ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 ちーがーいーまーすー。本人は大きく口を動かして否定したが、誰一人『そうですね』と同意してはくれないだろう。俺とピぺとケネスは勇者の仲間として王国に召集され、待機を言い渡されている。ピぺが勇者一向を肖像画に残してからというもの、ケネスは世界宿屋協会警備部長ではなく勇者の仲間という認識だ。
 あーあ。古い馴染みの客の護衛をアインツに任すの超不安。先代盟友の美しい顔を睨みつけながら、ケネスが恨みがましく言った。
「あんのちび助め、余計な真似しやがって…」
「俺 嬉しいぞ」
 俺はケネスの背後から手を回して、首筋にぐりぐりと頭を擦り付けた。魔物は親愛の対象に匂いを付ける習慣があって、その癖は人間になっても抜けやしない。
 やめろって! ケネスが暴れるが、体格差と俺の手が完全に捉えた状態じゃ逃げられない。笑う俺の姿を、巡回の兵士達はいつもの戯れ合いかと視線を戻した。
 俺は胸に回した手を緩めて、ケネスの耳元に囁いた。
「ケネス。勇者って なに?」
 顰めた低い声が耳に滑り込み、ケネスは腕の中でさっと視線を走らせた。赤と碧が移ろう不思議な瞳が、聞こえる範囲に兵士がいない事、雨音が声を相殺する事を確かめる。何気ない仕草で前を向くように促され、俺達は勇者と盟友の像を見る今代の勇者の仲間達という体になる。
 屈めた体を起こした俺を、ケネスは見上げる。
「どうした? そんな抽象的なお問合せじゃ、一般常識程度の答えになるぞ」
 大魔王がアストルティアに現れる時、グランゼドーラ王家から生まれる勇者。創作する上の情報収集として、世界中のあらゆる文献を読み漁っているピぺの親代わりなら当然の知識だ。
 俺は緩く頭を振って、声に籠ってしまう感情を殺す。
「俺 少し 怒ってる」
 大魔王マデサゴーラを討伐し、世界に平和を宣言する祭典の場で誘拐されたアンルシア。ナドラガンドから生還した彼女を待っていたのは、涙ながらに生存を喜ぶ両親と夥しい量の婚約話だった。
 多くの勇者を輩出してきたグランゼドーラ王国にとって、血筋を絶やす事はこの世界の平和を維持する使命を遂行する上で、絶対にあってはならない事らしい。『兄様が身罷られた以上、これが私の務めなの』アンの然も当然という言葉に、開いた口が塞がらなかった。
 これで頼り甲斐のある男性が番になるなら分かるが、盟友打診を蹴った連中だと聞けば眉を顰めたくなる。再び大魔王相当の敵が現れた時、震えて隠れるような男では結ばれるアンが可哀想だ。勿論、番候補とて勇者の血筋に加わる名誉を得る為に、家から差し出されたお飾りの王配になるだろうし男達も被害者かもしれない。
 互いの意思がないまま、進められる話が気に入らなかった。
 俺も多くの子供達を巣立たせてきたが、番になるか決めるのは本人達だ。付き合いが深い群れ同士の交流で互いの子を見合わせるが、義務だと強制した事はない。
 そして頭上に現れた繭の脅威に颯爽と立ち向かうアンを、人間達は当然と思っている。アンの勇気を称えるどころか、臆して安全な場所へ逃げ出すなんてどうかと思う。
「アン 勇者 違う。一人の 女の子」

結構、おこなアンルシアの婚約事情。
ゲームではいろんな事情(スクエニの作品ハーヴェステラは同性のパートナーも有りって感じで多様性意識している方向なのかなって思ってる)で、アンちゃんの婚約事情は出てこないんですが、フェリナちゃんに命懸け出産させた王国ならこれくらいはあんだろって思ってる。
番とか言ってるのは、ブラックチャック時代の名残。

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