ハコの厚みはここ次第!
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■ Profile ■
稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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元々この村には宿屋協会が進出していな為に宿屋が無かった。外からの来訪者は居なかったが、息子の新居に客が泊まれる離れが用意されていた。そこに通されると、仲間達は自分達が持参した食糧を全て使って離れの中を宴会の会場に変えてしまった。村人から新鮮な魚や肉や野菜を買い付け、囲炉裏の周囲を美味しく煮える予定の鍋で囲い込み、串に刺した魚やタレを何度も塗った肉を槍衾のように並び立て、瑞々しい果物を切って宝石の山のように皿に盛った。酒やジュースが行き渡り乾杯の音頭が取られれば、最高の気分で美味い物が胃と心を満たしていく。
仲間達は当然息子のことで興味津々だ。滅んだ村を逃げ延び、見事復興させた冒険譚をぜひ聞かせて欲しいと強請った。全く、遠慮のない仲間達だ。
無視しても良いぞと言ったが、心優しい息子は快く今までの旅路を語った。
息子が滅んだ村から旅立ち復興させた今に至るまでの物語を、私達は寝るのを忘れて聞き入った。村を滅ぼした冥王と名乗る魔族との対決。迷いの霧に包まれたレンダーシアを巡り、故郷の地へ至った長い道のり。伝説の竜族が暮らした大地ナドラガンドの冒険では、もう一人の息子テンレスの生存も明確に語られた。かの有名な吟遊詩人ガライでさえ、これ程に数奇な物語を語る事はできまい。私は息子の大きな成長を誇らしく思いながら、困難一つ支える事ができなかった不甲斐ない自分を恥じてしまう。
そんな息子が兄と慕う同じ名前のプクリポに礼を言いたかったが、意識を失って目が覚めないらしい。プクランドで合流した長老様の知人の背が、診察の為か寝床に向かうのを見送る。
宴もたけなわになった頃、息子は深々と長老様へ頭を下げた。
「改めまして、アーヴとエムリヤの息子ルアムです。父と母から、オバリス様に大変良くしていただいていると聞いております。両親をなにくれと助けていただき、ありがとうございます」
ほっほ。朗らかに笑うと立派な顎髭を撫で下ろし、長老様は私達に目をやりました。
「これはこれは、聞きしに勝る自慢の子。 鉄から白金が生まれたようじゃな」
「全くです。誰に似たのやら…」
私はがりがりと頭を掻いた。固くボサボサとした髪が、指の間を通っていく。ルアムは私の顔を見るなり『身だしなみに気を遣わない所、テンレス兄さんにそっくり!』と叫んで、明日にでも髪を切ろうと約束している。
未来の約束か…。
私は自嘲気味に笑ったが、恥ずかしそうに笑ったように見えたろう。
それにしても。長老様は目に覆い被さるような眉の下で、金色がちかりと炎の色を吸った。肩に掛けていた金属の棍を羽根のように持ち上げると、息子の腰に固定したポーチを突いた。その動作は老人とは思えぬ、素早く自然な動きだった。
「その銀は生きておるな?」
息子が『え?』と首を傾げたのと、長老様がポーチから銀の小箱を跳ね上げたのは同時だった。
キューー! っと甲高い子供の声が、蛍光色の光に包まれた箱の中から響き渡る。光が箱から離れると、両手に乗るような小さな生き物の姿になった。青い体から細い腕と脚が伸び、ぽっちゃりとした丸い体を支える為か大きな足。くりっとした目の間には、黄色い小鳥の嘴が付いています。緑のフードと一体化したマントを頭からかぶっていて、三角の大きな襟や裾の切れ込みが洒落ている。頭のてっぺんから土から頭を出したばかりの新芽のような突起が生えて、顔をぷるぷると振った拍子に揺れた。
「うわあああぁっ!」
生き物を見て悲鳴を上げたルアムに、つぶらな瞳がぎゅっと尖った。
「ルアム! ボクの声、ずっと無視するなんて酷いキュ!」
息子は眦を吊り上げて髪を掻き毟り、小さき生き物に言い返す。私達夫婦は初めて見るだろうルアムの感情的な姿に、目を丸くするばかりだ。
「あんな悪夢を信じろってのが無理な話だよ!」
「信じるも信じないも関係ないキュ! 近い未来でこの時間軸における世界は滅び、ルアムが見た終末の光景に成り果てるキュ!」
『嘘だ!』『嘘じゃないキュ!』と言い争う合間に、長老様が『なんとも穏やかではないのぉ』と呑気に挟まれている。水掛け論を断ち切るように二人の間を金属の棍が振り下ろされた。ぶおんと鼻先を掠めた棍に、二人がびくりと体を強張らせる。
流石、出身も年齢も種族も職業も、てんでばらばらな者達を束ねて旅を牽引してきた長老様。やや強引に二人の怒りを鎮めると、髭を撫でながら『さて』と切り出した。
「先ずはこの世界が滅ぶという不穏な話から聞こうではないか」
キュルル登場!
まだまだ、プクリポルアムは復帰できていません。
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