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ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
DQ11小説アンソロジー主催を勢いでしている傍ら、switch購入してバケツを愛でるイカであり、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコがあれば生きて行ける!
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「嫌だ」
 私はきっぱりと言った。
「私はホイミスライムだった頃から何も変わらない。誰にも死んでほしくないし、傷ついてほしくない。でもあのバッファロンは死んでいて、死んでいるのにあんなに苦しんでる。苦しみを取り除く方法が殺すだけしかないなんて、納得したくないんだ」
 私の言葉が空間に溶けて消えていってしばらく、誰も口を開こうとはしなかった。重い沈黙が支配して、私も聞いちゃいけないことなんだろうかって思い始めた頃、タジウスさんが頷いた。
「わかりました。私もここで死ぬかもしれない。誰かに知って貰いたいのかもしれません」
 タジウスさんは硬い口調で、黒いバッファロンのことを語り出した。
 黒いバッファロンは、魔物になる前はゴリウスという名のアラハギーロ王国の兵士長でした。厳しくも王国の民のことを第一に考える、優秀なお人でありました。
 戦争が始まる前は、ベルムド殿とゴリウス兵士長の関係は険悪ではありません。魔物使いが連れて歩く魔物に恐怖を抱く住人の気持ちを代弁するゴリウス兵士長の言葉を、ベルムド殿は理解していました。逆に魔物使いが住人達に配慮していることを察して、強い規制を魔物使い側に強いなかったのもゴリウス兵士長なのです。
 そんな彼らの関係が崩れたのは、この一連の騒動の発端。アラハギーロを襲った魔族達との戦争でした。
 魔族は見渡す限りの砂丘が黒く埋め尽くされるほどの魔物の軍勢を率い、アラハギーロ王国を襲ったのです。それは、あまりにも絶望的な戦場でした。北方のグランゼドーラ王国にも魔族の手が伸びていると報告があり、援護は望めません。逃げられる女子供をダーマ側に避難させる手筈になっていましたが、我々がその逃げる時間を稼げるほどに防戦できるとは到底思えなかったのです。我々兵士一同、この地が死に場所だと覚悟を決めました。
 そんな中でゴリウス兵士長は、魔物使いが連れている魔物達を盾にする作戦を立てたのです。
 実際、その作戦で我々が生き延びられるとは、誰一人思えませんでした。ただ、ゴリウス兵士長は魔物達を盾にし、兵士達全員を地獄に道連れにしても、一秒でもアラハギーロの民が逃げる時間を稼ぎたかったのでしょう。
 しかし、ベルムド殿はその作戦に猛烈に反対したのです。
「ゴリウス兵士長はとても厳しいお人でした。あまりの厳しさに、優しさを感じることは滅多にもありません。故に、ベルムド殿はその時、魔物と我々人間の兵士が同等に扱われていた事を知るよりも前に、怒りを感じてしまったのでしょう」
 タジウスさんが一つ咳払いをして再び言葉を紡ぎ始めた。
 我々が次に気がついた時には、戦争は終わっていました。結果は、我々の全滅と言って良いでしょう。戦争に参加した兵士達は魔物の姿となり、ベルムド殿と魔物使いが連れていた魔物達が人の姿にいつの間にかなっていたのです。目を見えなくされて昼も夜も関係なく歩かされ、今のアラハギーロのモンスター闘技場の地下の牢屋に囚われました。
 一番最初に牢を出されたのは、ゴリウス兵士長でした。
 そう、ゴリウス兵士長こそがあのアラハギーロのモンスター闘技場で行われた、死闘の末に処刑される最初の被害者だったのです。兵士長は多くの民が自分の傷つく姿に熱狂する様を見せつけられ、圧倒的な力でベルムド殿にねじ伏せられ、地べたに這い蹲る姿を自らの子に見せつける。屈辱の限りを尽くされて殺されてしまったのです。厳しく、プライドも高かった兵士長が憎悪を募らせ悪霊になったとしても不思議ではありません。
「兵士長はたとえ魔物であってもアラハギーロの民を傷つけるなど、決してするような人ではありません。もはや、兵士長の姿を借りた悪霊であります。これ以上の醜態を、兵士長こそが望んだりしないことでしょう」
 タジウスさんは目元を拭い、夕暮れに赤く色づくオアシスを見つめた。
「私がゴリウス兵士長の怨念を討ち取らねばならない。たとえ、命を失うことになったとしても…」
 その言葉に滲んだ決意は、とても固く感じた。

アラハギーロ編ってゴリウスさんが魔物に化けてたのかと思ったら、ガチの生身の人間の兵士長だったんだから人間って怖いよねーって所が闇が深い。でも、兵士たちが皆付いて行くんだから、ゴリウスさん本当は良い人だと思う。アラハギーロの本棚の本が怖すぎて、割と良い人ってフォローができないの残念ですけど。これが私の精一杯のゴリウスさんへのフォローです。はい。
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