレヴァンさん!」
 声が聞こえたかどうかはわからない。もう、姉ちゃんが言い切る前には光は兄貴を飲み込んで、兄貴を連れ去ってしまっていた。
 少し前に立つ姉ちゃんは、肩を震わせ泣いていた。ぽつぽつと砂に降り注ぐ雫は、青い光に照らされて空色に輝いている。
「兄貴は、姉ちゃんに笑って生きて欲しいんだ。後悔するんなら、行きなよ」
 姉ちゃんはぐいっと目元を拭ったんだろう。そして旅の扉に背を向けて、足早に歩き出した。青い光は姉ちゃんの顔に影を落としていて、どんな表情かは見えなかった。
「仲間を置いて行ったら、絶対に後悔するから」
 固い決意がある声だった。姉ちゃんの言う仲間が『元人間の魔物達』なのか『元々魔物で人間になってしまった者達』なのか、それとも両方のことなのかはオイラにはわからなかった。でも、きっと、姉ちゃんはカレヴァンの兄貴の分までここで頑張るって気持ちで残ったんだろう。
 オイラは『そっか』と答えて、旅の扉を見るために一度だけ振り返った。
 神様、皆にご加護を。

前半終了!長かったー!!!ここまでの文章量と同じくらいのボツ出してるから、感慨もひとしおですー!
後半はささっと書けるといいなぁ!
PR


Comment
Name
Title
Color
Mail
URL
Comment
pass

Copyright © ハコの裏側 All Rights Reserved.
Powered by Ninjya Blog
忍者ブログ・[PR]