ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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僕達がグリエ様を心配して闘技場を見下ろすテラスに出ると、ぶおん ぶおん と金色の軌跡を描くグローリアックスを軽々と素振りするギルガラン王子に向かって、グリエ様が切々と訴えている姿が見えた。努めて冷静に淡々と訴えるグリエ様の声は、振り抜く風圧が生み出す音に完全に潰されている。
ギルガラン王子が王の墓を暴いて副葬品を持ち出した事は、闘技場を見下ろし様子を伺う民の耳には届いていない。しかし、舞台上に居合わせた闘士達には聴こえているようで、一様に驚いた顔で修練の手を止めていた。
ようやく素振りを止めて巨大な斧が舞台に突き立てられた頃には、オルセコの全ての民が二人の王子を見守っていた。
グリエ様を見下ろしたギルガラン王子は、首に手を当て首を回す。さも面倒そうに、気だるそうに、グリエ様を見下ろした態度に兄弟の情があるとは思えなかった。兄の態度に怯まずに訴える弟がすっと手を広げた。
「言葉が無くば想いが伝わらず、知らぬは不安を生みます。民は兄さんの声を聞きたがっているのです」
「黙っていろ、グリエ。今は俺が王だ」
ギルガラン王子の鋭い視線が、見下ろす視線を睥睨した。
「オルセコの民は王の所有物だ。黙って俺に従っていれば良い」
ざわりと民が響めき、反感の感情が膨れ上がるのが目に見えるようだった。
確かにオーガ族は力を尊ぶ。隣国のドランド王国と長らく戦争状態のオルセコ王国で、非力で優しいグリエ様が王座に着く事はないだろう。一騎当千の武人であるギルガラン王子が王位に着き、彼の指揮の元に敵を打倒する事がオルセコにとって必要な未来であるのは明白だった。
「それでは民の心は離れてしまうよ」
グリエ様の言葉は至極尤もだ。
「たった二人の兄弟なのに、どうしてギルガラン様はグリエ様の手を取ってくださらないのでしょう?」
うっすらと涙を浮かべて、セーニャが呻く。『口は悪いけれど、国を守ろうと必死なんです。どうか大目に見てやってくださいね』と笑っていたグリエ様の気持ちを、セーニャは自分の事のように感じていたようだ。セーニャのお姉さんは素直じゃない所があったから、似ていなくもないかもしれない。
二人の王子が手を携え、互いに補いながら王国を運営する。理想だが、それが出来たならオルセコ王国は間違いなく繁栄の未来が約束されるだろう。しかし、ギルガラン王子はグリエ様の言葉を聞き入れない。力が強い故に支配しかできない兄は、優しさで人々を纏める弟を煩わしく思っているのかもしれない。
ギルガラン王子の目元がぐっと険しくなった瞬間、警鐘が鳴り響いた。
「鬼人だ! 鬼人が現れたぞ!」
セーニャちゃんの妹属性と、グリエ君の弟属性が共鳴している。
まぁ、ギルガランとグリエ君が仲良しってイメージあんまりなくて、よくてギルガランがツンドラというか王様気質の中に、グリエ君への微糖的な受け入れというか拒否らない感じがあるのが精々なのだが、そんな描写を書く日が来るのだろうか? 多分、執筆範囲中には発生しないぞ????
