忍者ブログ
ハコの厚みはここ次第!
■ Calendar ■
04 2018/05 06
S M T W T F S
5
10
13 15
21 25 26
27 28 29 30 31
□ Profile □
稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
DQ11小説アンソロジー主催を勢いでしている傍ら、switch購入してバケツを愛でるイカであり、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコがあれば生きて行ける!
■ Booklog ■
□ search □

 アンルシア姫様は私達のために、歴代の王族の住処を客室として解放してくださいました。
 東の塔の最上階の部屋をアトリエとして私とラチックさんに、ミシュアさんは西の塔の最上階を与えてくれたのです。塔は城と直結していて、最上階であっても階段の上り下りをしなければならない不便さはありません。アンルシア姫様の私室よりも奥まった場所にあって恐縮なのですが、姫様は少しの時間も惜しいので遠い部屋に住みたくないとおっしゃいました。
 アンルシア姫様は、目も回るご多忙の日々を過ごしておられます。
 目下の問題はグランゼドーラ領内の魔物の討伐。被害が出ればたとえ食事中であっても、飛び出して行かれます。被害がなくとも、朝と夕方に必ず巡回。巡回でも会敵すれば戦闘となり、戻って来たのは深夜であったことは珍しい事ではありません。
 グランゼドーラの民の生活も姫様の細い両肩に乗っており、城内でお過ごしの時は執務机に噛り付いておられるのです。
 私はアンルシア姫様を見て、彼女は何時眠っているのか分からなくなります。兵士さんにお尋ねになっても、『姫様がお休みになっているところは見たことがありません。あぁ!身を粉にして働く我らが勇者姫の庇護は、母のようであります!』と答えられる。
 確かに姫様はお強く、人々を導こうと頑張っているお姿は頼もしい。でも、その重責を和らげようという思いやりよりも、勇者という人を超えた力ゆえに崇拝の念を持ってしまう人が多いようです。
 お疲れになるでしょうに。
 人々の中心にいながら、孤独であると思えてしまいます。
 アンルシア姫様は私の元にも足繁く通ってくださいました。私はダイムさんにお願いして、姫様がお好きなお茶を用意していただき、ミシュアさんが焼いてくださったクッキーでおもてなします。まずは一番魅力的な姫様を見つけること。自然体の姫様をデッサンするということに偽りはないため、姫様も徐々に小さなお茶会を楽しまれるようになってきました。
「アンルシア姫様は、どんな方が盟友になると思っているんですか?」
 記憶喪失のミシュアさんが厳密に何歳かはわかりませんが、お茶会を重ねる度に仲良くなってきました。ミシュアさんは元々、勇者アルヴァンの物語が大好きなものですから、当代の勇者姫様に興味津々です。
「盟友か…。まだ勇者として覚醒もしていない身で、盟友のことは考えれぬな」
 グランゼドーラは勇者の王国。人間の種族神グランゼニス様が特別な力を授けた血筋の中から、危機が訪れる時に勇者として覚醒する特別なお人が生まれるのです。覚醒するとアストルティアの空を黄金に染めるほどの、清らかな力が迸るのだとか…。勇者様は悪しき者と戦うための様々な力を得るとされますが、その中で最も特別なのが『盟友』という存在なのです。
 盟友は勇者の傍に存在する、盾であり剣であり、そして心の支えなのです。しかし血筋や生まれに関係ないそうで、勇者と一際強い心の結びつきをした存在が盟友となると言われています。
 姫様の苦笑は、自身の孤独を嘲笑っているかのようでした。
「アンルシア姫 頑張ってる。倒れなければ 勇者 なれる」
「そうよね! 頑張りすぎて心配になっちゃうわ!」
 ラチックさんとミシュアさんの言葉に、アンルシア姫が目を丸くしました。
「私の心配をしているのか?」
「そうですよ! 魔物退治に王国の執務、朝から晩まで働いていたら疲れてしまうものですよ。アンルシア姫様は確かに強くて頼りになるお方ですけど、人なんですもの。きちんと睡眠や食事をして、心穏やかに生きていいんですよ」
 ミシュアさんはアンルシア姫様ににっこりと笑って見せました。その笑顔に、アンルシア姫様の頬をさっと朱が挿したのです。
「盟友を得るとは、こんな心地なのやもしれぬな…」
 そう紅茶を啜る横顔は、凪いだ湖面のような穏やかさがありました。
 必死さばかりのお顔でしたが、こんな表情もお見せになるのですね。私はスケッチブックの上を軽快に走り描かれた表情を見て思うのです。でも、足りない。この姫君の見えない部分が絵を軽くしている。上辺だけの姿を紙に留めただけでは、とてもマデサゴーラ様を満足させる一品にはなり得ないのです。
 私はミシュアさんと本物の姉妹のように笑う姫君を見ました。お茶の暖かい甘い空気。気遣いの心地よさ。笑いあえる友人。しかし彼女が勇者である限り、この空気にばかり身を置くことは許されない。
 ぽっかりと大きな空白のようなもの。それを埋めるのは何なのか。
 勇者としての彼女が見たい。私は強くそう思ったのです。

とりあえず、前半終了といたします。このタイミングを逃すと機会に恵まれなくなるので、アンルシア姫の人となりを少し掘り下げておきました。

やることがいっぱい!
面接も行なって、再就職先を探し始めてまっすよー!

拍手に感謝!ぱちぱちっとありがとうございます!
PR


Comment
Name
Title
Color
Mail
URL
Comment
pass

Copyright © ハコの裏側 All Rights Reserved.
Powered by Ninjya Blog
忍者ブログ・[PR]