ハコの厚みはここ次第!
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■ Profile ■
稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
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アーヴさんが『お待たせ』と言いながら歩み寄ってきた。
「ここが父の言っていたバルザックの研究所のようだ」
目的地だった安堵はなく、気分が悪いのを隠さない険しい顔だ。
バルザック。四つ目の神話に登場する錬金術師は、死に至るまで悪逆非道の限りを尽くした。
石を黄金に変えることから始まった錬金術はその解釈を広げ、不老不死や不治の病の根絶など人の想像するあらゆる欲望を具現化する術となった。バルザックは研究の過程に無辜の民の生命を浪費して、人の道を踏み外した。
錬金術師は難解で、不可能に立ち向かう研究だ。運良く大きな成果や新しい発見がある場合もあるけれど、報われない事は普通にある。出口のない迷宮を彷徨うような、川の流れに逆らって泳ぐような研究者達は、誰もが一度は考えただろう。
バルザックのように人の道を踏み外したら、成功するのでは、と。
人の命は、魂は、巨大な結果を簡単に得られる素材だ。
そんな誘惑に溺れた者の一人が、アーヴさんのお祖父様だった訳だ。禁忌の誘惑は神話を経て名前と人格を得てしまって、今では珍しい事じゃなくなっていた。
「同じ錬金術とは思えない、規模の大きな実験が繰り返されている。残留物も発生していて、地下に遺棄しているようだ」
アーヴさんは険しい表情のまま、あたし達を見た。
「こんな恐ろしい実験をしたバルザックが、死んでいるとは考えにくい。気をつけて進もう」
はい。緊張した面持ちで返事をしたルアム君の隣で、あたしも頷いた。
研究所の奥へ進む程に、毒ガスのような刺激臭が強くなっていく。バギを制御して換気するけど、清浄な空気を取り込む侵入口が遠くなる程に時間が掛かるようになってきた。レミーラを消してバギの制御に集中する。どこをどう歩いて、どんな物があったか全然認識できない。時々、ルアム君が、手を引いてくれるのに従いながら先を進んだ。
「止まって」
扉の前でルアム君が振り返った。カンテラを扉の横に置いて、張り付くように内部を探る。
「何かがいる気配がする」
アーヴさんが両手杖を握り魔力を高め、ルアム君が矢を軽く手の甲に触れさせて弓聖の守り星の加護を掛け直す。魔物が出てきた場合は、ルアム君が前衛、アーヴさんが後方で攻撃呪文で援護。あたしは状況に応じて下がるように言われているけれど、二人が戦えるように照明と換気を続ける事になるだろう。
「目を閉じて口を覆ってて」
言いながらあたしが扉の前に進み出ると、両脇に付いたルアム君とアーヴさんが腕を口に押し当てて身構える。二人が扉を開け放った瞬間、あたしは高らかに呪文を唱えた。
「バギマ!」
部屋に堆積した塵にも有毒物質があるだろうから巻き上げたくはないんだけど、換気の時間を短縮する為には仕方がない。
部屋の全ての塵や埃が掻き混ぜられて吸い出され、扉に立つあたし達に強い向かい風となって当たる。砂混じりの強風を真っ向から受けたと思えば、次の瞬間には追い風に押される。まるで竜巻の中にいるような風の流れ。あたしは風の制御を弱めると、両手を振り下ろして部屋全体にズッシードを施し舞い上がる埃や塵を地面に叩き落とした。
最後の仕上げとレミーラを唱えれば、温かみのない白い光が空間を照らし出す。
『随分ト、生キノ良イ素材ダナ…』
部屋の中にいた巨大な影が、ゆっくりとこちらを向いた。
親世代の探索で絶対立ち入らせない状況にしたから、ガス溜まり対策頑張ってます。
「『エテーネルキューブ』に構築された術式はとっても複雑で、ちょちょいと弄ってプクリポのお兄ちゃんを巻き込まないようにするのは難しいんだ」
時間に関わる魔法は非常に不安定で、道具として安定して干渉できる存在はとても珍しい。そんな中で『エテーネルキューブ』は芸術的と言って良い、複雑な術式が組み込まれている。さらにキュルルって妖精が術式の重要部分に組み込まれている上に、エネルギーが枯渇して全ての構築式が見えない。
危ない時間や場所に飛ばされる可能性を考えれば、迂闊に触らない方が良いだろう。
それ以上に、プクリポのお兄ちゃんがルアム君の時間転移に巻き込まれたの理由が厄介だ。ルアム君とプクリポのお兄ちゃんは、同じ名前だからだけではない強固な魂の繋がりがある。目の前のルアム君にさっきのメラで火傷を負わせたら、村で療養しているプクリポのお兄ちゃんも火傷を負うくらい強い。距離を置いた程度では、ルアム君の時間転移に引っ張られないとは言い切れないんだ。
この理由を排除する為には魂の繋がりを切断する必要があるんだけど、他人の冒険の書の損壊は大罪だ。絶対にできない。
「そうなると、自衛するしかない」
「自衛、ですか?」
プクリポのお兄ちゃんの命が掛かっているからか、ルアム君が前のめりになって訊いてくる。
幼い頃に写本した始まりの大賢者シフィル様の書を収めた鞄。その横に吊るした白い巾着袋は、お世辞でも綺麗ではない魔法陣が金の糸で刺繍してある。口を絞る為の紐には、魔法の効果を高める水晶の玉を通してる。巾着袋を逆さに振って、中身を手のひらに落とし込んだ。
覗き込んだルアム君が、首を傾げる。
「命の石?」
子供の掌くらいの大きさの、青み掛かった透明な石。美しくカッティングして宝飾品にしたり、恋人や夫婦が一つの宝石を二つに割って共有する場合もあるけど、これは何の加工もしていない原石だ。大きい二つの結晶が下方で一つになっている形が、まるでハートみたい。
「本当は命の石じゃないんだけど、効果は命の石と一緒だよ」
命の石には、持ち主に降りかかる厄災を引き受ける効果がある。
横転した馬車に巻き込まれた者が、奇跡的に無傷で助かった。火災に巻き込まれ死を覚悟した者が、軽い火傷を負った程度で脱出できた。そんな運の良い人は、自分の持っていた命の石が真っ二つに割れているのを見るだろう。命の石が厄災を引き受け、持ち主を守る。この効果は生命を奪う呪文ザギにすら効果があって、誰もが一個は持っているお守りだ。
時間とは全ての存在に平等に流れるものだけど、おそらく時間転移の際に本来なら有り得ない歪みに晒されて魂が傷ついて昏睡した。これは時間転移の際にプクリポのお兄ちゃんに降りかかる、時空の歪みを引き受ける為だけに作った石だ。
「『エテーネルキューブ』がお腹いっぱいになったら、仕上げるつもりなんだ」
エネルギーが充填されれば、全ての構築式が見れるはずだ。きちんと『エテーネルキューブ』の時間転移に限定させないと、日常の小さい歪みで割れて、あっという間に砂になっちゃうからね。
食い入るように石を見ていたルアム君が、深々と頭を下げた。
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
ルアム君の肩に手を置いて、顔を上げさせる。
あたしよりも年下で、可愛い男の子だ。あどけなく丸いほっぺたに、しっかり者の凛とした光を帯びた青紫の瞳。眉毛が男の子らしく濃くて、青紫の毛髪は柔らかくて量が多い。ちょっと燻んだ緑に染めた毛皮のコートを着て、弓と短剣を装備した立派な狩人。
「言っても無駄かもしれないけど、言うね」
プクリポのお兄ちゃんが大好きだし、相手もルアム君を大切に想ってるだろう。幸せな関係が足枷になる未来が想像できて、なんだか悲しくなってくる。
「『エテーネルキューブ』を使わないで済むなら、それが一番良いんだからね?」
ルアム君は目を伏せて、小さく頷いた。
うっちの3賢者はシフィル様ですよー!
いのまた先生の美麗なシフィル様は本当にマジで3賢者!!あぁー!絶対地上に降りてから悟りの書とか書いてるよって思ってるから、ここでは最初の賢者なんです!厳密に最初だとニクスの兄貴とかになりそうですけどね!
あぁーー!いのまた先生がお亡くなりになったとか嘘だーーーー!ドラクエにテイルズに、稲野の青春を彩った方なのに!!!!!うわーーーん!!!!!
あわわ!久々に拍手いただきました!ありがとうございます!
DQ9小説のために篭ってたので、とても久々の拍手が沁みます!
あたしは頬を指で押しながら、うーんと唸った。
ルアム君は世界中を冒険して色んな経験をしたから、普通の人よりも想像力も理解もある。きっと、プクリポのお兄ちゃんが意識不明になった原因が、『エテーネルキューブ』を作動させた自分にあるんだろうって思ってるんだろう。その予想は正しくて、どう説明すれば正しく傷つけずに伝えられるか言葉を選ぶ。
指先にほっぺたの弾力を感じながら、目をくるりと回して部屋の中を眺める。
「防御力が無かったって感じかな?」
ぼうぎょりょく?
よっぽど予想外の事だったみたいで、ルアム君が目を白黒させて呟いた。
ほーら。こんな顔させちゃうの、分かってたんだよ。みーんな、あたしの説明聞くと微妙な顔するんだよね。あたし、説明下手っぴなの。ガライさんがいてくれれば、もっと上手に伝えられるのになー。
あたしは一本立てた人差し指の先に、蝋燭の火程度のメラを灯して見せた。
「このメラはとっても弱いけれど、触れば誰もが火傷しちゃうね」
意味不明な防御力について説明していると分かっているからか、ルアム君は黙って頷いた。
ふいっと指先のメラを消して、頭上に照らしたレミーラを指差した。あたしのレミーラは、真っ暗い部屋を日差しが燦々と差し込む空間に変えている。地面にはくっきりと黒い影が落ちていた。
「もしこの光が太陽の光なら、肌の弱い人は日焼けしちゃう。日焼けも火傷の一種なんだよ」
このアストルティアは人間以外の多様な種族がいる。
その多種多様な種族でも、呪文などの強い力に晒されれば怪我をする。
しかし怪我に至らなくとも、人によっては厳しい環境は存在する。
砂漠が広がる大地に暮らすドワーフという種族は、強い日差しをものともしない。逆に海が広がる島国に暮らすウェディや、大森林に抱かれて暮らすエルフには、大砂漠の日差しは命を奪う脅威だ。
「世界は穏やかそうに見えて、色んな魔力が渦巻いておっかないんだよ。おっかないのを感じない程度の防御力を持って生まれるから、皆は普通に暮らせるの。でも防御力は種族や出身で、どうしても個人差が出ちゃうんだ」
ここら辺はちょっと難しいかも。
いくつかの世界を渡るモンスターマスター達には常識なんだけれど、冒険の経験からかルアム君の瞳に理解の光が灯った。納得したように深々と頷く。
「つまり、僕が無事で兄さんが昏睡した違いは、耐性の個人差によるものなのですね」
「その通り! ルアム君は賢いね!」
ぱちぱちと拍手をすると、頬を染めて照れる。かわいいね!
しかし、次の瞬間には照れた笑みを拭うように消した。
「ということは、また『エテーネルキューブ』の転送に巻き込まれれば、兄さんは再び意識を失ってしまうんですね?」
真剣な問いかけに、あたしは正直に頷くしかなかった。
彼女は誰だろうねー(棒)
まぁ、レナート君が誰だかわかって、彼女も誰だかわかる人は、不穏な予感がするね。大丈夫、その予感は正しい。
アーヴさんとエムリヤさんが隅々まで島を探索したけど、一箇所だけ未調査の遺跡があるんだって。遺跡の入り口が地盤沈下で沈んじゃってたんだって。今じゃ遺跡は土砂崩れに飲まれてしまって、天井の一部分だけが地上に顔を覗かせていた。
人里から遠く離れた山奥の遺跡は、山から吹きおろす風に刺激臭を混ぜる悪臭の元凶だ。遺跡の周囲は植物が枯れ果て、動物の生息する形跡はない。土は妙に黒ずんでいて、踏み締めると新雪のように足が沈み込む。この妙な土壌の緩みが地盤沈下の原因なんだろう。この土に触れると、真っ赤に熟れた吃驚トマトみたいになって、パンパンに腫れ上がるんだって。嫌なものが染み込んでるんだろう。
アーヴさんが呪文で天井に穴を開けて、ルアム君が頑丈に編んだ縄梯子を掛ける。澱んだ空気をバギで入れ替えてから、あたし達は遺跡の中に踏み込んだ。
天井の穴から光が差し込んで浮かび上がった範囲では、荒れ果てた様子はあるけど魔物が住み着いている様子はなさそう。倉庫だったのか、沢山の木箱や中身の分からない物が詰められた瓶が転がっている。先に降りたアーヴさんとルアム君に近づくと、レミーラで光を灯してふわりと浮かべる。既にバーハが重ねられ、弓聖の守り星の加護が掛けられている。
「少しでも危険があれば、すぐに撤退します」
短剣を抜いたルアム君に続いて、あたし達は遺跡の中を進んでいく。
小さい骨は匙くらい、大きい骨は長剣サイズと様々な骨が堆く積もった牢屋。魔法陣を敷く為に、厳選された魔法伝導率の高い石畳が中央に敷かれた部屋。蒸留水を作り出す器具や、薬研、実験結果を書き留めた紙の束が転がる実験室。本棚にぎっしりと詰まって、床からも天井に届くほど本を積み上げた書庫。どの部屋も指で掬い取ると、こんもりと玉ができるくらい埃が積もってる。
アーヴさんが錬金術に関わる施設か判断する為に調べている背中を眺めていると、ルアム君が話しかけてきた。視線を向けると、丁寧に頭を下げられて青紫の旋毛が見えた。
「兄さんを助けてくださって、ありがとうございます」
「お礼なんて良いって!」
さぁさぁ。お顔上げて! あたしはルアム君の肩に触れて、顔を上げさせる。危険な場所だから警戒しなきゃってしっかりさんが、喜びが爆発しないよう精一杯堪えてる。年下なのに偉い子さん。ルアム君の潤んだ瞳に、青い瞳を細めてにこにこ笑うあたしが映る。
「いいえ。言い足りないくらいです。貴女に診て貰えなかったら、兄さんは一生目覚めなかったかもしれないから…」
恐ろしい想像に、ぎゅっと拳が握られる。
ルアム君と同じ名前のプクリポのお兄ちゃんは、『エテーネルキューブ』の初めての起動に巻き込まれてから意識がなかった。最初に飛ばされた先は王族のお屋敷で、主治医も匙を投げたらしい。専門の機関で詳しい検査をした方が良いと言われた矢先に、終末の光景が広がる時間に飛ばされる。そして戻ってきたエテーネ村で、あらゆる人に診てもらったが原因不明と首を横に振られちゃったとか。
あたしが処置して、目が覚めたのは出発前日だったかな。ずっと眠っていたから、本調子になるまではエムリヤさんが看病してくれてる。
あの。ルアム君がおずおずと訪ねる。
「原因は、なんだったんですか?」
バルザックの研究所に潜入ですよ!
まずは意識が戻ったプクリポルアムのことについてお話があります。
それは四つ目の神話に登場する、悪い錬金術師の名前だった。
勇者と共に世界を救うべく導かれし者達の中に、美麗な双子の姉妹がいた。太陽の眩さと苛烈さを宿した姉と、月の慎ましやかさと神秘さを宿した妹。そんな姉妹の育ての父が弟子の一人に殺害されてしまい、姉妹は復讐の旅に出る。四つ目の神話の姉妹の章の冒頭部分だ。
姉妹の仇をバルザックという。
バルザックは野心の強い男で、師匠である姉妹の父から研究結果を奪ったとも、錬金術を悪き目的で使おうとしたのを止めようとした師を殺害したとも、師の才能を妬んで殺したとも言われている。どんな諸説があろうとも、バルザックは姉妹の育ての親を殺し、悪の道に走り、最終的に異形の魔物の姿となって姉妹に討ち取られるのである。
『アーヴ。お前の祖父はバルザックという名前なんだ』
今も懐疑的な父の秘密だった。正直、今だって冗談だと思っている。
四つ目の神話の存在から『バルザック』という名前を我が子につける親などいない。私の祖父は四つ目の神話のバルザック本人か、神話の悪人の名前を好き好んで名乗ったのだろう。
『バルザックは狂っていたよ』
断言した瞳は酷い恐怖に揺れていた。
そこは最早、生き物が生活する空間ではなかった。『究極の錬金術』というあやふやな概念に取り憑かれ、見上げる背中は人の形を失っていた。魔力と生命力を食い尽くされた死体は、骨と皮に成り果てて、人成らざる生き物が身動ぐ振動だけで崩れていく。とても悪い空気で、少しの物音をも響かせぬ為に水瓶に頭を突っ込んで咳をした。このままでは、自分も地面に転がるものと同じになる。父は過呼吸になりながら私に言う。
『逃げた。逃げて逃げて、この村に辿り着いた』
アーヴ。肩を掴んだ手がぎりぎりと食い込んで酷く痛んだが、父の血走った目が、口の端からこぼれ落ちる泡だった涎が恐ろしかった。はぁはぁと吹き付ける息から、血の香りがする。
『研究所には近づくな』
頷くまで手は緩まなかった。『分かった。近づかない』そう言うと、父は何事もなかった様子で笑って『さぁ、晩御飯の支度をしよう』と立ち上がったものだ。
父はその後、死ぬまでバルザックの話をすることはなかった。夢でも見たのかと思う程に、父は普段通りだった。確かに父はエテーネ村の外から来た余所者だったが、エテーネ村には十年に一度程度は迷い人がくるので珍しくはない。街へ嫁いだ者も、街から戻ってくる者もいる。悪さをしなければ問題視されないし、母と結婚し私という子を成して平凡な家庭を築いた。私が妻を迎え子供に恵まれても、父が語った神話の悪人の影は無かった。
ただ、父は錬金術の才能があった。
私も、息子のテンレスにも引き継がれている。
その才能がバルザックに因るものなら?
私は頭から音を立てて血が落ちていくのを感じていた。頭の中に氷が詰められたように冷え切り、心臓が弾けそうな程にがなりたてる。暗転した視界の中で、アバ様のぽっちゃりとした手が浮かんで私を指差した。
『お前達の息子は、いずれ恐ろしきものに成り果てる』
私達の旅の始まりのお言葉が、闇の中に反響した。
うおおお!書き上がった!!!!!
読んだ通り、私は割とこの話に出てくるバルザックが本人かと言うと、どうかなー?ってクチです。DQ10では過去作のボスクラスの魔物達が出てきて、それらは本物扱いです。しかしそれら本物は魔法の迷宮やイベントの特殊空間という、非常に限られた特殊な空間のみ存在しています。
しかし、このバルザックに限っては、アストルティアという通常空間に存在しています。ゆえに本人と扱うのが軽々しく判断できないのです。幻影か、バルザックを騙った狂人か、悩ましいところですね。