ハコの厚みはここ次第!
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■ Profile ■
稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
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一体、どうなっている?
俺はジーガンフだ。目の前の男はレギオンだったはずなのに、何故、俺の姿に成り代わっている? 今俺が着ている修練着も、刃を防ぐ為の鋼鉄の手甲も見慣れたものだ。
いや、目の前の男は間違いなくレギオンではなくジーガンフだ。
封印された悪鬼に操られるまでもなく、俺は周囲を侮っていた。村一番の実力者でありながら、村王の娘であるマイユが俺よりも弱いアロルドに惹かれているのを心底理解できなかった。アロルドに勝利する為の対決で手加減されたのに気がついた時、血が沸くほどの怒りを感じた。
俺よりも弱いアロルドに手加減されるなぞ、屈辱以外なんと表現したらいい?
手加減などされずとも、完封するまでに強くなろうと思った。
明け暮れた修行の中で、世界は姿形が変わっていた。
最初の変化は魔物だった。弱いか強いかで認識していた為に、ランガーオ山地に生息するスライムや一角兎の見分けが付かなくなった。それは次第にランガーオ村の人々にまで伝播し、住んでいる場所やいつもいる場所で見分けるようになる。その変化を俺は何とも思わなかった。
強く。
強くなろうとした。
その意思が、俺から人らしさを削ぎ取っていく。
ゾンガロンに操られた時でさえ怒りに満たされた世界は代わり映えなく、ランガーオ村の人々を認識できなかった。あの時、マイユとアロルドが止めてくれなかったら、俺は母をくびり殺していただろう。
今、レギオンにしようとしたように、母を母と認識せず、オーガとも思わぬうちに。
心臓が萎んで凍りついていく。
狂っているから、殺していい。
その免罪符が、目の前に魅力的な香りを放ってぶら下がる。俺の手が、香りに引き寄せられる蝶のように頼りなく伸ばされていく。
「ジーガンフ! 惑わされるなっ!」
声が閃光のように貫いた。
声の方へ向けば小さな窓がある。白い雪で眩いランガーオ村の窓は、大口をあけた魔物の口のように暗かった。その窓の下の方に、形の良い小さな白金の丸が転がっている。丸がひょこっと動くと、くりっとした瞳が俺を見て嬉しそうに細められた。闇から浮かび上がり雪に白く照らされた青白い頬に、さっと朱が走る。手に触れたら溶けてしまう淡い雪のような、美しい娘。
そんな幼馴染はスライムより弱いかった。家から出ただけで風邪をひいて昇天の梯を登ってしまうという母の言葉に、冗談と笑って落とされた拳骨が人生初めての気絶だったろう。
弱い。
弱いけれど、俺はその弱さを卑下しようとは思わなかった。
なぜ? 幼い俺が窓に触れると、幼馴染みは恥ずかしそうに枯れ枝のような指先を窓に這わせた。 硝子が互いの体温にほんのりと温まる。嬉しそうに微笑む顔を、具合が悪く苦しむ辛そうな息遣いを、悲しげに伏せた長いまつ毛が隠す目元を、俺は窓越しに見ていた。
笑った顔が、一番好きだった。
「お前は姉が恋焦がれた、最強の男だ!」
心が燃える。心臓が激しく脈打ち、熱を全身に送り込む。足が地面をしっかりと捉え、根を張ったように揺るがぬ点から己の肉体が構築される。血を巡らす筋肉が躍動し、膨らんだ筋力が点から前へ力を送り出す。その動きは無意識にまで体に染み付き、儀式の為に一晩踊り抜く戦いの舞そのものだった。
俺の正拳突きは窓を突き破り、今は亡き幼馴染の背後に立っていたレギオンの胸を貫いた! 泡を吹いて昏倒したレギオンの向こうで、窓越しの彼女と同じ顔で、似ても似つかぬ快活な笑みがある。
その笑みに、ほっと熱い息が溢れた。
しゃあああああああ!!!!!!!!!!後半終了!!!!!!!!!
