ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
□ search □

「王国の助力で時の指針書の検索をしてもらっても見つからぬなら、自由人の集落の者とも考えられる。即座に出来る手は尽くしてしまった以上、地道に探すしかないだろう」
 この国の民は、一つの命につき一冊与えられる冒険の書を彷彿とさせるハードカバー本を持っている。『時の指針書』と呼ばれる本には、所有者の未来が書き込まれるのだ。
 ローベルさんに見せてもらったが『王都から離れ暗闇を進む者達の篝火となり、脅威を退ける剣となれ』と書いてあった。エテーネ王国の王族は未来を予知し、王国をより良い未来へ導く責を担っている。その方法の一つである指針書を管理する王国なら、指針書の所有者の特定は簡単な事なのかもしれない。
 力になれぬ事を悔やんでいる横顔に、僕は深々と頭を下げる。
「異邦人の僕に、ここまで親身になってくれて感謝しています」
 ドミネウス邸を後にした僕は、この辺境警備隊詰所に身を寄せていた。
 行方不明になった、ルアム君を探す為だ。
 僕と共に地上に降りる為に転送装置前でメレアーデ様を待っていたら、突然掻き消えてしまったのだ。転送装置を起動した形跡がなかったので、驚いたメレアーデ様の命で屋敷が捜索されたがルアム君も同じ名前の猫耳の子もいなくなっていた。
 新王ドミネウスが誕生して暫くして、僕らが出会ったドミネウス邸は地上に墜落した。幸い、新王一家は王宮に居を移していた為に被害はなかった。
 墜落現場が辺境警備隊詰所に近かった為に、現在は護衛よりも墜落の原因調査が主な任務になっている。王宮に調査報告を早く出したいラゴウ隊長と、魔物の強さと多さに人命救助で手一杯だったローベル副隊長とで色々と揉めているようだ。
「僕は不寝番で明日は休みですが、副隊長はお仕事でしょう? そろそろ、休んでください」
 僕が穏やかに言うと、ローベルさんも小さく頷いた。『失礼する』と生真面目に言って去っていく背中を見つめながら、腰を下ろしていた岩の影に視線を落とす。
『ユーシャさま』
 秒針がカチコチ音を立てるような、独特な抑揚で僕を呼ぶ。
 真っ白い滑らかな塊に、細長く撚った手が地面に垂れ下がっている。肩掛けたショルダーバックはべったりと地面に置かれて、ちょこちょこと短い足が動く度にずるずると引き摺られている。幼馴染のエマの落書きみたいに、二つ並んだ目は真っ黒で大きく、その間に縦に細長い菱形の口がついてる。小さい足に比べれば寸胴な胴体が前のめりになると、そのままべたりと倒れ込みそうな姿勢になる。
『あの子は時間を飛び越えたッチ。探してもきっと見つからないッチ』
 あぁ。僕は小さく頷いた。焚き火の光を赤く透かし地面に影を刻まない存在を、僕以外の他人が見る事はできない。僕は形の良い丸い頭を撫でるように触れた。手の甲に、剣と広げた翼のような紋章が光っている。
「それでも、探さないといけないんだよ。クルッチ」

おおっっとぉ!クルッチですよ!実はついてクンで実装済みです!

拍手に感謝!ぱちぱちっとありがとうございます!
だいぶ前に更新したお話、初めて全部見てもらえてかなり嬉しいです!

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