ハコの厚みはここ次第!
■ Calendar ■
■ Profile ■
稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
□ search □
肩に置いた足越しに、ドランド王が大きく震える。我は足を下ろし、ドランド王の頭を渾身の力で打ち据えた! 獣と化して膨らんだ体が、滝の水で黒々と濡れる石床の上に叩きつけられる。
「自ら獣に堕ちた家畜が贅沢を望むか!」
そうだ。貴様達は自ら望んで獣になった!
獣になった同胞の手によって跡形もなく消えゆく故郷を。生きながらに腹を裂かれ赤子を引き摺り出された妻を抱きしめ、気が狂って叫ぶ夫を。強姦され内臓が破裂した苦悶の顔を火に焚べる死んだような顔の親を。逃げ惑う中で一縷の望みを抱き川に飛び込み、ぶくぶくに膨れ上がった遺体が埋め尽くす滝壺を。獣になった同胞が闊歩する中で、獣になりたいと懇願する声を聞き逃すと思ったか?
「貴様らは我の玩具よ!」
我はドランド王の首を掴み、釣り上げた顔を睨め付けた。
「玩具ならば玩具らしく我を喜ばせろ! 家畜ならば家畜らしく我が腹を満たすのだ!」
黒々とした肌に、白く食いしばった歯が開く。我の腕を、ドランド王が掴んだ。
「我が同胞は玩具でも家畜でもない」
瞬間、我が腕に電流が走る! 咄嗟に手を離せば、ドランド王は軽やかに間合いを開ける。油断なく身構え我に視線を向けたまま、ドランド王は大きく息を吸い込んだ。ひと回り大きくなった体から、大空洞が震える程の号令が響き渡る。
「聞け! 我が親愛なるドランドの民よ!」
その声は、獣に堕ちたとは思えぬ、かつてのドランド王の声そのもの。
「戦いのドラムを鳴らし、 オルセコ軍を突破せよ!」
大空洞を獣達の雄叫びが上がる。角笛が高らかに鳴り響き、戦いのドラムが空気を地響きかと思うほどに打ち鳴らす。人間が踵を返す背を、ドランド王が景気良く叩いた。
よろける人間に、ドランド王はおかしそうに笑う。
「人間、終わりでないというなら、同胞を安寧の地へ導くのだ!」
何を言っているのだ? 我は耳を疑った。
ドランド王国のこれまでは迫害の歴史と言えた。グレン肥沃の故郷を滅ぼされ、各地を転々とする中で蹂躙され誇りをこれ以上ない程に穢されてきた。ドランド王国が籠城に適した鉄壁の城を作り上げたのも、同盟国を一切持たないからだ。故に我単身で乗り込んでも、こやつらには逃げ場も助けもなく敗北してしまったと言える。
同胞しか信じられぬ者が、最も大事な己が国の民を、他種族である人間に託すなどあり得ぬ!
「気が触れたか、ドランドの王よ!」
ドランド王の瞳が、雷光を吸い込んでぎらぎらと光っている。人間を見送った不敵な笑みは清々しく、我は迫り上がった不快感にえずく。
「祖国を守れぬ王など、王にあらず!」
あぁ、良かろう。
望み通り、一足早くメインディッシュを喰ろうてやろう!
中編完走!!!!!!
拍手に感謝!ぱちぱちっとありがとうございます!
