ハコの厚みはここ次第!
■ Profile ■
稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
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猛吹雪の中を一匹のシールドオーガが嵐となって駆けて行く。
グレン城を囲む多くの人が行き交う沿道も、溢れんばかりの人で犇く大地の方舟の駅舎と東側を繋ぐ吊り橋前の交差点も、白い雪に覆い隠され警戒の兵士が要所要所に立っているだけ。真っ黒い分厚い雪雲から吐き出される輝く息に沈黙した大地を、騒音を振り撒いて通り抜けて行くのです。
そっちに行ったぞ! 回り込んで挟み撃ちにしろ!
前からも後ろからも、吹雪に負けぬ声を張り上げる。
大きな足が凍りついた地面を滑る事なく捉えて立ち止まると、前を向いていた首がぐるりと周囲を見渡す。警笛が鳴り響き、がちゃがちゃと武具が打ち鳴らされる音がグレン全体に広がりつつありました。剣鷹のような鋭い鼻筋が向いたのは、傍に聳える壁。
周囲を見回しながら、僕を担いでいるシールドオーガに囁きました。
「ガルードさん。もう少し粘ってください」
種族で開催される力比べでオーグリード大陸で最強の称号を手にしたガルードさんは、シールドオーガ族でも一つ抜きん出た巨躯を持っていらっしゃいます。生半可な刃物すら通さぬ鉄壁の胸板、落石すらも受け止める巨木の腕、巨大な裸足が大地を蹴れば おおくちばしと並走するだろう巨体に見合わぬ速度を出すのです。背に背負った巨大な盾は、かつて鬼岩城の轟雷王の玉座の大扉だとか。腰のチャンピオンベルトにはドランド王国の紋章が刻まれています。
ガルードさんは赤い肌に真っ白い歯を三日月型に切り裂いて、牙を剥き出して笑ったのです。
「誰ニ 言ッテンダ! オ安イ 御用ヨ!」
壁に太い指が食い込んだと思えば、大岩のような巨体が飛び上がるように引き上げられるのです。屈強な両手足が全力で駆ける事に使われれば、その速度や迫力は格上の魔物ですら尻込みするほど。積もった雪を蹴散らしながら屋上を駆け抜け、巻き取られた日除けの布を張る為の綱を引っ掴み宙へ身を躍らせる。
しかし、屈強なシールドオーガの重量に耐え切れず、綱が千切れて落下する。強靭な足腰が地響きを響かせて地面を捉え、着地点に居合わせた兵士達が腰を抜かしたのです。背に背負った盾を掴んで振り下ろせば、ガルードさんの体を隠す大扉が生み出す風圧が雪を撒き散らしながらオーガ達を吹き飛ばしたのです!
無様にも折り重なった兵士達を見て、愉快そうな笑い声が響き渡ります。
「随分と楽しそうではないか!」
僕達に高みから声をかけてきたのは、繭から現れた異形獣を食らった悪鬼ゾンガロン。
旅の最中ありとあらゆる魔物を見てきた僕ですら、異様と思える体躯を持つ魔物です。指の間に皮膜を張ったような手のような形の翼に、膝くらいにまで達するバランスを欠いた発達をした剛腕。分厚い胸板や鍛え抜かれた上半身とは裏腹に、下半身は驚くほど小さい。しかし巨大な前腕が一度大地を掻けば、その巨体が放たれた礫のように勢いよく前進する。飛び降りた巨躯を受け止めた紅蓮の岩盤が砕け、翼が羽ばたけば篝火が固定された綱ごと薙ぎ倒される。
僕は礼を言ってガルードさんの広い肩から降りた。
ざくっと凍りついた雪を踏み締め、火傷しそうな憎悪の視線を真っ向から受け止める。帽子を外して胸に抱えると、煉獄鳥の炎が優美な弧を描いて吹雪を彩りました。半歩片足を下げ、慇懃に頭を下げる。
「轟雷王より貴方に死を告げるようにと、冥府より推参いたしました」
頭頂部に『ドランドを唆した人間か?』と信じられない呟きが触れる。しかし、それは小さい火花であっても、悪鬼の憎悪を焚きつけるには十分なものでした。次の瞬間には、悪鬼が烈火の如く怒り出したのです。
「貴様が関わった頃より、何もかもが上手く行かぬようになった! 貴様を生きたまま引き裂き、スープ代わりに血を一滴残らず飲み干してくれるわ!」
正直、ゾンガロンが覚えているかと問われれば微妙だったので、ガルードさんに派手に暴れ回って注目を集めてもらっても、僕に目を留めるかは賭けでありました。
しかし、彼は覚えていた。
僕は頭が下がっているのを良いことに、笑みを隠しませんでした。その笑みを拭うように真面目なものに正して顔を上げ、深々と帽子を被って銀の竪琴を構えました。
「出来るものなら、やってごらんなさい」
現代オーグリード決戦最終章!!!!!!!
ついに、あちこち暗躍していた『彼』の登場です! モンスターマスターとして戦いに、ドランド王国の末裔も参戦!
