ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 あぁ。息を吸うだけで口の中に水が溜まりそうな湿度にも関わらず、喉から掠れた肯定が漏れた。
 首を切断しても、首と胴体を離しても、炭にしても復活する脅威。ただわかるのは、このまま戦い続けてもこちらが疲弊して負けるという事だ。
「勇者アルヴァンは、不死の魔王をどうやって討伐したか知っているか?」
 叡智の冠。世界最高峰の賢者と称えられた者達を、私は見据えて訊ねる。一様に首を横に振るのは分かっていた。勇者アルヴァンと不死の魔王の戦いは、盟友カミルの存在が不明だった事が物語る通り多くが謎に包まれている。魔王の軍勢と戦う勇者の伝承は多く残されているが、肝心の勇者がどうやって不死の魔王を倒したのかなど、肝心の部分が不明なのだ。
 ピぺの村に伝わっていた伝承も、語り継ぐよう残した人物が魔法に精通していない人物だった為か『不死の魔王の力を封じる秘術には代償が伴う』としか伝わっていない。
 あり得ぬ事だ。
 歴代勇者を輩出するグランゼドーラ王国は、魔王との戦いに備えて賢者を常駐させている。魔王との戦いに備えるという目的上、賢者は魔王と関わる資料を全て後世に残す役目がある。
 しかし、残せなかったのだ。
 不死の魔王が禁術に関わった時点で、その打開策が真っ当ではなかったのだろう。秘術が禁術である可能性も十分にありうる。後世の勇者が同じ轍を踏まぬよう、新しい方法を後の賢者達に模索させる為にあえて残さなかったと考えられる。
 ルシェンダ様。ホーローが真っ白いローブに恰幅の良い腹を浮き上がらせ、颯爽と進み出た。丸い顔を緊張に窄ませて、私の名を呼ぶとハキハキと提案を述べる。ホーローは判断が早い。今回の繭の件のように、実際に表面化する前から関わっている事も少なくない。その判断が今に何の意味がなかったとしても、彼の直感は最終的に最善に繋がるのだ。
「時間を稼ぐ為に、四重の封空を創りましょう」
 それが良かろう。人の身で極みと評価して申し分ない魔術の使い手であるエイドスが、重厚感のある声で同意した。既に船を漕ぎ出したブロッゲンに代わり彼の杖が『ブロッゲン様も、それが最善と申しておられるのでアール!』とけたたましく言った。
 私も頷いた。今、不死の魔王と先代の勇者について、文献を洗い直す余裕はない。口惜しいが、自分達が成すべき最善は、もう、時間を稼ぐ事だけになっていた。
 アンルシア。勇者の名前を呼べば、忘れかけていた晴天の青が瞬いた。
「このままでは、世界はあの獣に滅ぼされてしまうだろう」

なんで、不死の魔王を倒す方法が後世の残らなかったのか、の考察。
公式でも全国民が知るところだった方法が、後世に全く残っていなかったところを見ると、王国が握りつぶした事で確定でしょう。ただ、賢者の性質上残すべきを『残せなかった』というのが、稲野の見解です。

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