ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 エテーネ王国が現在の王都へ還都した際、時見の司祭が重要な神事を行った神殿を模して時見の神殿が作られている。現在も『時の指針書』の更新を始め、重要な神事が行われる場だ。
 一軒の家相当の大きさの立方体『時見の箱』は、この闇の中で太陽のように輝いている。その周囲には数え切れぬ程の小型の箱を従え、溢れ出る時渡りの力の神々しさは、このエテーネ王国が神に等しい尊き存在であると如実に語っていた。
 そして、その神器の力を身に纏う余は、神を体現したと言って良い。
 頭上に『時見の箱』を従え、王冠の周りに輪を、背には翼を形取る小箱達。小箱が崩れ無数の燐光となって余を包み込み、体は重力から解き放たれ頭上から降り注ぐ水は余を濡らす事はない。溢れ出る力は例えようもない高揚感をもたらし、全てが思うがままに成し遂げられると確信させる。
 余は眩い輝きを取り戻した『時見の箱』を満足そうに見上げた。
 やはりメレアーデは優秀だ。
 誰も彼もが余が時渡りの力を持たぬ、未熟な世継ぎを成すだろうと思っておった。愚弟に至っては『兄上。生まれる子が息災であれば、時渡りの力の優劣など瑣末な問題ですよ』と嘲笑った。爽やかな笑みを浮かべる愚弟の陰湿さに、吐き気が込み上げる。
 そして妻ルミラーハが成した第一子メレアーデは、愚弟には劣るとも強い時渡りの力を有した。第二子は時渡りの力に恵まれなかったが、メレアーデさえいれば余に時渡りの才能がないと嘲笑った者共を黙らせるには十分である! あの愚弟が亡き者となった今、メレアーデこそエテーネで最も強い時渡りの力の使い手なのだ! そしてその父は、このドミネウスである!
 込み上げる笑いを漏らし、余は『時見の箱』を抱き締めるように手を広げた。
「もう少しだ…」
 余は何を躊躇っていたのだろう。
 滅びの未来を回避する偉業の為なら、どんな犠牲も些細なものだ。
 あの愚弟の妻と子供を殺し損ねたが、僥倖だったと言える。それなりに時渡りの力を持っていよう女とあの愚弟の子であれば、メレアーデに劣るも『時見の箱』を満たすに違いない。このエテーネ王国の栄光を永遠のものとする礎になるなら、命尽きるまで時渡りの力を搾取されるのも本望であろう!
「目の前の雑音を排除すれば、滅びを回避する未来を『時見の箱』が見せてくれる」
 成人して始めて『時見の箱』と相対した時、余はエテーネ王国が滅ぶ未来を見た。
 先代国王であり余の父ルザイオスに、余は滅びの未来を再三に渡って説明し対策を立てるよう嘆願したが聞き入れられなかった。それどころか長子である余の存在がありながら、王位を愚弟に譲ると戯言を言い放つ。常に揚げ足を取り余を道化にしてきた愚弟の本性は、ついぞ余にしか知られる事はなかった。愚弟に協力を仰ぐなど死んでも御免被る。
 余だけが見える滅びの未来。
 この未来を回避する事ができるのは、この未来を知る余だけだ。
 エテーネ王国国王となった余だけが成し遂げられる、特別な使命なのだ!


うーん。ドミネウスくん、厨二病拗らせちゃって大人になっても治らなかったんだね。ってとっても生暖かい目になってしまう。あーあ。そうだよねぇ。一人だけ見えちゃうんだもん。傍には誰もが認める特別な弟がいるもんだから、自分だけ特別で誰もが認めてくれないのぴかぴかに磨いた泥団子みたいになっちゃうよね。しかたないね。大人になっても治らないのはどうかと思うけど。
たぶん、ドミネウスの時渡りの力の無さのプライドを、メレアーデの時渡りの強さで補っているところがあったんじゃないかなって思います。決して表沙汰にはならぬとも、メレアーデの威を借る父。個人的にはとっても情けないが、本人は大真面目なのだろうと思うと末期です。

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