ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 戦士達の包囲網から、いの一番に飛び出したのはジーガンフの巨躯だ。武器を持たぬ生粋の武道家の戦い方が、オーガでも巨大な体躯であってもエルフのような俊敏さを発揮する。
「雪辱を果たす機会が、こうも早くに巡ってこようとは…!」
 先陣を切ったジーガンフに戦士達が続く。
 ゾンガロンの振り下ろした拳を、両手を交差して受け切ったジーガンフの足元が砕ける。それでも膝が砕ける事なく受け切り、動きを止めた悪鬼に戦士達が襲い掛かる。
 悪鬼が唸り声をあげて首を捻り、顔の前へ伸びる角で戦士達の振り下ろす剣を受け流す。片手で雪原竜をも倒す戦士達が薙ぎ倒され、翼に切り掛かった戦士を逆に振り払う。足元に倒れた戦士を叩き潰そうとした腕に渾身の力で両手剣を叩き込んだが、固く硬った筋肉に阻まれて刃が入っていかない。
 銀の鱗のギガントヒルズに姿を変えたダズニフが、戦士達に注意喚起の雄叫びを上げて突っ込んでくる。驚きに目を見開いたゾンガロンはジーガンフを押さえつけていた手を離し、ダズニフが突き出した手を掴んだ。悪鬼の体は岬の先端に向かって、地面を砕きながら下がる。大岩のような重量と膨大な筋肉量を誇るギガントヒルズの突撃を、ゾンガロンは弾けそうな筋肉で正面から受け切った。
「竜だと…!」
 ダズニフに掛かりっきりになった隙を、ジーガンフは逃さなかった。一歩間違えれば押し潰されてしまうというのに、そのまま深く悪鬼の懐に入り込む。
 深く腰を落とし、肘を引き、拳をゾンガロンの心臓へ向ける。
「ランガーオの武を、その身に受けるがいい!」
 悪鬼が後ろ足を蹴り上げ、巨大な黒い影が宙を舞う。突き上げた拳は、わずかに届かない。
 巨大な翼についた爪が銀色の鱗を切り裂き、浅い傷でも驚いたダズニフが手を緩めてしまった。そのまま、翼はギガントヒルズの肩を掴んで巨大な体を超えると、悪鬼は戦士達に向けて巨大な口を開けた。咆哮と共に迸った黒い光を、二人の戦士が浴びる。
 昏倒した戦士を助けようとした者が、次の瞬間、驚いて身をひいた。
「がぁあああ!」
 黒い光を浴びた戦士達が、手にした武器を持って攻撃してきたのだ。それだけではない。筋肉が異常に膨張し、激しく脈打つ血管が浮き出ている。口からが唾液が流れ、目は完全に正気を失っている。友の名前を呼ぶ戦士達の声も届かず、身に染みついた動作も忘れやたらめたらに武器を振り回す。
 ダズニフが巨大な掌で暴れる戦士達を押さえつけると、誰かが『鎖を持って来い!』と声を荒げる。手から逃れようとする戦士達の力は強いらしく、ダズニフが歯を食いしばった。
「貴様らは運が良い。我がかつての全能を取り戻す時まで、生きる時間を得られたのだからな」
 視線を巡らせれば、悪鬼は岬を見下ろす岩壁の上から自分達を見下ろしていた。くつくつと愉快そうに自分達が慌てる様を眺めてから、悠然と言葉を紡いだ。
「今度こそ全てのオーガを滅ぼしてくれよう!」
 山々に木霊する悪鬼の声に、オーグリードの民は脅威の復活を知る事となる。

オルセコ編開幕第一話おわり!
拍手に感謝!ぱちぱちっとありがとうございます!

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