ハコの厚みはここ次第!
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■ Profile ■
稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
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余が腕を振るうと、時見の神殿の天井が割れた。王宮中央にある環境維持装置が生み出す大量の水が球体となって、綿毛のように緩やかな時に身を任せて降りてくる。その水飛沫の間を、凄まじい勢いで降りてくるのはヘルゲゴーグ達だ。
赤い光の線が走る体にこびり付いた血や肉片を、停滞する時間の中に置き去りにして、四肢で床や壁を激しく抉りながら疾風のように駆けつける。その額から伸びるの先端を飾る宝石が、隆盛のような光の尾を描いて美しかった。
デク人形が企画した『黄金刑』をつまらないと思ったが、王宮に多くのエテーネ人が集う良い機会だと判断した。ヘルゲゴーグを放ち、効率よく時渡りの力を集める事ができる。メレアーデとクズが共謀し、多くの人間が地上に逃げ果せるという余計な事をしおった。それでも『時の指針書』に従って留まる者だけでも、これだけの力が集まるなら上々と言えよう。
十はいるだろうヘルゲゴーグ達が『時見の箱』を囲むように床に着地する。
停滞する時間の中で引き伸ばされた音を聞きながら、ヘルゲゴーグ達が背筋を伸ばし『時見の箱』に角を向ける。光の柱が『時見の箱』へ伸び、眩かった光が空間を飲み込み全てを白く染め上げる。
おぉ! 余の感嘆の声を聞きながら、未来を見る為に意識を集中する。高齢の父上に代わり時見の司祭の神事に関わるようになった年月を思えば、呼吸するのと等しい慣れた行為だった。
いつもならエテーネ全土の民の未来が、風景を見るかのように感じ取れた。民の行いが風のように向かうべき方向へ流れていく。司祭の時渡りの能力を補佐する『時見の箱』が、余の見た未来を実現すべく最も合理的な言葉を『時の指針書』に書き連ねていくはずだった。
真っ白い光が晴れぬ。
「なぜだ! なぜ、何も見えぬ! この状況を切り抜ける未来を、どうして見せぬ!」
余はエテーネ王国の国王ドミネウス! 世界中の愚民共を導く、偉大なる王となる存在であるぞ! 余は腹の底から、人生で最も大きな声を張り上げる。
「どうした、箱よ! 応えろ!」
箱は相変わらず光を放ち続けるが、満たされた力が増す感じがしない。なぜ、求めに応じぬ。エテーネ王国中の時渡りの力で溢れんばかりの箱から、一片でも力を与えられれば、余はこの窮地を容易く脱する事ができると言うのに!
神器と呼ばれるも所詮は箱。時渡りの力を持つ者の補助しかできぬ、道具に過ぎぬのか!
矢はもう手を伸ばせばすぐの場所に迫っていた。時の停滞を解除すれば、瞬く間に眉間を穿ち抜くだろう。いつまでも代わり映えのない世界に、焦りが黒いシミになって落ちる。
「えぇい! ここぞとばかりに役に立たぬ箱め!」
叩きつけた言葉と同時に、何か鋭い物が背中から胸を貫き、胸を張った拍子に顎が上がる。『時見の箱』の眩い光が網膜を灼く。込み上げる熱が喉を遡って口から溢れた。ドクドクと心臓が脈打つ毎に、口からごぼりごぼりと次々にあふれて息を吸う事もできず溺れそうだ!
「俗物が…」
低い声が耳朶に触れると、時が動き出す。
大きく開いた口腔の中から頭に向かって衝撃が貫く。
中編完走!さらば、ドミネウス!
拍手に感謝!ぱちぱち嬉しい!ありがとうございますー!
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