ハコの厚みはここ次第!
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■ Profile ■
稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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『出鱈目だ!』『真実キュ!』そう言い合う二人を前に、私は思わず呟いた。
「世界中を巡ってきたつもりだが、光る繭も、世界が滅亡するような異常もなかったぞ」
妻も同意するように、隣で頷いている。
私達は世界の機微を感じ取れるよう、常に目を光らせ感覚を研ぎ澄ましていた。ルアムが見てきた未来が真実だとしても、俄に信じられぬ平穏が今の世に満ちている。確かにここ近年は大魔王の襲撃に、ナドラガンドとアストルティアが再び結びつくなど、世界が傾ぐ出来事が立て続いた。それらを乗り越える力がある世界を滅ぼす厄災など、想像もできなかった。
それよりも、だ。
私は徐に立ち上がると、興奮する息子の背後に回る。まだ小さい肩に腕を回し、背中から抱き竦めた。
「少し静かにしていなさい」
大声を出そうと息を吸い込んだ口に手で蓋をすると、ルアムが不満げに もごもご言う。
「初めまして、私はアーヴ。テンレスとルアムの父だ。息子の話からして、危機を救ってくれたのは君ではないかね? 礼を言わせて欲しい。息子を救ってくれてありがとう」
水色の肌の生き物は、無感情に私の感謝の言葉を受け取った。
「状況の結果、ルアムを救出する形になっただけキュ」
そして小さな生き物は銀の小箱にどかりと腰を下ろすと、手でぺちぺちと銀の面を叩いた。
「この銀の小箱は『エテーネルキューブ』。時間跳躍制御装置キュ」
ほう。その場全員の視線が、銀の小箱に注がれる。
美しく鏡のように磨かれた銀の生立方体。目を凝らせば全ての面に精緻な紋様がうっすらと刻まれていて、芸術品の美しさを兼ね備えている。箱だけでも、一流の道具鍛冶職人の技量が必要な難易度だ。この小箱がテンレスからルアムに託されたのなら、錬金術で作られたのだろう。用途はまだ把握しきれないが、錬金術師としては親である私を既に超えているに違いない。
「エテーネの民はその身に宿す時渡りの力で、時間と空間を越える事が出来るキュ。どんなに強い時渡りの力を宿しても、時間と空間を越える事ですら難しいキュ。目的とした時間からズレたり、目的地とは見当違いな場所に出たり、まぁ、碌な事にはならないキュ」
実際に見てきたかのように、生き物は呆れた表情で遠くを見遣った。
この生き物が思い返しているのが息子のテンレスなら、なるほど、技量は上がっても性格は変わらないのだろう。失敗しても憎めない笑みを浮かべて、諦めないのが目に浮かぶ。
「つまり、時渡りの力を持つエテーネの民が『エテーネルキューブ』を使う事で、任意の時間と空間へ正確に移動できるという訳だね?」
私の確認に、生き物がこくりと頷いた。
「流石はテンレスと血縁関係にある個体キュ。理解が早いキュ」
テンレスはなんというものを作ったのだろう。私は息子の才能に激しい嫉妬を覚えた。
我々が呪文として行使する魔法は、世界に存在する力をほんの一部引き出すことしかできない。圧倒的に使用者が少なく解明されていない力が殆どで、魔法や呪文として確立していないものばかりだ。エテーネの民の時に関わる力も、その一つといえるだろう。
解明されていない魔法の何が難しいかといえば、魔法を起因する呪文や、魔法を発生させる仕組みが不明なのが大きな原因といえるだろう。その為に資質を持っている者でも、魔法を使う難易度は非常に高いのだ。『エテーネルキューブ』はエテーネの時渡りの力に限定したものとはいえ、魔法への理解が乏しくとも魔法を発動させてしまう道具なのだ。
これをエテーネの民に持たせれば、アバ様やシンイ様以外の者でも未来が見えるし、ルアム以外にも時を渡る事が可能となる。村が滅ぼされず存続していれば、エテーネの民は多くの国が喉から手が出る程の垂涎の力を擁した事だろう。
そこまで考えて、ぞっと悪寒が走る。
エテーネの民は古くからここに存在した。
この村を、民を滅ぼそうとしたタイミングが、なぜ今なのだ?
エテーネ村を滅ぼした魔族は、その事を知っていた? 魔族の背後にエテーネの民を滅ぼせと唆した者がいるのではないか? そうであるならば、その者は『エテーネルキューブ』の存在を知っていた事になる。時に関わるエテーネの民と『エテーネルキューブ』を結び付けぬ為に…。
テンレスが間接的に村を滅ぼす切っ掛けを生み出した。
書いてみると、ここらへんのつながりあんまり公式は書いてないんだよなぁーとか思ってます。ここらへんはプレイヤーの解釈に任せている部分だと思っています。
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