ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 レナートさんもこの屋敷に迷い込んで、この物置部屋に押し込まれている。でも、物置部屋にはベッドはあるし、布団は干させてもらってフカフカだし、ランプもランプオイルもあるんだ。快適だよねって呑気に笑ってる。食べ終わった食器も片付けてお盆に載せてるけど、これ、レナートさんが自分で調理場に下げに行くんだ。侵入者として勾留されているとは、側から見たら分からないくらい堂々としている。
 レナートさんが僕の頭を撫でると、ふっと笑みを深くする。
 何となく、シンイさんが僕に向ける笑みに似ていた。血の繋がりはないけれど、小さい村で兄弟同然に育ったお兄さん。僕の頭を何気ない仕草で撫でてくるの、僕がエテーネ村の歳下にするのと同じ感覚なのかも。雰囲気やのんびりとした口調が、彼の平和で長閑な故郷を感じさせた。
「君は本当に彼を大事に思ってるんだね」
「僕の命を守ってくれて、家族のように僕を支えてくれる人なんです」
 そうなんだ。レナートさんが兄さんへ目を向けると、悲しそうに目を細めた。
「心配だね」
 なんだろう、心配しているだけとは思えない悲しみが込められた声だ。大事な人が死んだような、取り返しのつかない事をしたような、自分を許せないって悔やんでる。唇を噛み締めて横たわる兄さんを見つめている瞳は、別の何かを見ていた。何故、そんな顔をするんです? 僕は戸惑いながらレナートさんの顔を見上げる。
 レナートさん? そう声を出そうとした時だった。
 物置部屋の扉がノックされる。可愛らしくトントンと響いたら、『入っていいかしら?』と女の人の声が聞こえてくる。返事をしたレナートさんが扉に向かう間に、ドアノブが動いて扉が開いた。
「プクリポ君の意識は戻ったのかしら?」
 にゃーお。黒猫が星の飾りを瞬かせながら、我が物顔で物置部屋に入ってくる。この屋敷に来た時、目の前にいた黒猫だ。しっぽの先に結ばれた赤いリボンをなびかせながら、猫は奥で寝ている兄さんの胸に乗って顔を覗き込む。
「まだ、意識は戻りません。お嬢様、入ってきちゃダメですよ」
 レナートさんが丁寧にそう言うと、覗き込んだお嬢様は頬を膨らませた。肩が見える淡いピンクと白のドレスは、至る所にフリルが効いていて可愛らしいデザインだ。でも足元まですっぽりと覆うスカートに、腰まである長い紫色の髪が丁寧に梳き解されて、やんごとなき身分だと思う。腰に手をやり、豊満な胸を張り、肩をいからす仕草は、服が演出しようとする全てを押し退けてお転婆な感じが出てしまっている。
 レナートさんに嗜められて、碧の瞳が挑戦的に輝いた。
「まぁ! この屋敷の主人の娘である私に『入ってくるな!』なんて口利いて良いのかしら?」
「この状況では、良いんですよ」
 レナートさんは諭すようにお嬢様に言う。
「僕達は冒険者です。武器を持っていなくとも、細腕のお嬢様を簡単に汲み伏してしまいます。そんな輩がいる部屋に単独で入って来ようだなんて、不用心ですよ」
「あら。優しそうな目をしてる貴方達は、そんなことしないわ。私は人を見る目があるの!」
 胸に手を置いて自慢げに言い放つ。黒猫とお揃いの星の飾りが、誇らしく瞬いた。
「貴女はそう言っても、皆を心配させるのはどうかと思いますよ」
 物置部屋の外に押し出してレナートさんが目配せすれば、物置部屋の前に控えていた執事のおじさんが神妙に頷いた。僕達がいなければ小言が迸りそうな口元にお嬢様が気が付いて、しまったって顔してる。唇を尖らせて、くるりと大きな瞳を回すと、良いこと考えたって手を打った。
「じゃあ、お庭でお茶をしましょう。クオードが王都に行ったら、貴方達を客として扱うつもりだったの。お茶の一つももてなし出来ないなんて、ドミネウスの娘として恥ずかしいもの!」
 別にお客様扱いして頂かなくても、今の待遇で十分です。
 兄さんを一人で寝かしておくのは不安だなって振り返れば、黒猫が任せろとばかりに鳴いた。

レナート君の物語がどこら辺なのか、分かる人は分かる。
そして、ver4のヒロインのご入場です!

拍手に感謝!ぱちぱちっとありがとうございます!

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