ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 咄嗟に体が動いていた。『死にたくない!』と悲鳴を上げる声を踏み抜き、『逃げなくたって殺すくせに!』と非難する声を押し退け、『お母さん!』とここに居ない者を叫ぶ声を掻き分け、振り下ろそうとした手首をがっちりと掴んだ。レギオンの筋肉が倍以上に膨らみ、俺の体が宙を舞う。光が一閃するごとに、悲鳴を上げてそれっきり。
 レギオンは血まみれの剣を片手に、振り落とされて足元に転がる俺を見下ろした。
「俺に逆らうのか?」
 何故だ? そんな言葉が脳裏を埋め尽くす。
 三人の怯えた態度と、止めに入った俺ごと剣を振り抜く膂力を思えば、レギオンは恐怖で彼らを完全に支配していたのだろう。逃亡の素振りで殺すのなら、襲撃の混乱に紛れて逃げる事は許されないだろう。襲撃で重傷を負っただけで、止めに殺害する程度の暴君ぶりだったに違いない。しかし、三人を留めたのはレギオンであり、少なくとも有象無象の世界の中で個別に認識されていたはずである。
 ぽたり。目の前を白い液体が滴り落ちていった。
 地面に丸いシミを作ったそれから、視線を上げる。闇に浸されたレギオンの口から顎に伝う唾液が、篝火の僅かな光を吸って赤く光っていた。ぞっと背後を撫で上げた戦慄に、意思とは裏腹に身体は咄嗟に地面を蹴って大きく後ずさる。目の前を銀色の線が過ったのを感じて、全身から冷や汗が吹き出た。
 身体の全ての細胞を揺るがす程の悍ましい雄叫びが、レギオンの口から迸った。
「レギオン…?」
 目に焼き付いた銀の線の向こうに、レギオンが剣を抜いて立っている。斬り臥した仲間の返り血を浴びて尚どす黒い肌は大きく膨れ上がり、理性を失った瞳は獣のように爛々と光っている。そう認識した次の瞬間には、自分の分厚い金属の小手とレギオンの剣が眼前で火花を散らしていた。
 加勢しようと短剣を引き抜いたルミラに、俺は喉も裂けよと叫んだ。
「近づくな!」
 レギオンは俺を殺すつもりだ。正確に急所を狙って来る軌道と鋭く速い剣撃とは裏腹に、子供の剣術のようにあからさまで避ける事も防ぐ事も簡単だった。騎士殺しまで犯した強敵が、まるで獣のようではないか?
 いや、この戦い方を俺は知っている。
 ゾンガロンの光を浴びて獣にされた者の戦い方だ。

いえぇぇぇぇええええいいいっっっ!!!!!繋げましたあああああ!!!!!!

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