ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 グリエ様は両手いっぱいの感謝の品を巡回の兵士に渡し、皆の差し入れとして食べてくださいと送り出した。受け取った兵士達が満面の笑みで足速に去っていくのを見送ると、グリエ様の表情がたちまち暗く陰る。重たい、絞り出すような溜息がグリエ様から漏れる。
「王族の墓で何かあったんですか?」
 昼過ぎに緊急の伝書で使われる剣鷹が舞い降り、足に装着した筒に収まった貴重な紙に書かれた内容を見たグリエ様は弾かれるように王国を出ていった。同伴をセーニャに頼む際、オルセコ王国の歴代の王と親族が葬られた墓所へ行くと言っていた筈だ。
 白銀の髪の下の瞳が、険しく眇められている。
「…兄のギルガランが、父の墓を荒らしたようなんです」
 驚いてセーニャへ視線を向ければ、深い空色の瞳が肯定するように伏せられた。
 墓に先王の遺体はないそうだが、この魔物が跋扈する世界では遺体が散失する事は珍しい事ではない。しかし、先王の所縁の品が副葬品として墓に埋葬されており、ギルガラン王子はそれを掘り起こして持ち出したと言うのだ。時刻的に市場の騒動でギルガラン王子が言った『急ぎの用』とは、墓荒らしだったようだ。
 ちょっと待って。シルビアが声を上げた。
「さっき、ギルガラン王子を見かけたわよ。お父様のお墓を暴いたってのに、普段通りってちょっと不謹慎過ぎじゃないかしら?」
 死者を悼む気持ちを当然オーガ族も持ち合わせている。遺体がなくとも墓を暴く事が、死者への敬意をどれ程欠いているかはグリエ様の険しい顔で一目瞭然だ。
 ふぅ。息を吐くと、険しい顔を努めて穏やかにしようと口角がぎこちなく上がる。
「皆さんが民の声に真摯に向き合ってくださったお陰で、陳情はほぼ取り下げられました。暫く王国に滞在するのに困らぬ報酬を、後日お支払い致します。今日はゆっくり休んでください」
 グリエさま。踵を返したグリエに縋るように、セーニャが声を掛ける。
「ギルガラン王子の説得に向かわれるのですか?」
 白銀の後頭部が小さく頷いて揺れると、グリエ様は小走りで通路の闇に消えていった。日中、闘技場の舞台は解放され多くの闘士が稽古に勤しんでいる。ギルガラン王子も黙々と素振りをしているのか、闘技場の方から ぶおん ぶおん と風圧が生み出す一際大きな音が響いている。
 僕達はこの国に偶然立ち寄った部外者だ。例え墓を暴いて副葬品を持ち出す事を快く思っていなくても、ギルガラン王子を非難する立場にはない。
 さらに陳情書が物語る通り、オルセコの民はギルガラン王子に面と向かって非難出来る者がいない。唯一の血縁者だからと諌める発言をしようとするグリエ様は、オーガ族としては確かに非力かもしれないが、オルセコの民で最も勇敢な青年だった。

書いてみてグリエ君、公式の数倍勇敢なオーガ男子だったんじゃないか?
完全に見た目で損してるし、優しくて良いやつだったからナイト予選会も振るわなかったんじゃないか? 残念な子である。

拍手に感謝!ぱちぱちっとありがとうございます!

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