ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 あまりの悍ましさに、鳥肌がたつ。
 魂を対価に用いる術を禁術と制定したのは、創造神だと言われている。禁術とは邪悪と断罪し唾棄すべき行為だ。魂は非常に利率の高い対価で、魂を使えば死を免れるというのは十分あり得る事だ。
「まるで不死の魔王のようじゃな…」
 雨の中では喫煙ができず、珍しく煙管を咥えていないエイドスが顎髭を撫でた。
 不死の魔王ネロドス。千年前、アンルシアの先代にあたる勇者アルヴァンが討伐した魔王だ。ネロドスの眷属である魔軍十二将を筆頭に、どんなに倒そうとも復活する不死身さから『不死の魔王』と恐れられた。
 轟音が響き渡り、石橋から地響きが這い上がってくる。
 ラチックの渾身の一撃が、異形獣の頭を叩き潰したのだ。渾身切りすら受け流した固く滑らかな曲線を描いた装甲のような外皮が、大きくひび割れてひしゃげている。割れた硝子のようなヒビの隙間から、血や肉、場所によっては骨が飛び出していた。
 倒れた異形獣の上にアンルシアが乗り上がると、大木の幹のような首に柄までレイピアを差し入れた。次の瞬間、渾身のギガデインで頭部が真っ黒に焼け、ヒビがぼろぼろと崩れていく。シャン。澄んだ音を立ててレイピアを払えば、水飛沫を散らしながら異形獣の頭が勇者の橋の上を跳ねる。
 ずしゃりと、アンルシアが背に乗った異形獣が崩れ落ちた。
 誰もが、死んだと思う状況。
 大楯を構えたラチックが飛び降りたアンルシアを背に下がらせた時、変化が現れた。
 ぼこぼことまるで泡立つ音が響く。いや、実際に泡立っていた。切断した首から滴るはずの血が泡立ち、ドス黒い色の血が透明な雨水に滲んでいく。
 強い潮風と嵐が横殴りの雨で吹き付ける中、橋の上にいる誰もが固唾を飲んで見守っていた。城門の前で王と王妃を守るべく槍を構える兵士達も、霞む雨の彼方で城下町に決して侵入させまいと魔力を練り上げる兵士達も、異形獣と戦う勇者と仲間達、そして叡智の冠という称号と共に正しい判断を求められる私達賢者。全ての無数の視線の前で、ぐったりと崩れ落ちた巨体が脈打った。
 ラチックとアンルシアが大きく下がると、彼らが立っていた場所を尾が薙ぎ払う。
 首のない異形獣がぐっと立ち上がったと思った瞬間、まるで獣のように手で地面を掻き、足で大地を踏み締める。石畳に深く爪痕を刻みながら、一足飛びで首の元に辿り着いた。首の前で犬のように膝を折って腰を下ろすと、切られた頭に向かってゆっくりと肩を下ろしていく。
 みちみちと湿った音に目を凝らせば、真っ黒い頭から筋組織一本一本が幼虫のように蠢いている。その様子に堪らずアンルシアが口元を手で覆った。
 首の筋組織が切断された頭と繋がっていく。その様子を険しい顔で見ていたエイドスがこぼした。
「これは勝てぬな」

いやぁ、これくらいやっておかないと、死なないが確定できないかなって。
現実世界だと灰にして海に撒く的な対処法があった気がするが、それでも復活しそうって思わせる為の描写です。

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