ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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ロトさんが左手を顎に添えると、手の甲にレナートさんと同じ紋章が見えた。白いぽっちゃりとした手にうっすらと赤く付いているのは、錨のようなつるはしのような不思議な紋章だ。何の意味がある紋章なんですか?ってロトさんに聞いたら、良く分からないって言ってたっけ。
しげしげと見ている間、ロトさんは考えながら喋り出す。
「理屈上はそうなるね。蘇生を妨害するだけなら、ザオ系の生命流動を阻害すればいいから魂までの対価は要らなくなると思うよ」
だがよ。口を挟んだカンダタさんは、珈琲のカップを置いて身を乗り出す。
「城で聞いた話じゃ、不死の理屈はザオ系じゃねぇらしいぞ。魂を命の石みたいに使ってるらしいぜ」
厳戒態勢のグランゼドーラ城に、どうやって忍び込んだんだろう。
でも、異形獣や繭の脅威に身構えてるんであって、人間に対しては警戒が緩んでいるのかもしれない。城下の人々は避難しているから、情報が漏れる心配もないと箝口令を敷いていないのかもしれない。
命の石と聞いて、兄さんがお腹からエンゼルランプの硝子瓶を取り出した。エテーネ王国に行った時大きくひび割れたロトさんの作ってくれた石は、帰ってきた時に器の中で真っ二つになった。この石が砂になるまで兄さんを守ってくれるそうだけれど、時空転移をしなければ良い話だ。今回任される千年前の禁術の捜索も、回避できるならしたい。
「身代わりかぁ」
ロトさんが天井を仰ぐ。
「相手が保管して身代わりにできる魂の数を上回れば、死ぬのかなぁ。それとも、保管してる魂を昇天させて手元から無くすか…」
「昇天はお勧めしません」
ロトさんの後ろから、アインツがお茶のおかわりを持ってきた。コンシェルジュ達が着る服と同じ型の服を水色で染め、胸元のスカーフが柔らかいオレンジ色だ。湯気のたつ紅茶を注いでロトさんの前にカップを音も立てずに置くと、空いたお皿を小さな指先が掬い上げてお盆にひらりと乗せていく。小さく会釈した黒髪の向こうで、碧の瞳が瞬いた。
「魂は大変繊細ですので、無理をすれば壊れてしまいます」
むずかしいなぁー。ロトさんの白い喉元から声が漏れる。
賢者様達が封印しか選択できなかったのを思えば、こんな宿屋のお茶会で解決策が浮かぶ訳がないんだ。やっぱり、誰かが死ななきゃいけないのか…。そんな言葉が零れてしまう。
まって。ロトさんの手が天井に伸ばされる。
「もうちょっと、考える」
体を起こして、腰に吊るした使い込んだ本を取り出す。革張りの本の中に、隅が焼けたクリーム色の紙が分厚い頁を構築して、濃厚なインクの匂いに微かに潮の香りがした。全ての頁にはぎっしりと文字が書き込まれていて、印刷とは違う独特の癖に手で書き起こされたのだと分かる。
見ていてどきどきする。
プクレット村で初めて海を見た時を思い出した。森と平原と山に囲まれた村しか知らなかった僕に、シンイさんが歌うように教えてくれた塩っ辛いどこまでも続く水溜まり。ざざんざざんと寄せては返す波の彼方まで、まるで水鏡のように真っ平な水平線。星空と海が重なり合う場所から白が夜空に広がっていく。広がって広がって、赤い太陽が昇ってくる。
村の皆が死んだのに、恐ろしい冥王に殺されそうになったのに、テンレス兄さんがどこかへ消えてしまったのに、僕はこれからどうすれば良いんだろうと途方にくれていたのに、僕を貫く朝焼けに全て掻き消されていた。
綺麗で、大きくて、すごかった。そんな海の記憶が呼び起こされる。
よし。ロトさんの声が、本を閉じるように記憶を遮る。
「みんなで、お神輿わっしょいしよう!」
ザオトーンな話。
そして皆さんご覧ください。これが伝説の勇者と同じ名前の人物のキャラクターですよ。どんな鬱展開もダイタ●ンクラッシュする勢いです。かつての自分はよくこんなキャラ作ったなって感心するレベルで、語彙が酷い。
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