ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 響き渡った声に、弾かれるように視線を向けたのは正気を保った光。振り撒かれた混乱に、誰が味方か敵か全く分からず、単身で荒れ狂う海に放り出されたような孤独に耐えた者達の光が篝火のように煌めいた。彼らは俺の掲げた剣が灯台の光に見えた事だろう。誰もが剣を手に、無我夢中で駆け寄ってくる。
 俺は盾を持った兵士と、武器だけを持った兵士に交互に並ぶように指示する。勇者アルヴァンが誕生してから大魔王と戦う事を使命として訓練してきた者達は、俺の一言で盾を持った者が両脇にいる盾を持たぬ者も守る陣形であるのを理解する。
「円陣を組め! 負傷者を内側にして守るんだ!」
 背後に庇った仲間を中心に組まれた円陣は、瞬く間に効果を発揮した。槍を持つ兵士と剣を持つ兵士は、互いに隣り合わぬよう示し合わせ、盾を持つ兵士は剣を納めて防御に徹する。弓を持つ者が空から強襲する魔物を射落とし、呪文の使い手の強力な一手が殺しきれなかった魔物にとどめを刺していく。
 頭上を悠然と舞うハヌマーンが、火炎の息を吹きかけ、混乱を来す超音波を放っているのを遠目に見る。空からこちらを視認され攻撃される前に、体制を整えねば潰されてしまう。
 集まる人数が増えて広がる円陣の中に向かって、俺は大声で指示する。
「戦えぬ者は炎を掲げ、正気に戻った者に呼びかけろ!」
 背後で煌々と焚かれた松明の熱が、火花になって潮風に吹かれる。負傷して動けぬ者を円陣の中に引き摺り込み、順次回復呪文が施される。混乱から立ち直った者達も、戦線に加わっていく。
 前へ! 前へ!
 俺の声に鼓舞され、隊列の端から始まった反撃が巨大な波となって魔王軍を押し返そうと迫る。その様子に気がついたハヌマーンの巨体が、ゆらりと旋回し迫る。歯痒い戦況に苛立つ双眸が、爛々と俺を見据えていた。大きく開いた顎の闇の中に、ぽっと赤い光が灯る。
 俺は我が剣を捧げし主の王国の紋章を掲げ、腰を低く落とし構える。
「身を寄せ、盾を掲げよ!」
 炎を孕んだ風が巨人の拳のように盾に打ち付け、支える腕の筋肉の痙攣が全身に広がる。盾を持った分厚い革のグローブがじゅうじゅうと音を立て、手の甲から肘に掛けて鉄板を押し付けられたような激痛。燃え盛る火炎の圧に押されて、踏ん張る足がジリジリと後退する。
 耐えろ! 耐えろ、グレイグ!
 俺が崩れてしまえば、燃え盛る火炎が後方に庇った全員を飲み込む。例え、王から賜った盾が溶解しようとも、その身を盾とし民を守るのが騎士の本分。肌から吹き出した汗が、一瞬にして蒸発して皮膚が剥がされるような痛みが走る。
 流石のハヌマーンにも肺活量というのはあるのだろう。燃え盛る火炎が止み、圧が消え去った腕が勢い余って大盾を振り抜く。
 ばちん。空気が爆ぜて、鼻先を打った。
 ハヌマーンの白金の毛皮が帯電して白熱し、空気が急速に乾燥してむき出しの肌が痛み出す。背後で『雷だ!』と悲鳴が上がる。ハヌマーンが得意とする雷は敵味方問わず、周辺の全てを打ち据える。燃え盛る火炎も輝く息も耐え抜く自信はあるが、電撃は防ぎ切れるのだろうか?
 いや、考えている暇はない!
 俺は黒鉄の剣を大きく振り上げると、喉も裂けよとばかりの気合い諸共ハヌマーンの顔目掛けて投げつけた!

おら!はんげきだ!黙ってやられて話数稼げないやつは端役にするぞ!

拍手に感謝!ぱちぱちっとありがとうございます!

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