ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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「ここでカミルが亡き者となれば、盟友の名誉は地に落ちるでしょう。兄の命を奪い、英雄と誉めそやされる女を憎く思っていたけれど、貴方のお陰で溜飲が下がったわ」
 ヴィスタリア様。辛そうに口元を引き結ぶカミルを、冷ややかに見る。
「ヤスラムとして一時でも仕えてくれた身。一つ、わたくしのわがままを聞いてはくれないかしら?」
 側頭部に触れていたジャミラスの頬が、にまりと笑みで動いたのを感じました。
 なんなりと、ヴィスタリア様。
 そう背後から手を回され会釈する大鳥の化け物を侍らす姿は、まるで邪悪な魔女でしょうね。そんなことを考えながら、護身用の短剣を引き抜いた。
「わたくしがカミルを殺したいの」
 傍仕えのヤスラムに散々カミルへの苛立ちを零していただけあって、わたくしがカミルを殺したいと言う言葉を疑いもしない。こんな小娘が剣を持ってもスライム一匹殺す事ができないと分かっていて、簡単に首を刎ねる事ができるという驕りもあるのでしょう。
 仰せのままに。
 よく研がれた護身用の短剣に映ったジャミラスの満面の笑みは、一生忘れることのない邪悪なものでした。両手に短剣をしっかりと持った わたくしの手の上から、大きな羽がついた手が添えられる。
『ヴィスタリア様のお力では、殺すに至るには難儀されるでしょう。私がお手伝いいたします』
 咽せ返るほど甘ったるい声に、礼を言って一歩を踏み出す。
 わたくしの小さい足幅に合わせて、ジャミラスもついて来た。こつ。のし。こつ。のし。二つの重さの明らかに違う足音が、まるで拙いダンスを踊っているかのように歩を進める。足元の石畳が中央に向かって円を描いて狭まって、遺跡の中心である要の石が迫る。要の石は丸い宝玉で、束ねられた遺跡の光を静かに蓄えていました。
 丸い宝玉に爪先を引っ掛け
 かこん。
 軽い音を立てて、要の石が外れて転がっていったのです。
 ぶつん。まるで夜の帳が音を立てて落下したように、護堂の光が消え失せたのです。な。戸惑ったジャミラスの声は、次の瞬間、驚きの声に変わる。
『ない! 秘術を封印した宝玉が! どこに? どこにいった!』
 そう。この神義の護堂は、全ての力を封じる秘術を封印する為に作られています。護堂の入り口を開ける為にカミルが唱えたアバカムとは、鍵を解錠する呪文と知られていますが、元々は封印を解除する呪文でありました。そんな解除の術式が護堂の内部にまで深く組み込まれ、この中心部では魔法陣としてしっかりと描かれている。何を解除する為なのか。
 秘術の封印を解く為に、アバカムがあるとしたら。
 発動しているアバカムの力を閉ざしてしまえば、秘術も再び封印の状態に戻される。その予想は正しく。要の石が外れてアバカムの力が行き渡らなくなった空間で、秘術の宝玉は跡形もなく消えてしまったのです。それに動揺したジャミラスの腕から逃れ、わたくしは床の上に転がり言い放ちました。
「グランゼドーラの未来の王妃が命じる! 盟友カミルよ! ジャミラスを討ちなさい!」
「御意!」
 闇の中を煌めきが走った次の瞬間には、ジャミラスの断末魔の声が響き渡ったのです。

カミルと不仲なヴィスタリアだからできる戦法よ!!!

拍手に感謝!反応遅れて申し訳ない!ぱちぱちっと嬉しかったです!ありがとうございます!

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