ハコの厚みはここ次第!
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■ Profile ■
稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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今回の緩く考えるシリーズはゲームのプレイ姿勢から。
まずはタイトルにある『タイパ』の前に『履修』について、軽く説明をさせていただきます。
どんなジャンルでも『不朽の名作』が存在し、その名作をオマージュとして己の創作に組み込む事があります。自分が知る中で最も古いのだと初代ゼルダの『ユウシャ ロト ココニ ネムル』あたりでしょうか。とにかく、このネタは『オマージュ元となった原作を知らないと分からないネタ』であり『オマージュ元が名作である』のです。
現在、全てのジャンルはそれなりに長く息のあるものになり、『不朽の名作』が礎となり始めています。手塚治虫先生は漫画における古典的地位があり、鳥山明先生はさまざまな漫画の礎として存在します。多くの漫画それらを読む事で、今に存在する漫画を深く理解できるのです。
逆に今のなろう転生ものは『ドラゴンクエスト』を筆頭とした和製RPGを土台にしており、これは和製RPGの常識が日本人の若者の常識として浸透しているとも読めます。
現代のさまざまなジャンルは、これらの現代の作家が愛した『不朽の名作』を知らなくても楽しめるが、知ればさらに楽しくなる。だから見るなりプレイするなりしようという行為を『履修』とここでは呼びます。私は『通っておきたい(ジャンル名)』なんて呼びますけどね。
さて、前置きが長くなりました。
私は最近ハーヴェステラというスクウェア・エニックス社のゲームをプレイしているのです。ゲームスタート時にラスボスと思われた存在をボコして、折り返し、というところまで来ています。
このゲームをプレイして思うのは
『最近のプレイヤー向けに作られたゲームだな』
ってことです。
何が『最近のプレイヤー向け』かと思うかというと…
美しいグラフィック
美麗な登場人物
王道で作り込まれた物語
良質な音楽
戦闘難易度が低い(SFC聖剣3を彷彿とさせます)(これは製作が意図した難易度です)
次にどこに進むべきか、細かに案内が出る
最近の傾向ではドットよりも美麗な映像に重きが置かれがちです。海外ではドットゲームの需要はインディーズには確実に存在しているのでゼロではないですが、どうにも没入感を求めているのかゲームがリアル指向が人気な印象を受けます。そういう意味では日本はドットやカートゥーン調といった幅広い映像にまだ市民権がありますね。
問題は最後です。
『最近のプレイヤー向け』でも『若者向け』なのが最後です。
これはどういう事か、ご説明します。
例えば『薬草を買ってきてほしい』というイベントが発生すると『道具屋にイベント進行で行くべきチェックポイントマークが付く』。そのマークを追って道具屋に行くとイベントが進行し、薬草採取に行くことになるとしましょう。すると『薬草の採取場所を教えてくれる人にチェックポイントマークが付く』のです、そのマークを追って採取場所が分かると『採取場所にチェックポイントマークが付く』。
チェックポイントマークを追いかけるだけなので、イベントもサクサク進んで楽ちん!てなります。でも、昔ながらのプレイヤーだと文面を追うと、チェックポイントマークを追いかけてるだけじゃない?ってなるでしょう。ちなみに最初のチュートリアルだけではなく、さいごまでこの配慮は続きます。
これこそが『若者向け』と稲野が思う所以です。
最近のプレイヤーはタイパ、つまりタイムパフォーマンスを非常に重視するらしい。自分も立ち食い蕎麦屋でちょっとお手伝いしていた時、たった数分蕎麦を食すのにスマートフォンの動画を見ながらの人を多く見かけたものです。若者である末弟も、スマートフォンで動画を見ながら飯を食っています。映画やアニメを倍速で見るとか、少しでも短時間で多くのものを得る。この情報が氾濫し多くの不朽の名作に溢れた世界ならではの事情でしょう。
まぁ、私も自分のペースで作品は消化したいので、アニメよりも漫画、ボイスドラマよりも小説といった具合ですので分からんでもないです。
ハーヴェステラは『若者向け』に考えられたゲームだと、プレイして熟感心しました。何のストレスもなくサクサクとプレイし、美しいグラフィック美麗な登場人物王道で作り込まれた物語良質な音楽を浴びて終わる。非常にたいぱに優れた作品でしょう。
さらにこれが『最近のプレイヤー向け』というのも、プレイヤーの年齢層が上がって、ゲームを頑張る体力がない。だからゲームシステムの難易度を下げてプレイできるようにする、介護的な意味もある。あー、おつらい。みんな、あたまつかおう? 受容ばっかしてると認知進むよ?
今後、こういう作品が溢れていくのだと、古い時間が掛かるゲームは淘汰されていくのだろうと思わされます。
同時に、ゲームが消耗品に成り下がるだろうとも思うのです。
スマホゲームでそうなってると思ってます。刀剣乱舞はブラウザ版で一年に一度燃えたらやりますが、それ以外は全く触れません。スマホでゲームをする。それだけで稲野のゲーム評価はマイナスにまで落ちます。偏見? 仕事中にゲームのことがどんなに気になっても業務が疎かになる事なく、利用者のQOLが下がるレベルの事故を絶対起こさないという自信がある奴だけ稲野を非難するといい。スマホゲーは責任など取らぬのだから、偏見くらい許してほしい。
実際に『若者向け』に作られたハーヴェステラは、物覚えの良い稲野がキャラクターの名前すら覚えていないまま中盤を折り返しております。自分の中に消化される前に物語が進んでしまうので、良いお話がぺらぺらと薄く感じております。このゲームは周回しない限り、稲野に『若者向け』を実感させた転換期のゲームとしか記憶に残らぬ事でしょう。
TwitterなどのSNSが登場してから、情報は消耗品になりました。流れるTLの情報は読めども頭の中に残らない。まさにシャワーを浴びるかのようです。
ゲームも『若者向け』に多く作られ消費されていきます。その消費に追いつく為、AIが活用されていくでしょう。ゲームクリエイターは社畜の度合いを増して、ゲームを作る志が砕ける未来が見えます。
それに抗うよう研鑽を重ねているのが任天堂だと思っています。スプラトゥーンもゼルダも非常にたいぱに抗える内容です。かの会社はたいぱの概念が生まれる前から、この状況を匂いのようなもので理解していたのかも知れません。
和製RPGはどうあるべきか
まずは古参と若者の求める度合いを、難易度として調整したら良いのではないかと思います。
元々は戦闘の苦手な人向けにテイルズ系で導入されている難易度ですが、これをシステムに導入するのです。先ほど例に出したチェックポイントを出す出さないを、プレイヤーが選択する事で難易度を調整できます。これはDQ10で既に実装済みですが、目的地が分からなかったら答えがみれるようで自分は良いシステムだと思います。
戦闘の難易度・システムの難易度、それらを調整する事で、ゲームクリアに必要な時間をプレイヤーが調整できる。システム難易度はチェックポイントを追うだけの人は最低限、全ての町の人から情報を聞く人は多くのシナリオの進行で変わるセリフを堪能して世界観に浸れる恩恵を得られる。バトル難易度調整はいわずもがなですね。
コンテンツは消失せず、これからも増え続ける。
たいぱはこれから先の未来に生きる人々を、縛っていくことでしょう。その中で、人々の中に『作品』としてプレイゲームが作られ続ける事を、稲野は願わずにはいられません。
たいぱは全てを薄くする。
創作は軽視されるでしょうが、貴重な資源であるでしょう。
多くの創作活動する方々は、消費される世界に折れる事なく、その熱意を燃やしてほしいものです。
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