ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
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レイピアを構えた私の両脇から、二つの影が駆け出した。
「ラチック! 悪戯に魂を消費できねぇ! 確実に、一撃で、やるぞ!」
雨を弾き飛ばす速度で魔獣に迫るのは、二振の隼の剣を引っ提げてケネスだ。水を吸って相当の重量になっているだろうコートを羽織っているのに、その速度は全速力の私をも超える。やはり、皆の魂が懸かっているからか、いつもよりも声にやる気がある。
「うん!」
私と魔獣の間に立つようにラチックの大きな背中が立ちはだかり、大きな盾を構えて一歩一歩大きな水飛沫を上げながら前進する。勇者の仲間として確かな実力がある二人の圧は、己を殺害する脅威として魔獣の余裕を押し潰した。
魔獣が体を仰け反らせ、金切り声の咆哮が雨音を薙ぎ払った。
突進してくるかと身構えたラチックの背が、誰かが『上だ!』と言った声に伸び上がる。私も誰もが、頭上に重く伸し掛かるような眉を見上げた。
まるで月のような淡い乳白色の光の繭を切り裂くように、黒い線が伝う。それは繭の底の部分で雫のように大きな塊となり落ちてくる。塊が繭の光に浮かび上がり、腕を広げて凶悪な爪をぎらつかせる。
あれは、異形獣!
「兵士達は前へ! 賢者様達をお守りしろ!」
ノガートの鋭い声と共に、武装した兵士達が駆け出していく。勇者の橋に続々と異形獣が落ちて、瞬く間に見渡す限りが戦場と化す。爪と剣が交錯して火花が飛び散り、地面に邪悪な眼のような魔法陣が描かれたと思えば爆発を振り撒く。目の前の敵だけではない戦場に、兵士達は混乱の只中でも必死に戦っていた。
私も手近な異形獣にレイピアを突き刺して、驚きに目を見開いた。
手応えがない。
目の前に異形獣がいるのに、まるで空気を突いているような感覚。
しかし、見渡すとしっかりと異形獣と切り結んでいる兵士もいる。襲いくる殺気に身を屈め頭上を通り過ぎる鋭い爪を躱し、貫いたレイピアは確かな感触をもって異形獣を絶命させる。
混乱する頭を、甲高い声が貫く。
『アンルシア姫! 勇者の眼を使うのでアール!』
真実を見抜き、幻を打ち消す勇者の眼。声に従って目を凝らすと、戦う兵士達の魂の輝きと異形獣の魔瘴を煮詰めたような闇が入り乱れている。戦場の向こうにいる大きな輝きは、ケネスとラチックだろう。
ふっといくつもの異形獣の頭上に小さい炎が灯ると、漆黒の闇が透けて見える。
幻だ!
驚いて目を見開く私の前で、賢者ブロッゲン様が散歩するような足取りで異形獣の合間を歩く。異形獣の頭上に杖を向けると頭上に炎が灯り、その異形獣が幻であるのがはっきりとわかった。ブロッゲン様は実態と幻を見分け、印をつけているのだ!
ドワーフの賢者は、編み上げるほどに豊かな毛髪の向こうで力強い瞳を覗かせた。
「まやかしを打ち消し、仲間を助けよ」
「ありがとうございます! ブロッゲン様!」
ブロッゲン様がつけてくれた幻を勇者の眼で睨みつけると、幻の異形獣は魔瘴の煙となって潮風に薙ぎ払われていく。幻と実態を見分ける必要は無くなったが、幻をかき消すのは集中が必要だ。目の奥が痛み、消せば消すほどに視界が霞んでくる。
ピぺの小さい手が労わるように私の目の横に添えられると、目元を筆がさらりと触れる。目の痛みが和らぎ、爽やかさすら感じて鮮明になる視界に、私は盟友の強さを実感した。
稲野のご贔屓賢者様ブロッゲン様!寝てても転ばず目的地へ歩ける設定を拡大解釈した、独自設定だから鵜呑みするなよ!公式でなんか力が公開されたら、しれっと修正してるかもだぜ!
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