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ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
DQ11小説アンソロジー主催を勢いでしている傍ら、switch購入してバケツを愛でるイカであり、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコがあれば生きて行ける!
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「ヒョッヒョッヒョ! なかなか、やるじゃないですか!」
 この声はヒョッヒョマン! 声の方に振り向けば、黒いバッファロンを閉じ込めた氷の傍にヒョッヒョマンが立っていた。氷に手を触れながら、モノクルに指をかけ矯めつ眇めつ眺めている。ほうほう、これは霊体を具現化する魔法媒体がどこかにあるんですね。ほぅ! この橋の上の煉瓦に仕込んでいるのがそうですか! オアシスの水を祝福し、聖水化させるのはなかなかのアイデア。ふむふむ。
 そんなの待ってあげるほど、お人好しじゃない。城壁に待機していた弓使い達が一気に、射かける!
「おやおや。私の思考を遮るとは、無粋の極みですよ」
 杖の先端が怪しく光ったと思った瞬間、オアシスから次々と氷のドラキー達が飛び出して矢の前に躍り出る! ドラキー達が砕けた氷を浴びながら、ヒョッヒョッヒョ! と高笑いだ。なんか、命を粗末にして笑ってる気がして凄く嫌!
 ルアム君が一拍タイミングをずらして放ったサンダーボルトが、ドラキー達の合間を縫ってヒョッヒョマンに迫る! 当たる! そう思った瞬間、矢が弾かれた。ヒョッヒョマンの傍に鞭を構えた、グランゼドーラの兵士が立っていたのだ。ベルムドさんを殺したバスラーって奴と同じくらい、この男も嫌な感じがする。
「キルギル様。実験はここまでです。後はこのゲゾラにお任せ下さい」
「まぁまぁ、ゲゾラ君。お待ちなさい。ゴリウス君は、もう少し出来る子なんですよ」
 ほぉら。そうねっとりとした声と、促すような手に誰もが氷に閉じ込められたバッファロンを見る。ひゅうっと風が通り抜ける音すら聞こえるほどの沈黙の中、囁くような声が聞こえる。お腹の底から冷えるような、呪詛の篭った声。ベルムド、どこだって。嘘。だって、バッファロンは指一本動けないじゃない…!
 バッファロンが一歩進み出る。氷なんか存在しないんじゃないかってくらい、スムーズに動き出す。一歩。二歩。動き出すけれど、誰もそれを止めることはできなかった。だって、矢を射かけても、炎の魔法を唱えても、氷に阻まれてしまうって誰もが分かるんだもの。
「氷から出てきた所を一斉に仕掛ける! 魔法使いはイオナズンの詠唱準備! 近くの者は急いで離れろ!」
 指揮官だろう男の人の声に、ルアム君の耳がピンと立った。私の手を取って後ろに駆け出そうとする。
「姉ちゃん! タジウスの兄ちゃん! 行こう! 魔法使い達は最高火力に練り上げたイオナズンを放つはず! オイラ達も巻き込まれちゃう!」
 ルアム君の言葉に嘘偽りはなかった。魔法を使える者達の魔力が膨れ上がり、まるで篝火のように光りだした。空気がチリチリと痛みを感じるほどに熱を帯び始め、空気が集約されていく。ヒョッヒョマンもゲゾラって名前の鞭の兵士は慌てた様子もなくそこに佇んでいるけれど、最前線で向かい討とうとした戦士達が慌てて下がって来る。
 逃げる戦士達をかき分け、前に進み出る影がある。小柄なその影は、灼熱する空気の中で手を広げてバッファロンの前に立った。
「誰だ! 命令だ! 下がれ! イオナズンに巻き込まれるぞ!」
 熱された空気が小柄な影の衣を焦がす。フードを取り見上げたその顔は、リリパット!
「父さん、僕です。タジウスです」
 ついに氷から抜け出したバッファロンが、天を仰ぎ咆吼した。臓腑を揺さぶるような恐ろしい雄叫びなのに、タジウスさんはそのまま立ち続けた。バッファロンは月を掴むように両手を挙げ、タジウスさん目掛けて振り下ろそうとしている…!
「イオナズン、中断! 東側、メラミでバッファロンの姿勢を崩せ!」
 命令が変更され、真横から火の玉がバッファロン目掛けて放たれた! 解放されるべく溜まっていたイオナズンの力にも引火して、バッファロンに着弾した火の玉は大きく爆発した。それでも黒いバッファロンは微動だにしない。怒りを塗り固めたような赤い瞳は、タジウスさんに向けられたままだ。
 タジウスさんは静かに、心を込めてバッファロンに訴えかける。
「貴方なら魔物の姿であったとしても、この国を守ったはずだ。例え、人々に石を投げられ、追いかけまわされようと、誇りを掛けて守った国と同じ風景を守っていきたいと、僕達を率いていたはずだ。そうでしょう?」
 バッファロンの手が止まる。
「貴方なら、こう言うはずだ。我々はアラハギーロの誇り高き兵士。姿形など、何ら問題ない…と」
 呻き声が聞こえ出した。ほこ…り…誇り…アラ…ギーロの…士…。黒いバッファロンから、初めて『ベルムド』『どこだ』以外の言葉が紡がれた気がする。闇の中手探りで進んでいる魂を、誰もがじっと見守っていた。
『そう…私は…ゴリウス…誇り…高き……兵士…長…』
 バッファロンの手は、ゆっくりとタジウスさんの肩に触れた。
『タジウ…ス…』
「父さん…!」
 タジウスさんがゴリウスさんの手を取った後ろ姿を見て、思わず視界が歪んだ。ベルムドさんに殺された恨みで狂い、我が子まで殺そうとしたゴリウスさんが正気に戻ったんだ…! 家族の愛が、憎悪をかき消した! やっぱり、愛の力は凄いんだ!
 誰もが胸を打つ感動に目元を潤ませていた。
「ヒョーーッヒョッヒョヒョ! ワシったら、こういう展開に弱いのよねー!」


あーもう、こういう感動的流れをヒョッヒョ切りとばすヒョッヒョマンまじヒョッヒョ(語彙力)
グランゼドーラ組は、本当にグランゼドーラからの登場だと唐突すぎるものでして。ゲゾラさんもヒョッヒョ共々早めの登場です。
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