忍者ブログ
ハコの厚みはここ次第!
■ Calendar ■
03 2018/04 05
S M T W T F S
1 4 5 6 7
9 10 11 14
27 28
29 30
□ Profile □
稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
DQ11小説アンソロジー主催を勢いでしている傍ら、switch購入してバケツを愛でるイカであり、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコがあれば生きて行ける!
■ Booklog ■
□ search □

 ルアム君は黙って聞いていたけれど、ふと立ち上がってじっと空を見る。空は夕暮れの橙から夜の紫苑へ移り変わろうとしていた。空気はまだ温んでいるが、それも太陽がストンと岩山の向こうへ消えてしまえば冷えて行くだろう。討伐隊の人達が松明に火を灯し始め、松脂の独特な香りが鼻先を掠めて行く。
 夜が来る。黒いバッファロン、ゴリウスさんは最近は毎晩のように来る。来たら、戦わなきゃいけないだろう。それで倒されてしまっても、私はそれを止めることはできない。
 日中は今の陰鬱さを吹き飛ばすような賑わいを見せていた市場が、火を消したような静けさに包まれていた。店主は口数すくなげに店を畳み、帰り道を行く住民達の暗い顔には恐怖が隠しきれずにいる。オアシス周囲を賑わす酒場や飲食店は、椅子やテーブル、酒瓶や樽の類を倉庫に片付けている。危険な魔物が出る場所で、店なんか営業できないんだろう。
 日が落ちて、夜がやってきた。薄曇りの空に星はなく、松明の光で仄かに赤く染まっている。
 虫も民も息を潜め、討伐隊が息を詰めて外を見つめる。そんな中、北の塔から鏑矢が放たれた! 甲高い音を立てて、矢が赤い雲に吸い込まれて行く。きたぞー! 黒いバッファロンだー! そんな声が津波のように押し寄せて来る。
「ごめんな。タジウスの兄ちゃん」
 ルアム君が爪を腕に固定しながら囁いた言葉に、タジウスさんは頭振った。
「いや、詫びるのは我々の方だ。貴君らの力を借りねば、兵士長を止める事ができない非力を悔やむばかりだよ」
「気にしなくていーよ。これは、オイラ達が選んだ事だから」
 ルアム君は明るい声で言った。そして赤い毛皮を膨らまし、弓を空に放つ。弓を扱う者達の放つ聖星の守り弓の輝きが、輝く星屑の雨となって討伐隊の人々に降り注ぐ。僧侶の人達がスティックを片手に、人々に災いを退ける呪いをして歩く。星の守りと災避けの呪いは重複して掛けられるから、黒いバッファロン対策として全員に行き渡るように施された。
 バイキルトが、スクルトが、ピオリムが、高らかに唱えられ緊張が高まっていく。
 ……だ。ベ…ムド…。どこ…いる。
 声は徐々にはっきりと聞こえ、大きくなってきた。そしてついにモンスター闘技場の屋根に、巨大な影が現れた。
 出てこい!ベルムド!貴様を殺さねば、この怒り、恨み、憎しみに狂ってしまいそうだ!
 その声は咆哮となってアラハギーロを震撼させた。
 誰かが『撃ち方始め!』と言った気がした。薄曇りの夜空を赤く染めるほどに、赤々とした鳥達が無数に舞い始めた。雷の力を蓄えた矢が無数に放たれ、オアシスの水に反射した光と相まって黒いバッファロンの姿を浮き彫りにする。私はその光景を思わず綺麗だと思ってしまった。
 黒いバッファロンは炎も雷も悠然と退けていたが、執拗な攻撃を煩く感じたのか、それとも本来の目的であるベルムドさんを探すためなのか中庭に降りて来る。橋の前に陣取る私達は、その巨体が舞い降りた衝撃を体で感じた。
「今だ! 呪文を放てー!」
 誰かの合図に合わせ、隣に居たルアム君やオアシスの周りに待機していた魔法使い達が高らかにヒャダルコを唱えた! 空気が輝いたと思った瞬間、オアシスの水から無数の氷柱が生まれる。その柱は屋根を瞬く間に生み出し、次の瞬間崩れ落ちる。黒いバッファロンは崩落した氷の屋根の下敷きとなり、氷の瓦礫が次々と生まれて黒いバッファロンを完全に閉じ込めた!
 息を飲んで見守る事暫く、バッファロンの動きが止まったのを見て歓声が上がった!
「やった! 僧侶達が寝ずにオアシスの水を祝福した甲斐があったな!」
「これで、悪霊の動きは封じられた! 後はじっくり浄化して、昇天の梯を昇らせてやれば良い!」
 え? 私は目の前で起きていることが、信じられなかった。
 殺すしかないと思っていた。殺すことがどんなに嫌なことでも、黒いバッファロンを殺さなければアラハギーロの仲間達が苦しむ。何方かに傾けなくてはならない天秤、両方取ることができない選択肢。私は、きっとバッファロンを殺すことを選ばなくてはならないと分かっていた。
 なのに、ルアム君の仲間達はその力で、私には不可能なことをやってのけた。
 すごい…!
 私の視界が揺らぎそうになった時、耳の奥にこびり付いていた耳障りな笑い声が突如響き始めた。


アストルティア5大陸選抜の冒険者達なので、少数精鋭の猛者達です。
DQ10では最大8人パーティで、エセタークやらダークドレアムを倒したりするんですが、皆ヤベーくらい強いので現在ではそれほど強敵という分類ではなくなりつつあります。私なんかへっぽこなんて、弓ポン撒いたり補助してるうちに火力ある人が潰してましたからね。本当に猛者って強いです。

当然。これで終わりではありません。アラハギーロ編の後味悪さはこれからが本番。
PR


Comment
Name
Title
Color
Mail
URL
Comment
pass

Copyright © ハコの裏側 All Rights Reserved.
Powered by Ninjya Blog
忍者ブログ・[PR]