ハコの厚みはここ次第!
■ Profile ■
稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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ランガーオ村出身のルミラ姐さんの話じゃ、姐さんが生まれる前からゾンガロンは封印されていた。そりゃあそうだ、大昔のオルセコの王子様が封印した時からそのまんまなんだから。
そしてランガーオ村はゾンガロンの監視と、封印が解けた時に全力でこれを殺す事と、早くオーグリード全土の王国に知らす責務を負った。その代わり未来に存在する全ての王国は、ランガーオ村を支配してはならない。盾の盟約と呼ばれるものが、村とオーガ族との間で交わされた。
そんな話を聞いて、オイラは穢れ谷の大蛇を思い出していた。
プディンの親御さん達を喰った恐ろしい化け物は、プーポのおっちゃんに片目を切られてから姿を現していないらしい。だからって大蛇が死んじまったとか、穢れ谷から這い出してプクレット村の人達をぺろぺろ食べないっつーのは、笑えねー冗談だ。
封印されたからって、安心だなんてオイラはとても思えねーよ。
「真実は闇の中ですが、少しでも近い出来事が伝わっています」
少し闇に目を凝らしたように虚空を見上げ、先生は静かに語り出した。
オーグリード大陸で生命を拒絶する地域の一つである雄峰ランドンでは、いかな勇猛なオルセコの王子でも命の危機に直面したのです。
護衛共々遭難しかかり、命の灯火が吹雪にかき消されようとしたその時、命を救われたのは天の采配と言えましょう。しかし極寒の中で嗤う死神から逃れただけで、その空間は凄まじい魔瘴に満たされた空間だったのです。真っ暗い闇の中で、どろどろと腐った血肉のような色が溢れる空間。オーガでさえ濃厚な魔瘴に触れれば死に至る地獄に放り込まれたのです。
死を覚悟して闇を見回す二人に、『魔封剣姫』と名乗った女が現れました。
面頬がきっちりと下られ、一分の隙もない程の堅牢な全身鎧に身を包んだ女。成人した人間の女性の平均的な身長と、体格に合わせて作り防御力を上げる鎧の特性上膨らんだ胸元でどうにか女と分かる。名乗った声も兜の中で反響し、人成らざる不快な響きに変わっていました。
この魔瘴の闇に独り佇んでいる存在に、警戒しない訳がない。
しかし神々しい守護が施された白銀の鎧は、禍々しい闇に沈んだ空間で純白の閃光のように眩かったのです。一流の剣士の所作と無駄が全て省かれた実直剛健な声色に、王子はその女が偽りを言う事はないだろうと直感的に感じたと言う。
『戦神』とは。女は何の感慨も含まぬ声で言った。
『オーガを滅ぼす策謀を講じる戦禍の邪神が、己が手駒を集める為に蒔いた甘言です』
その瞬間、王子は言葉を詰まらせ天井を仰ぎました。
先王の目指す平和には宿敵ドランドを含む、オーガ族の殺害が必要でした。戦禍の邪神が先王の求めに応じ力を授けたとして、その内容には一切の嘘偽りはなかったでしょう。オルセコの敵を討つ力は確かに授けられ、今やオルセコ以外の王国は滅亡しつつあるのです。
先王は騙され、邪悪なる者の手駒にされた。
偉大なるオルセコの王として、オーガ族で最高の名誉と尊敬を集める者が、堕ちるところまで堕ちたと知ってしまったのです。
『邪神の加護を受けた存在を倒す事は難しいですが、封ずる事なら叶いましょう』
しかし。エリガン先生は振り返り、耳を傾けていたオイラ達に振り返った。じじっと燃える松明の光に染まった先生の口が、ぽっかりと開いて闇が顔を覗かせる。
「その術は術者の命と、封印の完成に百年の年月が必要とされているのです」
魔封剣姫と戦禍の邪神の話をさらりと。
ここでゾンガロンを殺せないって所にも言及していきます。
