ハコの厚みはここ次第!
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■ Profile ■
稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 ロンダ岬に積もった処女雪が、故郷に本格的な冬の到来を告げる。
 強烈な潮風が生み出すダイアモンドダストが散る体感温度の中で、村の戦士達が夜通し舞を踊る。戦士達の燃える肉体は白い湯気を発し、屈強な男達が叩く太鼓はランガーオ山地に響き渡り、老人は篝火の火を絶やさぬよう番を務め、女子供問わず参加者達が踏み鳴らす音がロンダ岬の洞穴の氷柱を震わせる。
 ランガーオ村にとって、最も大事な儀式だった。
 腕を突き、四股を踏み、腹の底から気合を発する奉納の舞は、太鼓の音と合わさって原始的な踊りと言えるだろう。しかし、太鼓のリズムは心の臓を震わし、体の奥に炎となって燃え盛る。寒さも疲れも一切感じることなく朝日が昇るまで踊り抜ける、不思議な活力。オーガの種族神ガズバラン様の恩恵を、全身で感じられる機会だった。
 ランガーオの高い山を越えて太陽の光が届いたのは、昼頃だった。村王の合図で太鼓の音と舞手の高らかな気合いが大きく響き、盛大な拍手と歓声で儀式は終わりを告げる。村の女達が炊き出してくれた暖かい食事や酒が行き渡り、参加者達は熱る体をロンダ岬に吹き込む潮風で冷ましていく。
 自分も二人分の食事を手に、友人達の元へ向かった。
「美味そうな匂いだな! ルミラ。ありがとう」
 虹を帯びた銀の鱗が肌を覆い首から上は竜の頭を持つダズニフは、待ちに待った様子で自分を迎えた。黒曜石を彷彿とさせる黒々とした角と同色の柔らかい髪は目元に厚く落ち、強風に吹き上げられると固く閉ざした瞼が覗いた。白と紫の布を合わせて帯で締める原始的な装いだが、光の加減で模様が浮かび上がる一目で最高級と言える布だ。引き締まった肉体が布地から浮き上がり、種族神の長子の子供らしい威厳を漂わせている。
 鼻の穴を膨らませたダズニフは、嬉しそうに皿を受け取った。
「グランゼドーラの方が騒がしいってのに、こんな貴重な儀式に参加させてもらって飯まで貰えるだなんて、申し訳ねぇな」
 アストルティアが滅ぶ未来が迫っていると、ルアム達は自分達へ手紙を出していた。
 実際にグランゼドーラ上空に巨大な繭が出現し、その周辺の天候が嵐の続く異常気象にさらされている。不死の力を持つという異形の魔獣が出現し、勇者アンルシア姫と盟友のピペ、仲間であるラチックとケネスとで討伐する予定だと手紙には綴られている。仲間の危機に駆けつけたい所だが、これだけ歴戦の猛者が集っているのなら問題ないだろうという信頼がある。
「この儀式はオーグリードの安寧に、必要不可欠な重要性を持つと伝えられている。村王たっての参加要求に応じてくれて感謝しているよ」
 ギルに繭の偵察をさせるか返事を書いた時、その嵐の苛烈さから危険だと断られた。ダズニフなら可能だったかもしれないが、ランガーオの儀式を優先してくれた心遣いはありがたい。
 この祭りに参加した他種族の者は、一千年以上の歴史の中でも数える程度しかいない。それだけこの儀式は重要であり、その儀式の参加を許された者はランガーオに深い縁を持つということ。見学を申し出た吟遊詩人だという人間の男は勿論、自分達の友人としてついてきたギダも、ロンダ岬に立ち入る事を認められなかったしな。
「ランガーオ村を守った英雄だなんて、こそばゆいよ」
 複雑な顔をした横顔に、自分は気にするなと笑う。
 神の器を狙ったアンテロが飛竜を嗾け、ランガーオ村は襲撃を受けた。建物の損壊は酷かったが、死者が一人も出なかったのはダズニフのお陰だ。同族の尻拭いをしただけと笑うが、村の為に死力を尽くしたダズニフに恩義を感じる村人達は多い。
 ダズニフが顔を上げると、こちらに向かってくる一際大きな影がぬっと落ちた。木をくり抜いたジョッキに注がれた熱い酒の湯気で顔は見えないが、挨拶もせずに硬い雰囲気を醸す朴念仁を自分はよく知っていた。
「飲み物を取りに行こうと思っていたのだ。ありがとう、ジーガンフ」

オルセコ編開幕です!
最初はver3でもちょっと触れてた、ルミラが年一で里帰りする理由であるお祭りから!
何気にギダさん連れ出されてるけど、私的に彼を優遇したいんだ。

拍手に感謝!更新のお知らせで来てくれた方も、ありがとうございます!嬉しいです!
ぱちぱちっとありがとうございます!

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