ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 床は封鎖された風通りの悪さから、苔むして石畳は殆どなく滑りやすい。カミルは抜き身の剣を片手に持ちながら、利き手でいつでも わたくしを支えられるよう横を歩いていました。階段が上下に貫く吹き抜けをどこからか染み込んだ水が滝になって流れ落ち、水没している水面には魚が悠々と泳いでいる。ぴちゃんぴちゃんと水滴が奏でる音楽を、護堂の構造が生み出す反響で永遠に続くと思わされるでしょう。
 アバカムの光量は わたくし達を導くように広がっていました。
 秘術を封じる空間へ向かう方角から外れようならば、一段と暗い闇が行手に広がっているでしょう。秘術へ向かって足を進める程に、日差しの中のような眩さになっていくのです。
 そして辿り着いた場所は、壁に埋め込まれるように騎士と賢人の石像が並んだ円形の空間でした。それぞれの騎士が光る盾と剣を装備し、賢人は杖を掲げて、この空間にやって来た者を品定めするかのような威圧を感じるのです。鎧の紋様一つ一つが魔法陣の要素を取り込んでいて、光が流れ込んだ騎士達は万華鏡のように同じ時が一時も存在しない。
 そしてアバカムの魔法陣が刻まれた床の上に、純銀の鎧を纏う騎士が立っていました。その体越しに反対側の壁にある賢人の石像が透けて見えていたが、素晴らしい技術の粋を集めた緻密な装飾の杖は本物のような存在感を放っていた。
『全ての力を封じる秘術を求める者よ。我に力を示せ…』
 背に冷たい刃を突き立てられたような、不気味な死者の声に身震いしてしまう。しかしカミルは臆する事なく進み出ると、雄々しく剣を掲げ声を張り上げたのです。
「秘術の守護者よ! 今代の勇者アルヴァンの盟友カミル、推して参る!」
 それから先の戦いは、ファルエンデで見たどんな試合よりも激しいものでしたわ。武勇に秀でた兄様が率いる王国軍は、レンダーシアでも屈指の練度を誇るもの。王国軍を率いる兄様が決勝で相手となる一戦は、ファルエンデ最高の試合であり、素人のわたくしでさえ息を呑む剣戟の応酬でありました。
 そんな試合すら色褪せる、鋼同士が撃ち合い火花が爆ぜる鮮やかさ。女性の細腕で守護者の渾身の一撃を点でもって穿ち抜き退ける正確無比の軌跡。ギガスラッシュの閃光のと激しい雷の力は、盟友の気迫を物語っていました。
 カミル。盟友を見る目に憎悪が宿り、拳に力が篭るのを堪えられなかった。
 勇者アルヴァンに命を救われたと言われていますが、その時のカミルは命の危機になど瀕していなかった。目の前の彼女を見ればわかる。父が首を落とせる存在ではない。彼女ならば数多の戦士を跳ね除け、勇者アルヴァン様さえも振り切って逃げる事など容易かったはず。
 そんな彼女が美しい顔を必死に歪めて渾身の力を振り絞る。魂を燃やす彼女を見ていると、苛立ちに体の震えが止まらなくなる。
 瞬きを忘れて乾いた目にヒビを入れるように激しい閃光が走り、音が止みました。
 一撃をすれ違い様に叩き込んだのか、背を向け合った盟友と秘術の守護者。光が落ち着き闇が頭上からふんわりと帳を掛けてきたと自覚する頃、守護者の手からからりと杖が落ちて床を転がったのです。見事なり。そう感嘆の声を漏らして、守護者が片膝を付いたのです。

一応、この護堂が光の仕掛けがあるので、それに準えた内容でお届けします。

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