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ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
DQ11小説アンソロジー主催を勢いでしている傍ら、switch購入してバケツを愛でるイカであり、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコがあれば生きて行ける!
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 翌日、私達はグランゼドーラ王国の門を潜る事になった。
 マデサゴーラ様の書状を門番さんに見せると、あれよあれよと偉い人がやって来て謁見を許されたのです。ですが、アンルシア姫は『勇者姫』として、グランゼドーラ領内で暴れている魔物達の討伐でお忙しいそう。今朝方に発たれて、帰還は昼頃とのです。私達は城の中にある数多くの美術品を鑑賞して、勇者姫様のお帰りを待つことにしたのです。
 勇者アルヴァンの物語が大好きなミシュアさんも、勇者の像に歓声を上げています。
 グランゼドーラ王宮の門を開いて真正面に位置するのが、大剣を雄々しく振り抜いた勇者の石像。一千年前、不死の勇者と相討ちして世界を救った勇者アルヴァンの勇姿と偉業を後世にまで伝えるために、王家の血縁であり当時最高の彫刻師であったエルノーラが魂を注いだ傑作と言わしめる一作です。恐らく使われているのは、鉱山資源に恵まれたリャナ地方の最高品質の大理石。磨けば真珠の輝きを放つとされる一級品です。マントが広がる様、服のシワを計算に入れた模様の活かし方、本物の質感を彷彿とされる彫り、どれもが息をのむほど。大剣を振り抜くがための筋肉の躍動、髪の乱れ、衣類のシワの刻まれ方、それらが一体となった躍動感あふれる作品です。凛々しい勇者の表情に、石碑の前で見上げる私達の背もぴんと伸びるようです。
「凄い! 凄いわ! 勇者アルヴァン様はこんな姿だったのね!」
 私はミシュアさんと手を取って、石像の前で小躍りします。
「たかが 石像 じゃないか…」
 全く! ラチックさんは、女心がわかってないんですから! こんな素敵な殿方を、こんな素晴らしい技術で現代に伝わったことがどれ程に尊いことか…! あぁ、スケッチブックの残り枚数に気をつけないと、アンルシア姫様を描く枚数が確保できないかもしれない! ピペ。我慢。がまん。
 背後がざわめく。馬が嘶く声が聞こえ、多くの足音が響き始めた。門が開かれ、兵士が金のファンファーレを鳴らし、高らかに勇者アンルシア様が帰還されたことを場内に響かせた。警備の兵士達が集まり、厨房の料理人や、侍女達が深紅の絨毯の脇に整列して居住まいを正す。
「お客人」
 声を掛けた主を見ると、華美ではない堅実な身なりの老人でした。彼は侍従頭のダイムさんで、アンルシア姫様を待っている間は遠巻きに控えてくださっていたのです。彼は口元に柔和な笑みを浮かべて、誘うように手を指し示しました。
「さぁ、我らが勇者姫様のご帰還です。ご挨拶を致しましょう」
 ミシュアさんの赤いエプロンドレスのような、深紅の絨毯を進むと門を正面に立ちました。大きなファンファーレが再び鳴り響くと、絨毯の傍に並んでいた兵士や従者達が一斉に頭を垂れたのです。私達はダイムさんの後ろから、武器を掲げ歩み寄る勇ましい戦士達の姿を見たのです。先頭を歩く小柄な影は魔物の血を浴びているのか濃紺色の外套とフードは、漆黒のシミが不自然に見て取れます。
「ダイム。城内は変わりないか?」
「勇者姫様が領内の魔物を討伐されておられるおかげで、この城内は花瓶の位置一つ変わらぬほどでございます。…と、申したいところですが、先日ご来訪されたマデサゴーラ様の書状を携えたお客人がおいでです」
 小柄な影が強張ったのが見えました。ピクリと、それはほんの些細な引き攣りにすぎませんでしたが、返り血を浴びないために体をすっぽりと覆った外套の裾はその僅かな動きを大げさに表してしまったのです。恭しく差し出された蜜蝋の封が押された便箋を受け取り、ダイムさんが傍に下がる。
 私達を見た小柄な影は、今度こそ大きく驚いたのか肩が動いておいでです。外套の影から色白く細い腕が2本現れると、首元の金具を慌てて外そうとされる。絡んでいつもよりも手間取った金具を外すと、その細い腕はフードを掴み外套を脱ぎ捨てたのです。
 !
 私達は言葉を失いました。
 緩く癖のある亜麻色の髪。色白い肌に際立つ、青い瞳。そう、それは。
「私…?」
 それはどちらの声だったのでしょう? 声までもそっくりだったのです。鏡合わせのように二人の女性が立っている。ミシュアさんとアンルシア姫は、まるで双子のように何もかもが似ていたのです。


芸術家ピペだと芸術品の感想が倍になります。

あ、ちなみに私のハイキューの推しは、田中先輩です。
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