ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 ハイラルの王族はリト族一番の弓の名手から、弓術の手解きを受ける。ゼルダ姫の弓術の師匠は、リーバルが優勝を収めた弓術大会の審判を務めた里一番の狩人だった。ハイラル王の師匠はもう里にはいないが、大人達なら誰もが知っている弓の名手だったはずだ。ゼルダ姫に子が生まれたら、リーバルに声が掛かるだろう。
 それを知っておきながら、王族の狩猟は娯楽だと心の何処かで馬鹿にしていたリーバルは、あまりに実践的で驚いてしまった。
 耳を澄まし、身を低くして森に溶け込む。獣の足跡を探し、足跡を読む。
 ハイラル王宮で豪華な衣装に身を包み、リト族に負けぬ胸筋を張って歩く王が膝を泥で汚し藪に潜り込む。勿論、先ほど薪割りをしていた森に溶け込む渋い色のシャツとズボン、森の中では光るほどに目立つ白髪を黒いフードの影に押し込んでいる。リト族の里長も狩人から引退してる思い込みも手伝って、国で一番偉い者が本格的な狩りをする姿に、開いた嘴がなかなか閉じなかった。
 ぎっと弓を引き絞り、息を詰める。
 獲物が王の漏らした殺気に、はっと顔を上げた。
 たぁん!と音を響かせて、鹿の眉間に矢が穿たれる。倒れた鹿に素早く近寄ると、解体用のナイフを取り出しさっと首を掻き切って血抜きを行う。その手際の良さにリーバルは感嘆の声を漏らした。
「お見事です」
 世辞ではなく、心の底からそう思う。
 一撃で獲物を屠り、喜びの声を上げるよりも血抜きを優先する、リト族なら一人前と評価される狩人だ。王はようやく真剣な表情を緩ませ、『リト族の英傑に褒められるとは、嬉しいのぅ』と冗談めいた口調でも喜びを露わにした。
 蔦を切って鹿の手足を結ぶと、よっこらせと担ぎ上げた。
 シーカータワーを用いて食料を安全な地域から運ぶことは出来ているが、陥落したハイラル城から撤退した兵士達の胃袋を満たすにはまだ心許無い。この鹿も解体されて兵士達の糧になるし、狩った獲物が血肉になるのは正しいと、リーバルは獲物を背負った王の大きな背を見上げた。
「少し前までは、良く取り逃がしておったよ」
 ご冗談を。そう返事をしようとしたが、切ない王の声にリーバルは黙り込んだ。
 ゼルダ姫の努力を、リーバルは高く評価していた。それと同時に、その努力が報われていない事もリーバルは知っていた。王宮ではゼルダ姫は『無能な姫』と呼ばれ、王は姫を貶す不敬を沈黙という形で黙認していた。
 リーバルは姫に同情していた。
 努力はリーバルだけが使える唯一無二の力になったし、村一番の戦士として同族から評価されていた。それは当然のことなのに、その当然が姫には与えられないことが不憫でならなかったのだ。
 勿論、王には王の事情がある。その事情は同じ英傑となり肩を並べる者達の方が詳しかったし、健気な姫君は王を決して責めなかった。姫様が責めないのなら、部外者の自分がどんなに囀ったとしても意味はないと若くともリーバルは弁えていた。
「娘と和解出来て、迷いが消えたのじゃろう」
 ほっとした安堵の声。
 確かに、王宮で会った張り詰めた感じでは、獲物にも逃げられてしまうだろう。そんな事は、弓を持たせてもらったばかりの雛鳥でもわかる事だ。あんなにも頑なな顔で近づかれては、雷が落ちると尾羽を腹の下に収めて震え上がってしまう。
 厄災が復活し娘の優しさに助けられた父は、封印の力が全てではないとようやく受け入れられたのだろう。娘も封印の力に目覚め、ようやく父と向き合うことができた。
 当然が、ようやく始まったのだ。
「それは、良かったですね」
 本当によかった。
 リーバルは心から同意しながら、何気なく弓を引いた。たぁん!と音を響かせて、木々の隙間を縫って鹿の眉間に矢が刺さる。リーバルが斜面を降りて、素早く鹿の血抜きを行う。
 にこりと笑顔を王に見せれば、王はむっと唇を尖らせた。
 狩人達の朝は、明日も早いだろう。

始まりの台地でリンクの先生してた王様めちゃくちゃ狩り上手だったので。リーバルも当然狩り上手いだろうし、張り合ってほしい願望がこもってます。
捏造かなりあるので鵜呑みはしないでほしいです。
元々最推しでしたがリーバルがすごく若くて、リンクやゼルダと同年代か年下かもしれないという話を聞いてまじか!!!!!!????ってなって今に至ります。

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