ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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「死ぬ気はねぇが、状況に寄るかな?」
 意地の悪そうな笑みを浮かべて答えてくれる。ゆったりと珈琲を啜って僕の言葉を待っている大人の気配に、僕の口はどうしても滑らかになってしまう。
 今、王宮では不死の力を持つ魔獣を倒す方法の捜索で、書庫がひっくり返されていた。
 その方法の一つとして『僕が千年前のグランゼドーラに行って、不死の力を封じる秘術を探し出す』というのが上がっていた。キュルルに相談したら、時間超越には双方の時代に存在する目印となるような強い縁が必要になるらしい。千年前の不死の魔王との交戦時に建立され、現代も現存する勇者アルヴァンの石像が、その条件を満たすだろうと断言した。
 こうして僕達が千年前に赴き、秘術を探す事が決定的になった。
 それは、別に良い。
 見つけてこなければ世界が滅んでしまうなら、見つけなくちゃいけないってわかってる。
 でも…
「僕が見つけてくる『術者の魂が対価』となる禁術。それを使えば人が死ぬんです」
 アンルシア姫様。ピペちゃん。ラチックさん。三人は互いに自分が秘術を使って死のうと考えている。自分が死んで、残った二人に幸せに生きて欲しいと願っている。
 アンルシア姫様は勇者様であるからか、自分の命を平和のために捧げるのが当然だと思っていた。でも次代の勇者の存続のために、アンルシア姫が秘術を使う事を王が認めないだろう。ピぺちゃんとラチックさんは、そんなお姫様を守る為に死ぬ事を厭わない。そこに付け込んで二人のどちらかに秘術を使わせ、美談として後世に残る。そんな筋書きが見えて吐き気がする。
 残された人間は幸せになれない。僕がそうだもの。
 家が新しく建って、ハツラツ豆の畑が豊かに実り、新しい移住者達がどんなに楽しく暮らしていても、僕は冥王ネルゲルに蹂躙され死んでいった村人達の事を忘れられない。幸せで、楽しければ楽しい程、死んでいった彼らの苦しみが込み上げて辛くなる。
 残された二人にそんな気持ちは抱いてほしくない。
 それでも、世界が滅んで全員死んでは意味がないのもわかっているんだ。
「僕が使えば良いって思うでしょうけど…」
 怖い。
 冥王ネルゲルに追い立てられた恐怖が、腹の底から湧き上がって体が氷のように冷え切っていた。兄さんの魂に寄り添って温もりを感じても、常に傍にあった冥界の冷気。
 恐怖に身が竦むと、頭の中は理由探しで渦巻いている。
 兄さんを悲しませるとか、テンレス兄さんを見つけるまで生きたいとか、三人でエテーネ村に帰るんだとか、そんな自分が生きて良い理由を考える。誰かが僕の代わりに死んで良い理由には到底ならない、軽いものばかり。最低だ。なんて最低な奴なんだろう。
 えぇ! 閃光のように声が思考を切り裂いた。
「ルアム君が死んじゃうの、あたしは嫌だな!」
 互いに声の方向に顔を向ければ、涙をいっぱいに溜めた赤と青の目。診察を終えた兄さんとロトさんが立っていた。パイナップルヘアーが胸に突き刺さる勢いで飛び込んで、見上げた兄さんが潤んだ目を尖らせた。めっ!とばかりに、頬がぺちぺち叩かれる。
「相棒、ちょーテンション低いと思ったら、そんな事考えてたんだ。オイラのこと、もっと頼ってくれたっていーじゃん!」

ゲームだと主人公はどういう気持ちで禁術探しに行くのかふつーに謎。王家の迷宮解放の段階で魂を対価に使う禁術ってのは判明してるので、自分が使うってガンギマリじゃないと行かねぇだろうとか思う。
ゲームだとすごくかるーいかんじになってるが、誰かが死ななきゃ世界が救えないすごくやばい状況なんですよ。これは主人公がプレイヤーだという事で、主人公の感情が反映されない弊害だと思う。とはいえ、主人公の代わりに声を上げるべきバージョンヒロインは行方不明なわけで、アンちゃんが『あなたが見つけた方法なら、私は命を捨てられる』くらい重い愛を告げてもらって良いと思う。良いセリフだな。後で使おう←

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