ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 梁から降り立った黒い獣の足元に敷かれた板が、着地の重みに折れて跳ね上げる。ローベルさんがちらりと目配せしたのに応じて、僕らは同時に獣に切り掛かった!
 蛇腹状に見える手の大きさの割に細い腕。切り飛ばせると剣を振り下ろした僕だったが、あまりの硬さに息を詰める。剣と打ち重なった反響音は金属音よりもずっと低い音だったが、滑らかな質感は金属に近い。全力を込めても、獣はびくともしなかった。
 僕の剣を跳ね除けて大きく爪を振り上げれば、立派な執務机が切り裂かれる。舞い上がる書類や転がるインク瓶や羽根ペンに、カーペットの上で後ずさっていたラゴウ隊長が窒息しそうな悲鳴をあげる。這いずって逃げる中年の背中と獣の間に、ローベルさんが立ち塞がる。
 ぐん、と獣が身を捩れば、鉤爪の付いた尾がローベルさんとラゴウ隊長を横薙ぐ為に迫る。ラゴウ隊長は間一髪攻撃範囲の外に逃れられたが、剣で尾の一撃を受け止めたローベルさんが吹っ飛んだ。切り裂かれた執務机の突っ込んで、頑丈な机が粉々に砕ける。
 黒い獣が僕を見据える。
 大量生産の剣では、この魔物の外殻を破壊する事はできないだろう。外殻の隙間に目を凝らすが、黒い体は闇に沈んでいて関節を見出せない。弱点は。走らせる視線は、角にはまった蛍光色の宝石や、手の甲に腕輪の装飾のように施された大人の掌くらいの紫水晶を映す。しかし、生物に当てはまるような、急所らしい急所を見つけられずにいる。
 弱点を探ろうと費やした時間は、大きな隙になった。
「レナート! 逃げろ!」
 ローベルさんの声に視線をあげると、獣の頭に生えた一本角に嵌まった宝石が輝いている!
 次の瞬間、宝石から僕に光が照射された!
 咄嗟に頭を腕で覆い、防御姿勢を取る。光は僕の体を融かさんばかりに強く降り注いだが、熱も寒さも何も感じない。訝しげに腕の下から体を見下ろせば、微かに魔力の流れを感じる。マホトラを使われたように体から力が抜けるが、魔法を使う為の魔力や生命力とは違う。
 なんだ? 何が流れ出しているんだ?
 ぴしっ!
 ヒビ割れる音がして顔を上げれば、角の根元に亀裂が走り、散った破片が光を弾く。
 ばきんっ!
 大きな音を一つ立て、根元から角が折れた。
 獣はまるで金属に剣先を擦り付けるような、生物とは思えぬ断末魔の声を上げて、前のめりに崩れ落ちた。魔物が消失するような黒い霧が外殻の間から漏れて、中身のない外殻がばらばらと床の上に広がっていく。
 突然の獣の死に呆気に取られた僕とローベルさんよりも早く、立ち上がって獣の遺骸に近づいたのはラゴウ隊長だった。真っ黒い外殻を蹴りつけると、何度も何度も踏みつける。
「このラゴウ様を脅かしおって! 愚かな獣め! いいザマだ!」
 残された外殻に害はないと判断し、息切れし出した隊長を横目にローベルさんが歩み寄る。僕に外傷がないか慎重に確かめた後、おずおずと訊ねた。
「敵の攻撃を受けたようだが、問題はないか?」
 なんともありません。僕は戸惑いながらも、そう答えた。

異形獣、スゴクカタイ問題。
後々困りそうなのに、書いてしまった。

拍手に感謝!ぱちぱちっとありがとうございます!

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