ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 だめだ。この人、もう弟の部屋を荒らす気満々だ。引き出しを全部開け放って恋文一つ見つけたら、読んで相手が誰だか記憶の中から探し出して、その相手と弟がどんなロマン溢れる逢瀬を重ねているか、義理の妹のウエディングドレスまで想像が止まらない。
 思ったが吉日と言わんばかりに椅子から立ち上がり、ドレスを摘んで早歩きで屋敷のカーペットを颯爽と歩く。両手で勢いよく扉を開け放ったら、二の腕に掛かるレースの裾をたくし上げる仕草をする。メレアーデ様の快進撃を止める者など居らず、部屋の戸という戸が、箱という箱が、ベッドの下、本棚の本一冊一冊まで詳らかにされてしまった。
 あら!これは私がクオードの軍部就任を祝って贈った万年筆だわ! まぁ、誕生日の時に毎年送る刺繍入りスカーフが綺麗に並んでる! 錬金術の論文や戦術の教本ばっかりじゃない! 幼い頃に描いてもらった姉弟の肖像画! クオードが小さくて可愛いわ! あ! クオードが考えたすごい魔法生物! あの子が楽しそうに説明してくれて楽しかったわね!
「もう! 面白いものが何も出てこないじゃない!」
 絶え間なく響き続ける物音がようやく止んだ頃には、ベッドの上に身を投げ悔しそうに叫ぶメレアーデ様がいる。
 絶対に銀の箱を探すことを忘れてるね。そうですね。僕達は深々と頷いた。
「部屋にないなら、王都に出かける時に持って行ったのか」
「銀の箱は小さいので、鞄に入れて運ばれたら気が付けないでしょう。持って行ったか聞いて、分かりますかね?」
 流石に服に縫い付けるようなポケットには大き過ぎるので、ポケットに入れたり手に持てば嫌でも目に付く。でも荷物に混ぜられたら先ず分からないだろう。
「なぜ、クオードが荷物を持って出掛ける必要が生まれるの?」
 部屋の扉を後ろ手で閉めたメレアーデ様は首を傾げる。
「この屋敷はエテーネ王国の王の住まい。この屋敷は転移装置で首都キィンベルや王宮と直に繋がっているの。必要なものは行く先々で用意されているわ」
 荷物なんて持つ必要なんかない。そう、あっけらかんと言い放つメレアーデ様。
 …貴族って僕達とは別次元の常識を持ってるんだな。アンルシア姫様はミシュアとしてメルサンディ村で暮らしていたから、庶民の感覚に理解があるだけだったんだ。
 でも、そうね。メレアーデ様が心得顔で頷いた。
「目の付け所が良いわ! もし、クオードが銀の箱を屋敷から持ち出すなら、従者に持たせて運ばせることになるわ。お見送りの執事が必ず気付く!」
「お言葉ですが、メレアーデ様」
 ずいっと真横から影のように詰め寄ったのは、物置部屋の前で気を揉んでいた執事さんだ。
 突然現れたような存在感に、僕もレナートさんも身を強張らせ、メレアーデ様は悲鳴を上げて驚いた猫さながらに跳ねる。
 『驚かさないで、ジェリナン!』胸を押さえメレアーデ様が叫ぶ。
 執事さん、お庭からずっと付いて来てたんだけどな…。
 アイロンと糊の効いた皺一つない黒い執事服に、深い紫のベストが格調の高さを演出する。懐中時計を繋いでいる銀の鎖が、詰め寄った一歩できらりと揺れた。青い瞳を尖らせ、整えた口髭も毛羽立っている気がする。不穏な空気に敏腕執事が凄みが増す。
「私にはお屋敷の主人とそのご家族をお守りする責務がございます。例えメレアーデ様自らのご意志とはいえ、クオード様のお部屋を検めるのは如何なものかと思います」

ドミネウス家の執事、ジェリナンが現れた!
まぁ、アストルティアの星は基本的に移動も省くし、メレアーデを部外者と一緒にさせるのは危ないのでお茶会の後からずっと付いて来ています。気配の消し方が上手なのも、有能な執事なら可能なことでしょう。

拍手に感謝!ぱちぱちっとありがとうございます!
最近、遠くて帰りが遅いバイトに行ってて反応遅くなってしまっているんです。申し訳ないっす。

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