ハコの厚みはここ次第!
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■ Profile ■
稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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この世界の夜空は不思議な色をしている。
天の頂は海の底のような漆黒を混ぜた濃紺色で、視線を大地に向けて下ろしていくと黄緑色の蛍光色に移り変わっていく。これは地上に滞留する魔力が、空から降り注ぐ光を屈折するかららしい。細かい原理は分からないが、この人類の叡智の限界に存在する大国特有の夜空の色だろう。
満点の星空は、濃紺色の空を空色に塗り替えるほどに眩く群れている。星々の河を真っ黒く切り取るのは、エテーネ王国の要人の居住区や重要施設が建てられた浮島だ。
どんなに技術や文明が発展しても、魔物の脅威を完全に取り除く事はできないらしい。地上には王都キィンベルを筆頭に、名が付けられる程度の規模を誇る集落が数カ所しか存在しない。利便性を追求し都市に集中した機能だが、人の住まぬ辺境が捨て置かれた訳ではない。辺境警備隊詰所は、その名の通り王都から遠く離れた辺境を行く民を守る為に作られた拠点だった。
夜空を写し込む鏡になる程に秀麗な渓谷の水は緩やかに流れ、水辺には草花が微睡んでいる。最も大きな木造建築の本部を中心に、幾つもの天幕が大都会の屋根のように色とりどりに並んでいる。天幕は錬金術で作られた防水の糸で織った布や、メラ系の魔法陣の刺繍を施した布を重ね合わせて、露天の下とは思えない空間を作り出す。兵士達は天幕の柱に布を渡して寝床を吊り上げて、どうにもできない床の硬さから逃れていた。
不寝番として固く閉ざされた門を見据える位置に詰めていると、本部の建物から人影がこちらに向かってくる。焚き火の光に炙り出されたのは、浅葱色の髪を引っ詰めた幼馴染の父親くらいの男性だ。勤務を終えた者達は酒を飲んだりカードゲームに興じたりして寛いでいるのに、きっちりと鎧を着込んでいる姿に真面目さが滲んでいる。
辺境警備隊の副隊長を務めるローベルさんは、焚き火の光に目を眇めた。
「今日はレナート殿が不寝番か」
夜なのにきびきびとした口調で、手に持ったお皿を差し出してくる。隊長のラゴウ殿は酒豪なので、今日届いた酒樽を早々に開けて皆で飲んだらしい。お皿に乗っているのは、炒った木の実や魚の乾物、燻製したチーズや生ハムといった酒の肴だ。
わぁ! 思わず歓声を上げてしまう。
「ありがとうございます!」
そうお礼を言いながら受け取ると、ローベルさんは隣に腰掛ける。小振りの鍋に注がれているのは、体を温めるスパイスと共に煮出したお茶だ。この島は比較的温暖だが、夜が冷えない訳じゃない。焚き火に鍋を寄せると、僕とローベルさんの分を掬って渡す。
「王都から報告が届いた」
ローベルさんはカップを傾けて唇を湿らしてから話し出す。
「結果は空振りだ。だが『ルアム』は、この地方では有り触れた名前だから気落ちするな」
この錬金術が発展した国では、錬金術の素材から名前を肖る事が多い。
一つの素材としては小さい効果しかないが、他の素材と掛け合わせる事で大いなる力になる。そんな錬金術のあり方が、エテーネ王国建国の歴史と相まって人々に浸透していた。
素材の名前をそのまま使うのではなく、昔はアナグラムにして組み直したものだったが、今では一文字組み込むだけという名前もあるとか。植物の素材は生命力と美しさから女性に、金属の素材は強靭さと一族が永続に続く事を願って男性に多い。『ルアム』は昔からこの国で親しまれた響きで、年齢を問わず名付けられている。髪や瞳の色、年齢である程度絞られても、探し出す事は難しいらしい。
はーい!舞台は再びエテーネ王国。ドミネウスの屋敷で出会ったレナートさんを中心に語ってまいります。最初はエテーネ王国の基礎知識あたりを説明していく話になるんだろうな!
ちなみに、ルアムの名前は『アルミニウム』から、兄のテンレスは『ステンレス』から取っています。十年くらい前に名付けた法則がこんな方法で生かされようとは、当時の私も思いもよらなかったろうな。
拍手に感謝!ぱちぱちっとありがとうございます!
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