ハコの厚みはここ次第!
■ Calendar ■
03 2024/04 05
S M T W T F S
11 12 13
15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
■ Profile ■
稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
□ search □
1 2 3 4 5 6
今のご時世、喫煙者の肩身は狭い。
 副流煙は肺癌のリスクがあるからと、喫煙スペースはアクリルの壁で囲われている。文句も言えまいと、煙草税はかけ放題だ。正直、人権もないのでは?と思う。
「電子タバコの喫煙者が増えているけれど、やっぱり昔に比べれば吸う人は減ったね」
 隣で紙巻きに火を付けた佐々木さんは、軽く吸って赤い熱を煙草に染み込ませる。佐々木さんは一本を随分と長く保たせる。煙草がよっぽど好きなんだろう。口の中で煙を転がして、肺の奥まで吸い込んで、喉から鼻へ抜ける香りを感じる。それをじっくりと味わうようで、煙草を吸っていると遠くでぼやける街灯を細めた目がぼんやりと眺めている。
「喫煙所に来る人が減って、寂しいね」
 眉尻しょんぼり下げて言う横顔に、赤マルボックスを手に弄びながらあたしは言う。
「あたしはいつもおひとり様なので、寂しいって思った事もないのですが」
「そうかぁ。このお店は喫煙者が田山さんだけなんだね」
 そう年上の草臥れた男性は、ありがとうと頭を下げた。あたしは指に挟んだ煙草を吸いながら、白髪混じりの旋毛が上がるのを待ってから訊ねる。
「お礼言われる事、何かしたっけ?」
 佐々木さんは『してるよ』と笑って、節くれだった手で灰皿を指差した。
「だって、田山さんが吸い殻を片付けてくれるんでしょ?」
 思わず目を見開いた。
 煙草を吸う者が灰皿の吸い殻を片付けるのは常識だ。煙草を吸わない人は、喫煙者よりも煙草の匂いをキツく感じると言う。あまり仕事中に煙草が吸いたくなる質ではないが、煙草休憩をさせてもらっている手前、喫煙所の清掃は自分の仕事と思っていた。
 にっと口元が上がる。当たり前だと思った事に感謝されて、柄にもなく心が浮き立った。
「じゃあ、今度は佐々木さんに片付けてもらおうかな」
 えぇ! 露骨に驚いた中年に、声を出して笑う。
 二本の煙草から出る煙が、あたし達の頭の上で絡み合っていった。

まだ6話目くらいし読んだだけで本の購入はまだ悩んでるんですが、結構好感触です。
なんか書きたくなって一本上げてみたが、どんなもんでしょうなぁ。
いや、稲野は煙草吸わないんですが、生まれた時から親が吸ってたんで煙草に関しては結構理解ある方。煙草休憩行って来て良いですよって送り出すし、愛煙家キャラ書くだけあって喫煙を肯定的に捉えています。吸い殻掃除も業務に組み込まれてれば、普通にします。電子タバコはわかんないけど、紙巻きの知識はちょっとだけある。

拍手に感謝!ぱちぱちっとありがとうございます!
現在、DQ9紙媒体は現在フィオーネの乱編(笑)で170頁を超え、200頁確定なのでは?と恐れ慄いています。こわい。200頁とか怖すぎる。

めっちゃ長いタイトルの通り、前中後で魔法生物事件を描きます!
最初は軽めに説明です!
っていうか、前回地上の移動手段馬だけってやつ。今回の魔法生物事件と関係してるのでは? キラーパンサーとかダッシュランみたいな魔法生物絶対作って移動手段にしてるよ。
指針監督官の陰湿さと、紅竜の話の最初を書いただけです。
本当に陰湿でコンギスさんやゼフさんがめちゃくちゃ苦労してるってところを書いた。不憫。これじゃあ、コンギスさん宿屋暮らしになるわって思った(宿屋暮らしにさせたのは公式なんだからね!私はちょっと理由を添えただけ(ちょっととは)
なんというか、エテーネ王国編だけですごく長くて、この時点で今年に終われるか?とか思ってるくらい長いです。魔法生物事件を終えても折り返しにならないよ?まじで?ってなります。
もちろん、9小説紙媒体も頑張らねばならないので、執筆ばかりじゃだめよ?ってなってます。

それはそうと、10の新世界着いた瞬間『シュタイン湖!!!』とか思ったんだけど、全然湖じゃなかったってしょんぼりしてたんです。でも9の地図見返したら強ち間違いじゃないなって思いました。むしろ、シュタイン湖って王国の真裏だと思っていたので、随分頭の中で南にずれてて笑ってます。今後の大型アプデで他の地域出てほしいな。
ver10を書くまで死ねない。ガンガン書かないと寿命がきてしまう。

DQ9小説は現在エルシオン編まで到達して100ページになり白目を剥いています。
これは、200頁超える?とか震えが止まりませんな。

「指針監督官は手段を選ばなくなっています。気をつけてください」
 ゼフ殿の親友であり私の恩師である、錬金術師アルテオには二人のお嬢さんがいた。一人は魔法生物錬金学の権威であったお父上の才能を受け継いだ、リンカ嬢。キィンベルの歌姫と称される妹のシャンテ嬢の美声は、誰の才能を受け継いだのか聡明な父上もついぞ明かせなかった。
 お父上が身罷られ、二人の身元はゼフ殿が引き受けた。
 今もゼフ殿の店を手伝う形で、リンカ嬢は魔法生物錬金学を研究している。王国の命令という形で、『家族』を失うなど我慢できるはずがないだろう。父と娘が誇りを持つ研究を露骨に否定する様は、師を侮辱されたも同然の私も怒りを覚えている。
 指針監督官の挑発に乗って手でも上げようものなら、公務執行妨害で逮捕され連行され、魔法生物を没収する口述を作ってしまう。
 それが分からないリンカ嬢ではない。しかし、先日のリンジャハルの崩壊で一時生死不明だった妹の死を肌で感じてしまった彼女は、『家族』の死に敏感になっている可能性がある。
 私が心配するまでもなく、ゼフ殿は何度も言い含めているだろう。
 リンカ嬢も指針監督官の挑発には乗るまいと、己を律しているだろう。
 それでもどんな姑息な手を使ってくるか分からないのが、指針監督官なのだ。
 ゼフ殿は空になったカップを置き、深々と頭を下げた。
「ありがとうございます。私達の身を案じてくれる人がいるというだけで、心強いものはありません」
 私は頭振り、席を立ったゼフ殿を大通りまで送る。
 明るい日差しが降り注ぐレトリウス通りには、今日も多くのエテーネの民が往来していた。同じ大きさと形に揃えられた石畳が美しく並び、花壇からは溢れんばかりに季節の花が咲き誇る。陽の光に暖められて綻んだ花々から甘い香りが漂い、今日は上着が要らない気温になると肌で感じる。中央広場には巨大な砂時計のオブジェが置かれ、中の砂が夜空に瞬く星のようだ。頭上に浮かぶ王宮の影が、軍部区画に掛かっている。
 目を眇めて見ていた私に、ゼフ殿が言った。
「良いんですか?」
 良いんです。私は黙って頷いた。
 今、私が座っていた席には指針監督官が駆け寄って、ゼフ殿が買ってきた差し入れをぶちまけて具に調べているのだろう。ゼフ殿の事だ。文房具屋の主人に『この棚の黒インクの中から一つ選んで欲しい』と、なるべく自身が関わらず無作為になるように買い物をしているに違いない。どんなに調べたとて、何も出ないに決まっている。
 それで、片付けないんだ。まるで軍隊蟻じゃないか。
 私は深々と息を吐いてから、吸った息で本音を囁いた。
「『家族』が元気なら、それ以上何も要りません」
 そうですね。心の底から同意した想いが、大通りの雑踏に踏み砕かれていく。


前編終了!魔法生物事件をさらりと説明したよ!
リンジャハルの話も説明しようと思ったけど、諄くなると私が面倒なのであっさりとね!

「ご歓談中に失礼します」
 そう断って、コンシェルジュが台車の上に乗せたティーセットをテーブルに並べ出した。白磁にオレンジの上品な紋様を描いたティーポットを、同じ意匠のティーカップへ傾ければ、飴色の紅茶から華やかな香りが溢れた。切子が施された硝子の器には、角砂糖と蜂蜜とミルクが木の盆の上に並べられる。三段重ねのスリーティアーズには、新鮮な卵やツナと胡瓜のサンドイッチが一口サイズに並べられ、その上には焼きたてのスコーンがざく切りの林檎が混ぜられたジャムや固く角を立てるクリームの小皿と共に乗り、最上段はマカロンや一口サイズの苺のタルトといった甘味が輝いている。
「なにか御用がございましたら、何なりと申し付けください」
 彼らにとっては業務の口上でしかないのだが、温かみのある優しい言葉が身に沁みる。最近は指針監督官の人格をも否定するような罵詈雑言の怒声ばかり浴びせられ、騒動に巻き込まれまいと接する人は腫れ物に触れるような態度だったからだ。フロントに目配せをして手を上げるだけで、御用聞きに来るだろうコンシェルジュの細やかな心遣いに涙すら出そうだ。
 コンシェルジュに礼を言い、世界宿屋協会の上質なサービスに舌鼓を打つ。
 互いに腹の中が温まって、私はゼフ殿を見た。
「貴方は大丈夫なのですか?」
 今やキィンベルで魔法生物を手放していないのは、ゼフ殿が構える店だけだ。
 視線を何気なく向ければ、ラウンジで寛いでいる客の何人が私服の指針監督官だろう? まだ、魔法生物の所在が分からないが家は十二分に捜索した私以上に、厳しい監視が付いている。
「何か問題になる事がありましょうか?」
 ゼフ殿は優雅に茶器を口元へ運んだ。
「私の店にいる魔法生物は、全て攻撃能力の無い無害な存在です。そもそも、なぜ魔法生物を破棄しなくてはならないのです? その理由も不確かな状態で、家族を手放すなど有り得ません」
 凛とした断言に、私は口を噤んだ。
 それは錬金術師達全ての疑問だろう。
 魔法生物はエテーネ王国の発展に寄り添って、多様な種類が生み出されている。新技術を組み込んだ魔法生物の暴走に対し、調査が行われ使用が禁止になる流れなど数えたらキリがない。魔法生物は決して安全な存在ではない。武器のように使い方を誤れば、最悪人間は死ぬ。長い年月を掛けて錬金術師が心血を注いで工夫してきたから、安全に見えるだけなのだ。
 錬金術師達こそ、錬金術で生み出される全てが危険を孕んでいると胸に刻んでいる。
 だからこそ、理由を求めているのだ。
 魔法生物が禁止される理由が明るみに出れば、全力でこれを精査し対策を立てる。小さな問題も大きな災いの引き金になるのが錬金術だ。それすらも許されず一方的に棄却されるなど、錬金術師達が無能であると断言されたようなもの。栄誉あるアルケミア研究者の椅子を蹴り、没収された魔法生物の方向性から理由を炙り出そうと躍起になる者もいる。それだけ、錬金術師達の自尊心を大いに傷つける大事件なのだ。
 そしてゼフ殿は魔法生物を『家族』と呼ぶ。その姿に、私は恩師が重なって見えた。

本当に、めちゃくちゃ不憫だと思う魔法生物没収騒動。
錬金術師達ブチ切れ案件でしょ。

「あいつらに気を遣われたのでしょう」
 『魔法生物に関わる一切を錬金してはならない』と『時の指針書』に書き込まれたのが、災難の始まりであった。
 魔法生物とは錬金術で生み出された生命体の事で、エテーネ王国の民の生活に深く関わっている。ゴーレム型は力が強く建築現場で重宝され、ももんじゃ型は愛玩用として親しまれている。魔法生物はエネルギーや損傷の修復を錬金術に頼っていて、全ての錬金を禁じられる指針書の言葉は実質、魔法生物に対する死刑宣告だった。民の反発は強く、大挙して軍部区画に押し寄せた程だ。
 それを鎮圧したのが指針監督官だ。
 『時の指針書』が正しく履行されているかを監督する特務機関に所属する彼らは、最初は民に丁寧に説明し魔法生物を回収していった。『時の指針書』に書かれた事を履行する事がより良い未来に繋がると信じているから、最初は感情に任せて反発した民も大半は魔法生物を指針監督官に提出した。指針監督官に提出した後どうなるかわかっていても、自分の手で破棄する事は恐ろしいのだろう。最終的に魔法生物の代わりとなる、魔法具を無償で提供される形で住民は納得していった。
 最後まで抵抗したのは、魔法生物を作り出した錬金術師達だ。
 エテーネ王国の最先端の錬金術研究を行う王立アルケミアは、大規模な摘発が行われ強奪に近い形で回収されたと噂に聞く。王都キィンベルで魔法生物を所有する錬金術師も、次々と魔法生物達を取り上げられていった。
 私も三体の魔法生物を所有している。
 王立アルケミアで不老長寿の研究をしていた頃から、様々な研究を手伝ってくれた三兄弟だ。所長ヨンゲの方針で不老長寿の研究の予算が打ち切られ、暇を言い渡されたが、彼らは私についてきてくれた。おっさん。おっさん。と可愛らしいドラゴンキッズの足をちょこちょこ動かして付いてくる三兄弟はとても愛らしかった。
 私は彼らの為なら全てを捨てて、自由人の集落に行く事すら考えていた。
 そんな矢先だ。
 『旅に出るドラ。探さないで欲しいドラ』
 テーブルの上に置き手紙一つ残して、三体の魔法生物達は姿を消してしまったのだ。
「家を出て行ってから、キィンベルの隅々まで探しましたが見つかりません。指針監督官が何度も我が家を捜索しにくるのですから、彼らも見つけられていないのでしょう」
 では、王都の外に…。
 顰められた声に、私は頷いた。
 魔法生物は王都の外には出ない。何故なら、王都の外には魔法生物達にエネルギーを補填してくれる、錬金術師がいないからだ。自由人の集落になら錬金術師はいるだろうが、たどり着く前にエネルギーが切れるか魔物に壊されるかのどちらかだ。
 それ故に、指針監督官は王都の外に捜索の手は伸ばさない。
「あの子達は寿命の長い竜の研究の為に生み出した魔法生物なので、ドラゴンキッズと同じ能力を備えています。エテーネ王国領の魔物達に殺される程、弱くはありません」
 衝撃に対する耐久力も病気に対する耐性も、一般的な魔法生物よりも強い。さらに三兄弟は我々と同じ食事から補給出来る。年月を経れば成長するし、子孫も残す事も可能かもしれない。不老長寿の研究をする上で行なった仕様が、三兄弟にキィンベルを出奔させる事ができたのだ。

 
なぁんと、紅竜達の記憶も同時進行だぜ!死しか見えない!!!!
すでに破綻している箇所もあって、真っ青だな!(時期的に執筆前に確認できたかすら謎)
修正が今から掛かっています。

拍手に感謝!ぱちぱちっとありがとうございます!

Copyright © ハコの裏側 All Rights Reserved.
Powered by Ninjya Blog