ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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ドランド公の『祖国を守れぬ王など、王にあらず』を無念じゃない感じに言わせたかった中編!実際にガートランド北東にシールドオーガがいるのって、ドランドの末裔なんではないかとか思ったりしますが、まぁ、ランドンの方でもいいし良い場所に連れていくでしょうって感じです。
『面白くねぇー』が発動して2回目のチャレンジです!
稲野的にも『面白くねぇー』って勘は割と正しいと思ってまして、ほぼ完成まで書き上がってましたが書き直しです。きちんと一回目より面白い話になったので、良かったですねぇ。
しかもボカすほど描写がヤバすぎて、稲野はマジでヤバいやつなんじゃないかって思われるかも知れん。いやもう、今更感ある。OPUSでパンデミック皆殺しやって、ナドラガンドも苛烈な環境で竜族虐めてよぉ、執筆者は良い人なんですよなんて思ってもらえないよなぁ。悲しいなぁ。
まだ布石撒きの段階なのでなんだこいつってのが出てきますが、ルアム達が過去と未来を往復しない為に彼らの代わりを担う代打です。誰なんでしょうねーって感じですが、性能的なお話も本格的に出していきます。
肩に置いた足越しに、ドランド王が大きく震える。我は足を下ろし、ドランド王の頭を渾身の力で打ち据えた! 獣と化して膨らんだ体が、滝の水で黒々と濡れる石床の上に叩きつけられる。
「自ら獣に堕ちた家畜が贅沢を望むか!」
そうだ。貴様達は自ら望んで獣になった!
獣になった同胞の手によって跡形もなく消えゆく故郷を。生きながらに腹を裂かれ赤子を引き摺り出された妻を抱きしめ、気が狂って叫ぶ夫を。強姦され内臓が破裂した苦悶の顔を火に焚べる死んだような顔の親を。逃げ惑う中で一縷の望みを抱き川に飛び込み、ぶくぶくに膨れ上がった遺体が埋め尽くす滝壺を。獣になった同胞が闊歩する中で、獣になりたいと懇願する声を聞き逃すと思ったか?
「貴様らは我の玩具よ!」
我はドランド王の首を掴み、釣り上げた顔を睨め付けた。
「玩具ならば玩具らしく我を喜ばせろ! 家畜ならば家畜らしく我が腹を満たすのだ!」
黒々とした肌に、白く食いしばった歯が開く。我の腕を、ドランド王が掴んだ。
「我が同胞は玩具でも家畜でもない」
瞬間、我が腕に電流が走る! 咄嗟に手を離せば、ドランド王は軽やかに間合いを開ける。油断なく身構え我に視線を向けたまま、ドランド王は大きく息を吸い込んだ。ひと回り大きくなった体から、大空洞が震える程の号令が響き渡る。
「聞け! 我が親愛なるドランドの民よ!」
その声は、獣に堕ちたとは思えぬ、かつてのドランド王の声そのもの。
「戦いのドラムを鳴らし、 オルセコ軍を突破せよ!」
大空洞を獣達の雄叫びが上がる。角笛が高らかに鳴り響き、戦いのドラムが空気を地響きかと思うほどに打ち鳴らす。人間が踵を返す背を、ドランド王が景気良く叩いた。
よろける人間に、ドランド王はおかしそうに笑う。
「人間、終わりでないというなら、同胞を安寧の地へ導くのだ!」
何を言っているのだ? 我は耳を疑った。
ドランド王国のこれまでは迫害の歴史と言えた。グレン肥沃の故郷を滅ぼされ、各地を転々とする中で蹂躙され誇りをこれ以上ない程に穢されてきた。ドランド王国が籠城に適した鉄壁の城を作り上げたのも、同盟国を一切持たないからだ。故に我単身で乗り込んでも、こやつらには逃げ場も助けもなく敗北してしまったと言える。
同胞しか信じられぬ者が、最も大事な己が国の民を、他種族である人間に託すなどあり得ぬ!
「気が触れたか、ドランドの王よ!」
ドランド王の瞳が、雷光を吸い込んでぎらぎらと光っている。人間を見送った不敵な笑みは清々しく、我は迫り上がった不快感にえずく。
「祖国を守れぬ王など、王にあらず!」
あぁ、良かろう。
望み通り、一足早くメインディッシュを喰ろうてやろう!
中編完走!!!!!!
拍手に感謝!ぱちぱちっとありがとうございます!
大滝の音に飲まれ無視できていたが、湿った岩の上を鼻歌混じりに登ってくる足音は聞こえていた。ついにドランド王国の謁見の間に相当する位置まで登ってきたのは、宣戦布告を聞いて乗り込んできたギルガラン王子ではなくオーガの地では珍しい人間族の男だった。
人間族の基準であれば中肉中背の凡庸な体格であろうが、オーガ族の子供よりも貧相な男だ。武術を嗜んだ身のこなしもなく、魔術に秀でた気配もなく、銀の竪琴を持つ手だけが歪に歪んでいる。古い血溜まりのような髪と瞳、目鼻立ちは見苦しくはない程度でしかない大衆に埋没するような男。しかし、男の身につけた服は極寒の地を行くような毛皮を裏打ちした分厚い旅人の靴であり、靴は履き潰されて草臥れている。
なによりも不気味なのは、鬼人の国と化したドランドに散歩のついでといった体で踏み込んできた事だ。蛆が湧く不乱肢体がそこかしこに転がる道を平然と進み、腐った血溜まりに躊躇いなく踏み込んでいく。鬼人達はこの男を襲う事はせず、男はまるで知人に話しかけるように獣に語りかけていた。帽子に挿した魔鳥の尾羽が、呪いの火の粉を振り撒いて妖しく輝く。
誰だ。何者なのだ、この男は。
オーグリードを旅する人間。オーガ族の中に他種族が混ざる事は、水の中に油を垂らすように目立つ。今まで数多の王国を滅ぼす中で、陽光を反射するような光り物を手にした男を見逃すとは思えない。不愉快さに、今までの陶酔が氷水を打ち撒けられたように醒めていく。
肩に黒い猫を乗せた男は、我を見て慇懃に会釈をしてみせた。
「目障りだ。去ね」
かっと口を開き、数えきれぬオーガ族を獣に堕とした光を照射する。大空洞の闇が消える程の光が元の暗さに戻る前に、ぽろんと竪琴が爪弾かれる音が響いた。
「申し訳ありませんが、僕は貴方が行儀悪く足掛けている方に用事があるのです」
男は我に対してなんの警戒もせず、獣に成り果てたドランド王の傍に膝をついた。
垂れた顔を覗き見る、さも殴ってくださいと言わんばかりの無防備な側頭部。尾羽の挿さった帽子の上に拳を振り下ろしてみれば、金属を引っ掻く音が一瞬して、拳を糸のような細い光が貫いていく! 大した傷ではないが痛みはある。咄嗟に手を引いてみれば、針を突き刺した程度の小さな傷から、ぷっくりと血が玉を結ぶ。
男は我の反応を一瞥もせず、ドランド王に語りかけた。
「間も無く、オルセコ軍がこの国に攻め込んできます。このまま戦えば、互いに多くの被害が出るでしょう」
「若造ニ、何ガ判ル」
ドランドの王は微動だにせず返した。
「如何ナル 強キ者モ 賢キ者モ、圧倒的チカラ ヲ 前ニ 頭ヲ垂レ、敗北ノ 味ヲ 甘受スル 時ガ来ル」
我はふっと口元を緩めた。
己が手で数えきれぬ同胞を殺してしまった罪と、折った心に我の洗脳は良く効いた。獣に堕ちれは純粋な力は増すが、どうしても知能は落ちて馬鹿になる。轟雷王を実力を奪わず、従順な下僕にするのはなかなかに苦心した。
「何者の風下に立つ事を決して許さなかった、誇り高き『轟雷王』。この国の王は貴方だ」
獣に説教など片腹痛い! しかし、我は愉快な気持ちには一切なれなかった。
「貴方と貴方の民は獣に成り果てた。それは終わりではありません」
いきなり出てきてなんだこいつですが、ドランド公の最後の言葉を生かす為に出てきてもらいました。
我が目の前で深々とひざまづく、獣に堕ちた王の肩を足置きにする。
ドランドの極上の絶望を思い返すだけで、心が幸福に満ちる。今までオーグリードに点在する数多の王国を様々な方法で蹂躙してきたが、これほどまでの満足感に至ったのはドランドが初であろう。
残るオルセコ王国は我にとってデザートだ。
最高の食事にする為に、どう料理しようかと考える時間はとても充足していた。当然、オルセコ王国の二人の王子を中央に据えるとして、片方を獣に落とし殺し合わせるでは味気ない。鉄壁が災いして警戒が重点的であり王さえ押さえれば蹂躙できたドランドと違い、オルセコは一年に一度開催される武術大会の為に各地の王国で最高の武人と呼べる者達が集まっている。
その点をオルセコは十分に理解している。
鬼人という獣に変えられたとしても、残った者で悪鬼ゾンガロンを討ち取れる。その自信を最も強く持つ実力者はギルガラン王子だが、ギルガランに及ばずとも実力者を束ね指揮するグリエ王子も軽んじる事はできぬ。むしろ、その二人が揃っているからこそ、今まで攻めあぐねたと言うべきだろう。
ドランドを鬼人の国に変えたのは、我の手駒を手に入れる為。
膂力があれど知能が劣る獣でも総力を打つければ、流石のオルセコとて倒れはせぬも傾ぎはするだろう。その混乱の中で我が力で獣の種を仕込めば、オルセコはドランドの二の舞となろう。
今やオーグリードの全ての民は、我のやり方を熟知している。滅んだ王国の生き残りが、やれ我がどう襲ってきたか、やれ我が同胞をどう鬼人に変えたかを具に伝えていた。だからこそ、オルセコは我の襲撃に対し、万全の体制で待ち構えておろう。
オルセコの誇りである強さを、民が王に向ける強靭の信仰を、真っ向から否定する。
二人の王子は互いが持ち得ぬものを持ち、それが強さであると理解しているだろう。双方が倒れる事でオルセコは真の意味で倒れるのだ。若き王子達がどのような絶望の顔を見せてくれるのか、ぞくぞくと這い上がる快感に笑みが溢れる。
宣戦布告はなされた。我がフルコースが完成する時は近い。
「貴様らが何をするべきか、分かっておろうな?」
足を掛けた肩は動かさぬまま、首だけが垂れるように下がった。
「我ラノ血、我ラノ肉、全テ ゾンガロン様ノ糧」
フルコースってトリコかよ。ゾンガロン様がグルメで結構食べ物由来の言葉を使うので、どうしてもそうなる。
ゲームではギルガラン王子が単身ドランド王国に乗り込んでいっちゃうのであやふや感あるんですが、こういう狙いがゾンガロンにはあったんではないかなぁと。
拍手に感謝!ぱちぱちっとありがとうございます!
かつて天翔ける雷喰いを屠り轟雷王を名乗った男は、空中を飛ぶ敵との戦い方を熟知していた。瞬く間に背に回れば、我が翼の根元に手を掛け全力で引き千切ろうとする。
大きく口を開け迸った激痛は、先ほどの雄叫びなど比較にならぬ絶叫だ。
あまりの激痛に視界に星が散り、一瞬意識が飛んだのか体が大きく傾ぐ。空中で姿勢制御が崩れれば、墜落は必至。しかし、轟雷王は大きく体重を掛けて我が体を傾け、最も近くの岩壁に叩きつけおった。翼は引き千切れなかったものの、激突の衝撃に折れて力なく垂れ下がる。
翼の付け根の筋肉が肺の裏側に近かった為に、血が込み上げてごぼごぼと溢れて止まらない。そんな顎の下に轟雷王は滑り込むと、顎を盛大に打ち上げた。
視界がドランド大滝を駆け上がり、大空洞の天井を舐め、床に沈み込む。あまりの力に体を宙に打ち上げられ、一回転して叩きつけられた体に乗り上がった偉丈夫の影が大きく被さってくる。その太い腕が激しい稲妻を這わせるのを見て、我は喉に溢れる血を一瞬で砂に変え激しい炎を吐き出して迎え撃った!
流石、炎に耐性を持つオーガ族。轟雷王は激しい炎をその身に受けながら、我の胸に拳を叩き落とした。まるで落雷が直撃したような衝撃が、胸から背を突き抜ける! 心の臓が鼓動を止め、循環を失った体が冷え切り、魂が闇に沈み込もうとしているのを感じた。
死ぬ。
真っ暗な視界の中に雷の残滓が散らついていたが、それもゆっくりと闇の中に溶けていく。
死んでなるものか。
歯を食いしばり、星のように残る雷光に目を凝らす。
ドランド王国の滅亡は、我が悲願。
オーガ族の殲滅は、我が喜び。
絶望を堪能し尽くす為に、戦火を! 雪すら溶かし灼熱の大地に変える、戦の炎を灯すのだ!
我は粉っぽい喉を咳払いし、か細い笛のような音を漏らした。闇の中にひゅーう、ひゅーうと風が通り抜けるような音が滝の音に踏み砕かれていく。大空洞の中を反響する大滝を蹴散らし、無数の足音が地響きを伴って迫ってきた。
「えぇい! 邪魔だてするな!」
驚きの声が、轟雷王の重量と共に我が上から退けられる。何者かに体当たりされたのか、傍に轟雷王だろう者と別の誰かが縺れ合って倒れ込み、激しい揉み合いになっている。その間にも足音は滝から流れる水のように、間断無く迫ってくる。どっしりとした大きな足に腹を踏まれ、小さい軽い体重がちょこちょこと翼の上を歩き、足を引き摺る者が足の間を跨ぎ、這いずる体が立髪を巻き込んで引っ張られる。
その全てが轟雷王の元を目指していた。
「おのれぇ! ゾンガロン!」
怒り狂う轟雷王の声が、口を塞がれたようにくぐもる。殴られて叩きつけられる音、蹴られて骨が折れる音、言葉を失った獣の呻き声が闇の中で響き渡る。
次第に音が水気を帯びて独特の匂いが鼻先を掠めるようになる。敗者の王国では有り触れた、陵辱のかぎりを尽くした血と性液と汗、そして糞尿と死臭が綯い交ぜなった悪臭。生物の反応に抗えない体に絶望する呻き声が、誰のものだか想像するのは容易かった。地面に投げ出された手の上に倒れ込んだのは、まだ温もりは残るも鼓動を感じない柔らかな小さな体。それはどさりどさりと折り重なっていく。
顔からぱきぱきと音を立ててこびり付いた血を落とし、我は大口を開けて笑った。
獣に堕ちた轟雷王、ドランドの絶望を添えて。
なんて美味そうなメイン料理なのだろう…!
流石の稲野もR18G++なレベルの描写はヤバいと思って、ちょっとぼかした。
轟雷王さんが生粋の戦士ならば激痛は耐えられるとして、洗脳だって割と憎しみで踏みとどまれるなら、なんなら心が折れるかって考えてこうなった。胸糞ですな!すまん!!