ハコの厚みはここ次第!
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■ Profile ■
稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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勇者が生まれる大国として昼も夜もなく賑やかに栄えるグランゼドーラは、巨大な繭に照らされてひっそりと静まり返っていた。世界各国から行商が訪れて朝から夕方まで色鮮やかな敷物を敷き品物を煌びやかに並び立てる市場は、繭の周囲に沸いた黒い雲から落ちる豪雨で開催なんてできそうにない。城壁内に犇く家々の生活を支える、パン屋や雑貨屋といった商店も臨時休業のお知らせが貼られていたが、雨風に吹き飛ばされてなくなっている。そうでなくとも、多くの家が鎧戸をピッタリと締め扉を打ち付けている。
巨大な繭から魔物が現れたと噂が瞬く間に流れたが、未だに討伐の噂を聞かない。繭の脅威を勇者様が払ってくれると恐怖に耐えられていた人々も、ついに王国から逃げ出した。
世界宿屋協会が運営する宿屋は、グランゼドーラ城下町に入る大門の真横にある。まさに一等地だ。がらがらと馬車の車輪が石畳を転がる音が聞こえて目を向ければ、数台の馬車が避難の為に出発する所だった。三門の関所まで護衛する兵士達と、代表者だろう男達が頭を突き合わせて何かを話している。
繭が出現した当日は、王都の大通りが身動きの取れない程の馬車でごった返していた。宿屋のフロントもチェックアウトの手続きをして慌ただしく旅立つ人々で騒々しかったが、今は誰もいない。
僕の向かいで珈琲を啜っていた宿泊者のカンダタさんは、諦観した目で必死に逃げようとする人々を窓越しに眺めていた。伝説の大盗賊に肖って名乗る人は案外多いけれど、彼程に貫禄がある人は初めてだ。ラチックさんと競える隆々とした筋肉に、右頬に大きく走る古傷。眼光の鋭さと潜った修羅場の多さを感じる威厳は、先日一緒だったバディントでさえ小物に思えてしまう。本物の大盗賊ってこんな人かもしれないって、思ってしまう人だ。
「王都に残るのは王宮の関係者と、施設の責任者くれぇなもんか」
僕は曖昧に相槌を打った。
世界で最も繁盛しているだろうグランゼドーラの宿の宿泊者は、僕と兄さんを含めてたった五人。新たに宿に来る宿泊客は来ないだろうと、常駐している従業員はケネスさんとアインツのたった二人だ。宿泊者が全員知人だからか二人の接客も砕けていて、宿でありながら自宅のように過ごさせてもらっている。
食事は毎食温かいものが食べれて、外から帰ってくればお風呂も頂ける。三日に一回部屋の掃除をしてくれて、ゴミ一つ、シワ一つない部屋を見ると二人は宿屋協会の人なんだなって思うんだ。凄く悪い気がして僕の原始獣のコートを洗うのを手伝った時、水が真っ黒になってびっくりした。今は新品みたいにツヤツヤだ。
穏やかな時間が、賢者様達が稼いでくれた刹那の平和だとは分かっている。
カンダタさん。蝋燭の灯りを吸って、血溜まりのような暗い赤を宿す瞳が向けられる。
「命を賭けろって言われて賭けれます?」
現代グランゼドーラ編は最後のお話になります!
しれっと復活のアインツなんだが、やっぱりアインツちゃんが言いにくい。愛称呼びもできないし、ルアム君の中では珍しい呼び捨てる人になっている…。1の完全版の時に、どうするか確定したいものです。
拍手に感謝!間が空いてしまいましたが、ぱちぱちっとありがとうございます。更新のお話読んでくださってる方もいて嬉しいな!
巨大な繭から魔物が現れたと噂が瞬く間に流れたが、未だに討伐の噂を聞かない。繭の脅威を勇者様が払ってくれると恐怖に耐えられていた人々も、ついに王国から逃げ出した。
世界宿屋協会が運営する宿屋は、グランゼドーラ城下町に入る大門の真横にある。まさに一等地だ。がらがらと馬車の車輪が石畳を転がる音が聞こえて目を向ければ、数台の馬車が避難の為に出発する所だった。三門の関所まで護衛する兵士達と、代表者だろう男達が頭を突き合わせて何かを話している。
繭が出現した当日は、王都の大通りが身動きの取れない程の馬車でごった返していた。宿屋のフロントもチェックアウトの手続きをして慌ただしく旅立つ人々で騒々しかったが、今は誰もいない。
僕の向かいで珈琲を啜っていた宿泊者のカンダタさんは、諦観した目で必死に逃げようとする人々を窓越しに眺めていた。伝説の大盗賊に肖って名乗る人は案外多いけれど、彼程に貫禄がある人は初めてだ。ラチックさんと競える隆々とした筋肉に、右頬に大きく走る古傷。眼光の鋭さと潜った修羅場の多さを感じる威厳は、先日一緒だったバディントでさえ小物に思えてしまう。本物の大盗賊ってこんな人かもしれないって、思ってしまう人だ。
「王都に残るのは王宮の関係者と、施設の責任者くれぇなもんか」
僕は曖昧に相槌を打った。
世界で最も繁盛しているだろうグランゼドーラの宿の宿泊者は、僕と兄さんを含めてたった五人。新たに宿に来る宿泊客は来ないだろうと、常駐している従業員はケネスさんとアインツのたった二人だ。宿泊者が全員知人だからか二人の接客も砕けていて、宿でありながら自宅のように過ごさせてもらっている。
食事は毎食温かいものが食べれて、外から帰ってくればお風呂も頂ける。三日に一回部屋の掃除をしてくれて、ゴミ一つ、シワ一つない部屋を見ると二人は宿屋協会の人なんだなって思うんだ。凄く悪い気がして僕の原始獣のコートを洗うのを手伝った時、水が真っ黒になってびっくりした。今は新品みたいにツヤツヤだ。
穏やかな時間が、賢者様達が稼いでくれた刹那の平和だとは分かっている。
カンダタさん。蝋燭の灯りを吸って、血溜まりのような暗い赤を宿す瞳が向けられる。
「命を賭けろって言われて賭けれます?」
現代グランゼドーラ編は最後のお話になります!
しれっと復活のアインツなんだが、やっぱりアインツちゃんが言いにくい。愛称呼びもできないし、ルアム君の中では珍しい呼び捨てる人になっている…。1の完全版の時に、どうするか確定したいものです。
拍手に感謝!間が空いてしまいましたが、ぱちぱちっとありがとうございます。更新のお話読んでくださってる方もいて嬉しいな!
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