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ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
DQ11小説アンソロジー主催を勢いでしている傍ら、switch購入してバケツを愛でるイカであり、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコがあれば生きて行ける!
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 ローレシアと名付けた北方大陸の拠点の集落が宿場町よりも大きくなった頃、酒場の主人がひょいと顔を見せた。酒場はいつも大繁盛。洒落た口ひげと、大きな口を開けて笑う豪快さが元傭兵をうかがわせるお人だ。今日もたくさん儲けたという明るい話題かと思ったけど、その表情は神妙だった。
 あまりにも普段と様子が違うので、あたしもアレフも顔を見合わせて話を聞く。彼の言葉にアレフは目を丸くした。
「傭兵の管理がめんどくさい?」
「もう、酒場と兼業でするのが無理なくらいなんだ」
 あたしは何となくわかったけど、アレフは意味がわからないと眉根を寄せる。その表情を酒場の主人は非難しなかった。
 もともと、傭兵とは自分達で仕事を探す。直接、商人に交渉し契約するのだ。酒場の主人が商人から良い傭兵を紹介するというシステムは確かにあったが、傭兵がどこかの地域に所属するという概念がないので『傭兵の管理』という言葉がわからないのだ。
「アレフ、お前がこの北方大陸の陸路を開拓して、多くの傭兵の拠点にここはなった。ここの傭兵の行動範囲は、西の果てはアレフガルド、南はデルコンダル、南東にムーンブルク、果てはテパと広大だ。そこは、分かってくれるな?」
「勿論だ。俺は定期的に護衛の仕事で回ってるからな」
「任期は半年から一年以上の時もある。そうなると、商人達が聞くんだ『あいつに仕事を頼みたいんだが、今どうしてる?』って」
 主人はそのフレーズが心底嫌な思い出になっているんだろう。うんざりしたように背もたれにもたれ掛かった。
「口利きは酒場の立派な仕事。最初は『あいつは今どこどこに行ってる』とか返してたが、人数が多くなって来て帳面を作るようになった。それも、あっという間に満杯だ。ほれ」
 そうテーブルに投げ出されたのは、使い込まれた紙の束。あたしが手にとって見れば、ぎっしりと傭兵の名前と雇われた商人、目的地などが記載されている。横から見たアレフが顔を険しくした。
「この状況は俺だけでなく、ローレシアの酒場や飲食店どこでも見られる現象だ。誰もが悲鳴をあげてるよ。正直、酒場としては口利きから手を引きたい」
「すまなかった。気が付いてやれんで」
 アレフが頭を下げると、主人は笑った。
「いや、傭兵は気づかんだろう。お前が悪いわけではないのに、労ってもらってこっちこそすまん」
「だが、酒場や飲食店が商人と傭兵の間を取り持ってくれなければ、互いに仕事を見つける場所を失ってしまう。従業員を増やすとかで対応できないか?」
「お前に相談する前に、思いつくことは全てやったさ。だが、従業員に負担が増したり、それぞれの持っている情報はバラバラの穴だらけでな、情報交換と収集やまとめで疲れ切ってしまう」
 確かに、それぞれの酒場で紹介していれば『あそこの酒場では知らなかったが、あっちの酒場ではどうだろう?』となってしまう。疲れきるのは酒場や飲食だけでなく、商人達もだろう。
 アレフも難しい顔をして腕を組んだ。
「酒場や飲食から、仕事の紹介を切り離す。そうするとしたら、何かしらの窓口を作らんと、商人も傭兵も露頭に迷うな」
 あたしはアレフの横顔を見る。皆のことを考えてる素敵な顔だ。そして、待ちに待った機会と、導くように告げるべき言葉を彼に言った。
「傭兵のギルド、作ったら?」
 ギルド? アレフと酒場の主人が首をかしげる。
「そう、傭兵の組合。傭兵の皆に登録してもらって、管理と紹介を一括で担うの。そうすれば、酒場の人達が情報摺り合わす必要ないし、商人の人達もギルドにくれば紹介してほしい人がいなくても代わりの人を用意できる。結構、合理的だと思うけど」
「流石、ローラ様。賢いなぁ!」
 手放しで褒める主人だが、アレフは怪訝な顔だ。
「良い案だとは思うが、誰がやるんだ? それ」
「うーん、事務仕事だし人を集めて暇な奥様方にやってもらっても良いかな。登録と紹介料や報酬で、雇った奥様方にお給料出してあげられると思う」
 あたしが出来そうって呟けば、自分達の手から離れると殿方達の関心が失せて行く。でーもー、それじゃあ終わらないよ!
「ギルドの責任者は、アレフにしてもらうからね!」
 アレフが昔、竜ちゃんを初めて見たときみたいに驚いた。完全に予想外、そう言いたげな顔は結婚したからわかるけど彼の本心が曝け出されてて可愛いな!
「それは良い。アレフ以上の適任はおらん。傭兵も商人も諸手を挙げて賛同してくれるだろう」
「待てっ! どうしてそうなる!」
 そうなるしかないじゃーん! もう少ししたら、その頭の上に王冠載せるんだからね! 覚悟しててよ!

ローレシアが傭兵王国になる第一歩。傭兵ギルドの創立話。

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