ハコの厚みはここ次第!
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■ Profile ■
稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
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バグド王が咄嗟に身を引いた先で、異形獣は頭上から鉄槌のように落ちた暗闇に押しつぶされてしまいました。黒い靄の塊のように姿形が定まって見えぬものの、その重みは鉄球の如きだったのでしょう。下敷きになった異形獣の胴体は完全に潰れ、ねっとりと生臭い血溜まりを作るのです。異形獣は痙攣しながらも、鋭い爪で地面を引っ掻き足掻いているようでした。
「このオーグリードで暴れて良いのは我のみ」
腹の底から響き渡るどっしりとした声色が、淡々と事実を述べる自信を吐き出す。
身震いして黒い靄を払ったのは巨大な獣。立ち上がれば逆三角形になるアンバランスな体つきで、二足歩行を放棄した脚は短く退化し、前身する事に特化した大腿部から上が筋肉ではち切れんばかり。重い筋肉を支える両腕は、樹齢百年を超えるブラウンウッドを彷彿とさせる太さと密度。背に生えた肉厚な翼は、羽でも皮膜でもない、骨と肉で出来た異形の形。ぎょろりとした目が睨みまわし、怯えるオーガ達の反応に邪悪な愉悦を浮かべます。
悪鬼ゾンガロン。
オルセコ王国史を研究する一環で、僕はロンダ岬に封印された悪鬼の姿を見たことがありました。本当に復活したのだと、僕は恐怖に歯の根が噛み合わないのを他人事に感じたのです。オルセコ王国史には悪鬼ゾンガロンによって、他国が如何にして滅んだかが数え切れぬほどの記録に残されています。国王を逃す為に兵士達が犠牲になり、民を失って瓦解した悲しき王国の末路。ゾンガロンの手によって、仲間同士が殺し合い全滅した王国。嗾けたゾンガロンが高みの見物をする中で、潰しあって滅んだ隣国だった国々。当時のオーグリードは部族が王国を名乗っており、大小様々な王国が犇いていました。国同士の諍いも、闘争心の強いオーガ族では日常。しかし、そんな中でゾンガロンは単独で数多の王国を滅ぼし、星の数の命を貪り、悪鬼と恐れられるようになったのです。
伝説の悪鬼はすり鉢のように平たい歯をがちりと剥き出しにし、頭上に浮かぶ男へ苛立ちを込めた視線を向けたのです。
「我が縄張りで獣を遊ばせるとは、見逃した事で随分甘く見られたものよ」
黒衣の男の表情は何の感慨も浮かべず、ただ空に浮かんでいるのみ。その様子に目を眇めたゾンガロンは、手の下に組み敷いた異形獣へ視線を向けたのです。
くあ。勢いよく顎門を開けると、異形獣へ噛み付いたのです!
異形獣の剣をも阻むような硬い外装を噛み砕けば、その下の柔らかい肉を噛んで引きちぎる。繊維を引っ張ってぶちぶちと切っていく力に体が引っ張られ、異形獣がのけぞり悲鳴をあげる。手で筋肉を裂いて腑分けすれば、脈打つ臓器を引っつかんで旨々と口元に運び、歯で噛み潰してのたうつ異形獣の体を鮮血に染める。折って剥き出しになった骨を引き摺り出し、しゃぶったかと思えば噛み砕いて音を立てて脊髄を吸い上げる。
ばきばき。むしゃむしゃ。ずるり。ぶちぶち。悪鬼が咀嚼する音を、吹雪は覆い隠してはくれません。
金属を引っ掻くような凄まじい音に、耳を塞ぎ顔を顰める者が続出する。しかし、つんざくような金切り声が、次第に爪を失った手で掻きむしるが如く湿った音を含んでいく。耐え切れずに嘔吐する音を横で聴きながら、誰もが目の前の虐殺から目を背けることはできませんでした。
もう金切り声が聞こえなくなった頃、名残惜しそうにしゃぶった指先が口から引き抜かれ、ちゅぱっと音がしたのです。口と指先を繋ぐ細い唾液の糸が、撓んでいく。
「ゲテモノは美味いというが、どうやら真実らしいな」
稲野。飯テロも大好きだけれど、食ってる描写を密にした事に自分で引いてる。
いや、ゾンガロンの悪食を誇張させるには大事なんだけどさ。
