ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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OCTOPATH TRAVELERと同じ系譜かって思う、英文字下線タイトル。とはいえ、さらっと聞いた限りではOCTOPATH TRAVELERとは違う感じのようです。エニックス時代から慣れ親しんだRPGを作っているスクエニ信者の稲野ですので、『日常×冒険 RPG』というジャンル説明からまぁ、通っとこうかな!って感じで購入しました。

新大陸の開拓の為に募集された移植者である主人公。男性であるのは固定で髪型が3種類と、キャラメイク要素はほぼないと言う感じです。グラフィックは整っており、首都エレビアを横スクロールで移動する為に奥行きなどの作り込みがかなりされています。その代わり横スクロールなので、行動範囲はそれほど広くありません。
このゲームでは何をするにも、お金がかかる(ただ、全体的にお金の桁は一つ減らしても良かったのではと、思わなくもない)。何かすることに困ったら、まずは仕事をして稼がねばなりません。
仕事の内容によってステータス経験値が上昇し、肉体労働なら筋力が、事務仕事なら魔力が上がると言った具合です。また、肉体労働では頭を使わないので魅力が減少し、事務仕事は動かないから俊敏が低下するといった減少も盛り込まれています。これに曜日ボーナスという特定のステータス経験値の伸び率が倍になるボーナスがあり、この『ボーナスは上昇と減少両方に反映される』という驚きの仕様。この経験値が一定数に到達するとステータスランクが上がる。つまり、主人公本人に設定されたレベルとは別にステータスにもランクというレベル概念が設定されており、主人公の力がより増強されます。仕事と曜日ボーナス、主人公の体力気力と相談しながら仕事をしてお金を稼ぎながら主人公を鍛えていきます。
気力体力の回復の仕方はさまざまで、仲間との交流から風呂に入るまで色々。お金が何かと必要なのでお財布と相談してください。
さて、稲野はドラクエで育ったエニックス信者。レベル上げは戦闘でするものと、骨の髄まで染み込んでおります。実はときメモやパワプロはプレイしていないのですが、この作品の育成ってそっち系なのかなって思うんですよね。つまり、行動を選択してステータスを上げる。戦闘やミニゲームなどステータスを上げる為には何らかの頑張りを求められてきたRPGをプレイしてきた稲野にとって、選択だけて上がるステータスは物足りないのです。この感覚はスクエニというメーカーを支持して購入していたプレイヤーには一定数存在するでしょうし、面白くないという評価の原因である可能性は大いにあります。

あと、たぶん、面白くない原因ででかいやつ。
主人公の選択肢がない。
無限ループをお家芸に持つスクエニの作品なのにさ、「はい・いいえ」じゃなくて「はい」しかないんだよ。例えば仲間が「みんなで頑張ろうね!」って盛り上がってるところに、主人公の返事としての選択肢が「そうだね!がんばろう!」しか出てこない。これは愕然もので、選択肢一個なら選択肢としてプレイヤーに提示する必要もないし、極論でFFのような主人公には名前も性格も既に設定されていてプレイヤーには映画を見せるようなゲームであった方が全然マシ。
本当になんで選択肢なんか出してくるの? 一個ならお伺い立てる必要ないでしょ?
最近のドラクエなんかは手が込んでいて、「いいえ」を選んでも「はい」を選ばせるようあれこれしてくれる。せっかくパラメータがあれこれできるゲームなんだから、いいえを選んで友好度が下がったって良いのですよ。
もちろん、一個だけの選択肢を出してくるゲームシナリオも確かに存在するが、そういうのはここぞって時の演出として使ってくるものです。このゲームでは普通に選択肢一個を出してくる。
これはゲームとして大変白けると思う。面白くない、つまらないと言われても擁護できない。

最近は全部ボイスをつけるのではなく、定型文のボイスを被せるのが流行っているらしい。
例えば買い物をしたとして店主が「ありがとうございます」というテキストが出る仕様として、男性だったら威勢のいい声で『まいど!』とか、女性だったら嬉しそうに『また来てね』とか声が添えられるのだ。この世界は外国語みたいで、ダンケとか聞こえるからドイツ?とか思いながら聞いています。多分、最初の言語選択で、選んだ以外の言葉が選ばれるんだろうな。
結構、この外国語が異世界感を醸してくれて、とても良いです。テキストでは伝わりにくい活気が伝わるのは、プレイヤーとしての没入感に良い影響を齎してくれます。

今作品のメインイベント『外征』。主人公が仲間達と共に未踏破地域へ行くことを『外征』と言います。目的は未開拓地域に踏み込み新大陸を踏破するものから、討伐、素材集めまでさまざま。目的によって達成条件は異なり、討伐素材集めは目標数の達成、踏破は目的地への到達になります。
しかしどのクエストであろうと、『外征』は日時が経過するごとに最大HPが減少していきます。この最大HP減少に抗う手段が『外征』中にキャンプをして食事をすること。食事をすることで最大HPを回復させ、継続的な『外征』を行い達成を目指します。更にキャンプで睡眠することで回復や危険な魔物とのエンカウントが発生する夜をスキップ出来る利点もあります。
ダルいなぁとか思いますが、職業を解放していくと結構忙しくなります。
この『外征』には目的地にボスがいるクエストもあり、その為に最大HPのコントロールが難しく、面白いところであります。このために、日常生活でしっかりと準備が必要になります。
戦闘も『外征』でしか発生せず、討伐依頼の仕事であっても戦闘は起きません。
戦闘はターン制で、チャンスから始まりチェインを重ねる事で大ダメージを生み出すというもの。これらは技にチャンスやチェインが表示されているので、それに従っていると分かっていくと思います(まだ、稲野も分かってきたかな?って感じです)

この作品で最も期待するのはシナリオです。
この大陸の謎にはまだ触れたばかりですが、面白いだろうと勘がつげるのです。ゲームクリア後に追記として最終雑感を添えたいと思います。


2023/12/27追記

全ての地域が解放され、陛下という一番偉い人の欲望がちらほら見えて不穏さが醸し出されています。陛下の懐刀的な存在がパーティ入りしてくれて終盤直前で裏切るのか不安になったり、陛下の欲望に修道士のお兄さんが反応して消されないかとか、色々と考えてしまいます。(パーティ入りした段階でこのゲームは裏切らないと思う。流石にオライオンさんが『正気に戻った』とか言うの似合わない)。まだ、核心がチラ見えした程度で、物語はそれほど進んでいない感じです。それでもやはりストーリーは面白いのではと勘が告げます。
しかし世界樹でさえ新階層踏み込んだら街の人がすごいねーって褒めてくれるんだから、ここでも新しい地域が解放されたら褒めて欲しかったなー。
雪山が解放されたあたりで『外征』の難度が跳ね上がり、環境適応という状態を把握します。この環境適応で難易度がガクンと下がって快適な冒険ができます。この環境適応は住民に仕入れた噂話を『会話』で振る事で得られる状態。正直、なくてはならぬ重要な状態なら、チュートリアルか何かで教えて欲しかった。あったのか?把握していなかった?
むしろ、後半の環境はどれも過酷で、この環境適応が必須なくらいきついです。
なので、噂が仕入れられないと『外征』が滞る。レベルが上がればゴリ押しできるのだが、それは適正レベルプラス10くらいの話なので、だいぶきつい。しかも噂も重複して手に入ってしまうため、狙った環境適応に関する話題が手に入るかは運が絡む。
情報屋が欲しい。あるのか?知らないだけか?
この環境適応の噂を待っている間が、非常に怠惰な時間です。
レベル上げもしていいんですけど、こう、物語一気に進められそう!って思った段階で足踏みさせられるテンポの悪さに心象は最悪です。
環境適応なしで、強行軍で進めよって話ですよね。はい。すみません。
あとは戦闘アビリティというか技の使い所が良く分からなくて、戦闘がよく分からない。現在は狩人主人公の五月雨矢で矢刺さり状態にして、火炎系の術でコンボ狙う戦い方です。あとは給仕の濡れ状態から釣り師の雷とか。しかし、このスキルの使い所云々を組む以前に、環境適応なしの強行軍の場合は給仕の回復増強と狩人や料理人の食糧調達というメンツを選ぶしかないですからね。もう、戦いは主人公のパワーでねじ伏せるしかない(仲間が40目前のレベルで、主人公50は超えてます)
次はきっとクリア後に追記できるはず。

2023/12/29追記
ついに全地域の蛮族平定して、解放!素敵なエンディングを迎えました!!!
突然のエンディング(仮)で、すごくびっくりしました。
だって、まだ全部のジョブ解放もしてないし、最終ジョブもぼちぼち解放していたので、終盤なんてまだまだ先のことだよ!まだまだ先があるよ!って普通に思う。全ての情報も出切っていない中途半端な状態ですからね!
でも、最初の目標は全地域の解放であり、蛮族の危険から解放することだったので、確かに当初の目的は達した!だからエンディングというのは正しい。

そしてここから陛下の本性も出てきて、スタッフロール後1分内できな臭さが大噴火!
やっぱり、このゲームは物語凄く良い。頑張ってる。
その凄く良い物語が、システムのテンポの悪さでぶつ切りになってるの本当に残念。泣いちゃう。

2024/2/7追記

前回の全蛮族平定から顕になった不穏な問題が解決し、人間の生活は明るい未来が約束されました!やったね!という状況になりました。
ただ、最終戦の時にこの大陸の大きな問題が明かされ、最終戦は撤退が求められるイベントバトルなのか真剣に勘ぐりました。似たような状況でDQ7のオルゴ・デ・ミーラ戦があるのですが、あれは徐々に体が崩れてきて押せば倒れると思いましたが、バリアスデイライフのボスは倒れても再び立ち上がってくる感じで姿も変わらないのでね。3回目倒れる寸前くらいでプレイ動画を参照したくらいですが、焦った頭では分からず3回目打倒のイベントで討伐となりました。
考察しがいのある大陸の謎ですが、これ、もっと早くに露見しなかったの?第一回から参加のブルーノさんが気がつかないってどうよ?主人公が第九回入植組なので、一年に一回の船を考えれば九年。流石に気がついて伏線として張られていたら、この物語は化けただろうと思います。エルフリック殿下が頑張ってたが、本国とのばちばち感ももっと出して良かったと思う。とても残念。
エフィルちゃんや古代人の謎もこれからという感じなんでしょうが、これでゲームをクリアした!とさせていただきたいと思います。

ストーリーシナリオはすごく頑張っていて、たぶん、良い話だったと思います。『たぶん、良い話だったと思います』になってしまうのが、外征のための準備の長さ。主人公が最終的にレベル70台に突入しちゃって、仲間は50台がちらほら。仲間が日数を消化して一人一レベルしか上がらないというのが、レベルの差に直結したと思います。
運営のように、仲間を派遣してステータスをあげたり、修行に出した人が数日間組を離れるために仕事に参加できないとか、平行に出来たらこのレベル差は埋まったのかなと考えてしまいます。
このレベルの開きと戦闘が外征だけで有用なスキルの使い方が見つけられず、レベルの低い仲間は補助や繋ぎにしか使えず、主人公がダメージを叩き出す戦い方で戦いが単調になりがちでした。後半になると外征も時間が掛かるので、それもしんどかった。
自分はコツコツプレイするの好きなんですが、苦行に感じたのはきっと合わなかったからだろうなって思います。苦行に感じると世界が色褪せて、何もかもが魅力的に見えなくなります。

統括といたしましては『自分には合わない』に尽きるゲームでした。

ロトに続くは天空シリーズと、7の感想を語って参ります。
ロト三部作は高屋敷先生でしたが、天空シリーズは久美沙織先生が担っております。更に7は土門弘幸先生が執筆しております。まずは天空シリーズより語って参ります。

小説ドラゴンクエストは、久美沙織先生からって方は多いのではないのでしょうか。私も最初のプレイが5だった関係で、小説ドラクエは5であり久美先生からです。
久美先生はなんと言っても描写力。特に美しい煌めくものを宝石に例えることが多く、影響を受けたファンは多いのではないでしょうか。繊細に世界を描写する久美先生の文章は、挿絵を担当するいのまた先生と大変相性が良いです。
更に久美先生はキャラの描き方も上手く、4ではオムニバス形式を最大限に利用し魅力的なキャラクターをかき分けています。個人的にはトルネコの話はコミカルになり、ピサロが出てくれれば妖艶さを醸す文章の表現の書き分け。5の砂漠は本当にすごい…(風化する語彙)。6では主人公のイザがとても鼻が良いという設定やら、キャラの魅力を引き立てる表現が多い。久美先生によってライアンマーニャ沼に沈められた方も多いことでしょう。なんと罪深い。
高屋敷氏が脚本家の力を活かして世界観アレンジ設定で殴ってくるのに対し、久美先生は世界観からこのキャラに付属するだろう可能性を付加した説得力で殴ってきます。特に6のバーバラのマダンテの設定は、6の総合的な文章や展開統合力と相まって6を最高と評価する一因になっています。
現代の人々が想像する小説により近い形になった天空シリーズ。
久美先生のお力によって、より魅力的になったと言えましょう。(だからユアストみたいなことが起きるんだよって思ってる。監督が認めないのが悪いけど、それだけ5小説がよかったってことだと思ってます。だが、ユアストの5主はリュカってキャラじゃなかったけどな)

7の執筆は土門弘幸先生。実は稲野はこの方が電撃でデビューしたオーキ伝が結構好きでして、7の執筆に関わる前から知っていたりします。男の子主人公と戦う女の子のボーイミーツアンドハーレムみたいな感じでしたが、一気に読んで面白いし記憶に残る稲野的高評価の作家さんでした。
だからね。
ちなみに7は豪華版ことハードカバー版がいのまた先生。文庫版がなくなり新書版が鳥居大介氏の挿絵となっています。その後、全ての小説ドラゴンクエストが新書版として新刷され、7以外の作品の挿絵は椎名咲月氏が描いておられます。
そんな土門先生はバトルものがデビューだった関係で、戦闘要素を厚めに起用していた印象です。転職システムはガボを魔物職で採用し、6で増えたのが更にバリエーションを増やした特技を積極的に採用しています。必殺技みたいな感じで技を叫べばどんな演出と技が出るのかを、プレイ済みの読者に託すことで文字数削ってたと思う。とても涙ぐましい。
7で最後になったのは、絶対公式が悪いから。
当時のドラゴンクエストでは最長の物語の7を上中下巻で完結させろとか意味がわからない。土門先生本当によく完結させたと思う。久美先生も6はかなり端折っていましたが、土門先生は8割強位端折る必要があったと思います。もはや同情してしまうレベルです。
7からではなく8から書かせてたら評価変わったのかなぁとか考えてしまいます。

7は公式小説ドラゴンクエストの最後の作品となりました。
物語が長くなればそれだけ巻数を出すからお金がかかるとか、漫画の勢いが増し小説の読み手が相対的に少なくなってきたとか、7が最後になった理由は色々あるんでしょう。世知辛い。
ドラゴンクエストの二次創作をするファンが、小説好きの層が厚いのは公式小説のお陰でしょう。ゲームと漫画は娯楽コンテンツとして相性は良いですが、ゲームと小説が結びついたのは小説ドラゴンクエストがあったからでしょう。
公式コンテンツとしては終了しましたが、芽吹いた思いは創作するファンへ綿々と受け継がれていくのだと思います。

実はbooklogを閉めまして、こちらに思い入れのある本の語りを移築する予定でございます。元々、booklogはレビューの書き方を勉強する意味合いも多かったのですが、最近では登録はすれど内容を書かずしまいな所がある上に、当たり障りのないつまらない内容で読み応えがない。ブログでこれが良かったあれが燃えるだ好き勝手に書いてる方が、自分も楽しいだろうと思っております。

さて、移築第一弾はエニックスの最後の鍵文庫公式の『小説ドラゴンクエスト』のロトシリーズです。公式の小説ドラゴンクエストは、シリーズごとに執筆者が交代しておりまして、ロトシリーズは高屋敷英夫先生が執筆しております。挿絵は新書版以外はいのまたむつみ先生が描いております。

まずはいのまた先生の挿絵から語らせていただきます。
公式ゲームでは鳥山明先生がキャラクターデザインをしております。その為、攻略本は鳥山先生に作風が似ている方が絵を描き、知られざる伝説も攻略本に倣っております。エニックスは早い段階で4コマ劇場を展開し、ダイの大冒険やロトの紋章といったコミカライズが連載されたり、DQは鳥山風でなくてもキャラクターデザインの特徴を押さえていれば良いという風潮がファンの中にありました。(この風潮は今のファンアートの土台を作と言っていいでしょう。同時におそ松さんのようにキャラクターデザインを踏襲しないとダメみたいなジャンルが登場し、その凄さを改めて感じています)
しかし、いのまた氏の画風はゲームで言えばFFの天野氏に寄った緻密な表現を得意としており、DQとは真逆の画風なのです。小説はゲームと対極を成すジャンル。そのための起用だとしたら、大当たりか大外れかの大博打だったのではと思います。
しかし、私はいのまた氏を起用したことは、とても大きなプラスであったと思います。ゲームから遠い緻密な絵は、文章のリアリティにうまく結びつきました。
ちなみに、稲野のいのまた先生は小説ドラゴンクエストです。はい。

小説を執筆された高屋敷先生は、本業は脚本家。ゲーム嫌いだったと噂があります。
流石、脚本家。小説家とは異なる文章を我々に見せつけてくれます。街の描写にはまず人口が示され、箇条書きに近い淡々とした描写を連ねます。正直、小説として読むと物足りない心理描写ですが、書いている方が脚本家であるなら納得の描写であります。
この高屋敷氏は何がすごいかというと、展開設定が凄いのです。高屋敷先生は、一人旅のDQ1において同行者というオリジナルキャラクターを起用し、2・3においては因縁のライバルキャラや独自設定を設けております。それを軸に物語を描く。
ゲームとしてのドラゴンクエストは全部横に置いて、ドラゴンクエストという世界観を書き起こして文章化した話です。しかし、これは本当にすごいことで、独り言が多くなる一人旅を三人称で書くにあたっては単調になってつまらなくなる可能性が大いにあります。同行者がいることで三人称は華やかになり、旅が変化するのです。旅初心者をガルチラに笑われた、生きている勇者の姿は私の中ではとても印象に残っています。2の三角関係は生々しすぎて、もはやトラウマです。3は全職業が登場し、群像劇の色が強くなっています。
さらに因縁のライバルや敵キャラが存在することで、魔王を倒す一本道がライバルキャラや個性的なライバルの存在で太くなるのです。1のザドルータンが息子の死に叫んだ描写、竜王が死の間際に見せた悲しそうな眼差しは私にDQの悪は悪と断じ得ないと思わされました。しかし、顔に大きな火傷を負わされたチコの憎悪の描写はゾクゾクとさせられ、相容れぬことを感じさせる。ロトシリーズは特に魔王を倒し世界を平和にする旅の意味合いが強く、旅先で困り事を解決するようなイベントは3くらいから多く用意されています。その為に肉付けされた高屋敷先生の設定は、見事に魅力的にドラゴンクエストの世界を描いたのです。
小説ドラゴンクエストは世に先駆けたゲームのノベライズ。開幕から自由度振り切れた公式二次創作がぶち上がった訳です。
今も多くゲームだけでなく様々な作品をノベライズした小説はありますが、エニックスと双璧をなすだろう電撃系はシナリオをなぞるような小説を執筆の印象です。これは筆者がどうのではなく、会社の方針なのでしょう。星のカービィ系はゲームとは異なる独自の話を展開しているように見えます(絵本は世界観を抜いたものと見受けますが、つばさ系はちょっと勉強不足です申し訳ない)

この高屋敷氏の切り開いた道は、現在のドラゴンクエストの二次創作をするファンの中に受け継がれてることでしょう。物語に沿えば、内容は問わない。そんな自由度をファンが謳歌しているのです。

拍手に感謝!複数の人にぱちぱちいただいて、ど、どうしたんだ!!??って狼狽える稲野です。
もしかして、たいっつーの更新報告タイーツで来てくれている人がいるのか? Twitterでしてこなかったのは、更新が恥ずかしいことと書いても来ないだろうなって思ってたからなんですよね。タイツでは更新報告しとこうと軽い気持ちでできるの強い。
いやいや、それよりも拍手ありがとうございます!ぱちぱち嬉しいです!

二ヶ月前から休み中にこちょこちょ作っていた、DQ10コミカライズ蒼天のソウラのキャラクター、エストリスさんのぬいぐるみをPICTへ追加しました!最近、完成目前でテンション上がってうるさかったあれです。
ハンドメイドエリアを見ると、すでにエストリポさんなるぬいぐるみがいるんですが、今回はその子のリメイクになります。嫁入り先で色々ありまして、エストリポさんを手放すことになりましたので、今回のぬいぐるみを代わりに製作しようと決めました。
とはいえ、昔に作ったぬいぐるみ。
稲野は一点ものの型紙を軽率に捨てる傾向がありまして、今回のエストリポさんも見事に残っておりません(死)まぁ、一点ものって結構力づくで作っちゃうので、型紙の意味はあんまりないっちゃごにょごにょ。
ですが、技量的には上がっているので、作り方をあぁしようこうしようと改善したら、まぁ、見事に昔の型紙など役に立ちません。結局、完全新作が出来上がるわけです。
細部をこだわり抜いた現在の稲野最高の出来でございます。(前作のエストリポさんと比べたいところですが、まずサイズが倍近く違うので比較のしようがない)
巻き髪を簡略化することで安っぽくなくなり、巻きを重ねることで立体感を出しております。レースを襟や帯び、足元の足袋の口に採用することでゴージャスさを演出。帯の結びや前にビーズを施して華やかさを。着物のグラデーションもばっちり対応。お下着も抜かりございませんよ、ふふっ。
稲野的には旅行先などに持っていくオタク的楽しみ方ができるよう、ぬいぐるみは小さくありたいのですが、ついうっかり大きく育ててしまいました。その分、布に余裕が出て作り込みできた感じです。終盤にバランスを見直して完成できないかとお先真っ暗になりかけましたが、3cmの縮小、1cmほどのウエストサイズダウンで良いバランスに調整できました。それでも、でかいがな。

しかし、蒼天のソウラで検索していただけると分かると思いますが、デザインがなかなかに独特。前回は白衣の構造に泣かされたわけですが、今回はかなり良い感じに立体に落とし込めました。むしろあの白衣の飾りみたいなのが支えになって、白衣の立体感が自立する。え? お前が白衣の立体感を支えちゃうの? まさか、作者様はそこまで考えて…? なんて恐ろしい…。とか震えていました。
ちなみに画像にはないのですが、履き物の底にはハートマークを仕込んでいます。嫁ぎ先の方が「エストリス様の下駄になりたい」と常に言っているのですが、流石に嫁ぎ先様の顔を刺繍するわけにはいかず、嫁ぎ先様の愛情をハートで表現してみました。愛情を足蹴にせず、座ってお過ごしになっているようで、その意図を伝える前に愛情を踏まないことを選んだエストリスさんのぬいぐるみと嫁ぎ先様に『良かったねぇ。これが主従の絆…happyend!!』とか感動してました。

個人的には和装なので安直に梅選んじゃうんですが、手元にバラの香水しかなかったので、バラの香りを移して完成です。基本的に香りを移すほどはやらないんですが、今回は嫁ぎ先が主と慕う推しですのでファビュラス感を演出したかった。あと香水が似合いそうなキャラだったというのもあります。
ほら、モンスターに薔薇なんて似合わないじゃないですか。カービィに食べ物の匂い移したら虫が寄ってきちゃう。強いていえば柑橘なら香りはあるけど、カービィはケン●ッキーみたいな暴力的な香りの方が似合う。

お陰様で嫁ぎ先は大満足を飛び越して、もはや溺愛の粋であります。
大きさも香りも、結果的にはすごくプラスになったようです。
これが、本当の溺愛…。私はとんでもないものを作ってしまったのかもしれない…と感動を通り越してちょっと震えてます。
いやぁ、作った推しが喜ばれるとか、これ以上の誉はありませんね!
嫁ぎ先のノミトさん!お嫁にいったエストリスさん!お幸せに!!!!

少し昔、世間を賑わせた話題作『横浜駅SF』
横浜駅は稲野が知る限りずっと工事をしていて、毎日通勤で使っていても大きな変化がありました。東急東横線がみなとみらい線と結合して、東横線のホームが地上から地下に一日で変更になったのが一番大きな変化でしょう。その後、東横線のホームは取り潰され今では駅外が見える見晴らしの良い空間になった気がします。横須賀線のホームは拡張されて日に日に使い勝手の良い空間になっていますが、ホームドアはまだ設置されておらず、ひっきりなしに来る電車にホームから溢れんばかりの乗客が乗り降りする神奈川のターミナル駅でありましょう。地下は東急東横みなとみらい、地上にはJRだけでなく、京急や相鉄が乗り入れています。
これにダイヤモンド地下街やらルミネやら高島屋といった駅と繋がる商業施設が複雑化しています。駅と一括りにできないのが、横浜駅だと思っています。
個人的には日本最強のダンジョンは新宿駅だと思っていますが、最近は渋谷もえげつない感じになっている気がします。関西の梅田はよく知らないですが、一度だけ訪ねた時は浅い階層で迷いませんでしたね。東京の魔窟に比べれば、横浜駅なんて可愛いものだと思ったりはします。
ただし、工事中は連日行われていた関係で、昨日通れた場所は今日は通れず、別の迂回路が期間限定で誕生しているなど、横浜駅周辺が勤務地である友人の後をついて歩いてもどこを歩いているかわからないくらい目まぐるしい。入るたびに地形が変わる不思議のダンジョン感が横浜駅にはありました。
今は落ち着いたと思いますが、まだホームドアがありますし、まだまだ続くんじゃよって感じなのではと思っています。

さて、本題の横浜駅SFの話。
謎の増殖にて本土を覆ってしまった横浜駅へ、駅外で暮らしていた青年が行く話。横浜駅は駅であるため入場料的なものが存在し、それはSuicaという位置情報システム的なものであり、それが導入されていない人間は駅中に入る事が出来ません。駅外で暮らしていた青年もSuicaがない為に入る事はできない。しかし、横浜駅から追放された駅中の人間から恩人を救うよう託された18きっぷで入る事が出来、昔に流れ着いた老人がつぶやいた42番出口を目指す。
しうまいくんというアニメキャラに横浜ーて感じがあったり、岩手の壁なんかは津波の防波堤なんだろうとか、ほうとうや目的地の長野の山の名前だったり色々と地元ネタが散りばめられています。これは読み手の心をくすぐってくれる。
ただし、三人称なので主人公の心理描写が乏しく、『自分は何か目的のある芯のある人間になれるかもしれないと思って横浜駅にきた』という自分探しの旅感がだいぶ薄い。18きっぷの期限が5日間なのもあって悠長に考えていられないのだろうが、終盤になる程に『主人公はそんなに悩んでたんだ…』と私が驚いた。おまえ、結構ドライな性格じゃなかったっけと思いますが、終盤になるにつれ主人公が自分の選択の重さに胃をきりきりさせている感が増えていきます。展開が早く面白く三人称なので心理描写の少なさは気になりませんが、痒いところに手が届かないもどかしさがある。そこを余白と捉えるかは人それぞれでしょう。その後が語られてないところは非常に多く、そこらへんは個人的には嫌ではないが、作者さんがどう描くのかは気になるなぁと思うところです。
実は横浜駅SFは全国版という外伝集から読んだので、痒いところに手が届かない部分をそこで補っていましたが、全国版読む前に本編を読んでいたら相当物足りないと感じていたでしょう。この作者さんは世界観を非常に密に作り上げているので、それを全て味わえないのは残念だなぁと思います。

ここからはネタバレ考察。
実は読み終わった後に考察探したんだけれど全く見つかりませんで、ここで吐くしかない。
教授という重要人物は匂わせた通り重要人物でした。そんな教授が主人公の暮らす三浦半島の先に流れ着いたのは十年ほど前。同じ時期に北海道にも『ユキエさん』という天才が現れます。ユキエさんは本編全国版でも名前しか出ない天才なのですが、おそらく教授の同僚なのかと思います。横浜駅が増殖を始めたのが数百年前らしいので、コールドスリープなどが施されていたのが10年前に解除され、Suicaを導入していない教授やユキエさんは、開発者側の立場でありながら横浜駅から追放され横浜駅の及ばない場所で暮らさざる得なかったのではと考えています。
教授とユキエさんの違いは、己の力が発揮できる場所に逃げられたかです。
教授が流れ着いた三浦半島は横浜駅から排出される物資と、細々とした畑で暮らす集落でした。横浜駅と近く、周辺の岸壁も同じような集落であったのでしょう。北海道や九州四国といった横浜駅に飲み込まれていない地域に、船に乗り継いでいくことも決して不可能ではなかったでしょうがそうしなかったのは諦観に囚われてしまったからでしょう。教授は流れ着いた先の人々が横浜駅から排出される残渣物に頼り生活していたことから、その生活を変えてしまうことを罪深く感じ、最初の目的を諦め隠居的な生活をしていたのだと思います。
逆に北海道まで逃げ延びたユキエさんはその知識を惜しまず使い、さまざまな革新的技術で横浜駅を攻略しようとしています。作中に出てきた情報収集と工作を目的としたアンドロイドがその集大成でしょう。
結局、ユキエさんが横浜駅を崩壊させる的な目的をもっていたならば、アンドロイド達に崩壊の引き金を引かせる事は容易かったはずですが、そうしなかった。ユキエさんと教授は目的が違ったと言えます。ユキエさんは増殖し本州を覆った横浜駅という存在を、利用したいと考えていたのではと思います。増殖する横浜駅は、無限に石油の湧く油田みたいな感じがします。それを利用して人々に還元させる。そんな目的のために、横浜駅の中を探る工作員を用いたのではと思っています。
増殖した横浜駅が、線路が増殖範囲外であったのは『駅』だからなんだろうとは思います。リニア線路が駅外であったことや、42番出口が駅構造に覆われて実質駅孔扱いだったことも、線路や駅の内包物に当たらない施設は駅に含まないのでしょう。電車の走らない駅。皮肉が効いていますし、増殖する横浜駅は結局駅じゃなかったんだとなれます。

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