ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 リーバルが兄弟岩の端の草むらに向かうのを、雛鳥達はちょこちょこと付いていく。
 草原と林の境目に立つと、夜空の色が草の上に落ちた小さな木の実を摘み上げた。硬い殻に包まれたハイラル全土に良く見られる木の実で、殻の中身を香ばしく炒ればリト族が大好きなおやつになる。他にも火種に使える傘の開いたまつぼっくりや、焚き火に使えそうな手頃な枝をひょいひょいと拾い上げていく。それを翼の上に並べ、雁首揃えた雛達に見せる。
「覚えたかい? これを集めておいで」
 わっと小さな羽毛が草むらに飛び込んでいった。ふわふわの羽毛が立った寝癖や、拾うためにピンとたった小さい尾羽が草むらの隙間から見えている。雛鳥達の『あった!』を横目に見ながら、リーバルは木の根元に生えたハイラルダケを摘み取った。
 にいちゃん! きのこ とってるの?
 雛鳥の嘴についた葉っぱを払いながら、リーバルは笑う。
「キミ達はきちんと見分けられるようになるまで、とっちゃダメだよ」
 毒キノコだったら、お腹が痛くなって死んじゃうよ。そう言えば、雛鳥達は怖がってリーバルの手に持ったキノコから大げさに離れていく。そうして雛鳥達が抱えるくらいの量が集まると、兄弟岩に戻ってくる。リーバルは刃の中身が抜かれて軽量化されたナイフを取り出すと、集めた木の実の硬い殻を手慣れた様子で剥き出した。既に割れているものに虫がいないか、腐っていないかを確認すると、剥かれた木の実を出来るだけ平らな石の上に置いた。小さい石を一番小さい雛に持たせると、木の実を砕かせてみる。
「こうやって砕いて粉にするんだよ」
 やってごらん? そう促せば夢中になる雛達の中で、年長の小鳥を捕まえる。
「さぁ、君達はこっちだよ」
 リト族は男女問わず狩りをする。氷に閉ざされたへブラで獣を狩るのは男子が多いが、女子もリリトト湖で魚を獲り大地の恵みを収穫する。然るべき年齢になれば、大人が子供に教えていくのだ。雛鳥達には早そうに見えるが、その翼でどこへでも行けてしまうリト族の性質から、危険な場所や火の起こし方、迷い込んだ時の対処法などをすでに叩き込まれている。
 リリトト湖から突き出た岩の上に降り立てば、太陽の光にキラキラと輝く湖面の下に魚影が見える。黒い影が赤や青といった色鮮やかな鱗を煌めかせ悠々と泳ぐ様を、雛鳥達は岩から身を乗り出して覗き込んでいる。
「よく見ておくんだよ」
 そう雛鳥達に言えばリーバルは岩の上から飛び立ち、次の瞬間湖に落ちる勢いで急降下した。おちる! そう翼で顔を覆った雛鳥達は、羽の隙間からおにいちゃんがどうなったかをおっかなびっくり見た。
 リーバルは両足で立派な鯛を掴み、大きな翼を羽ばたかせて舞い上がった! 湖の水が翼に触れて舞い上がり、キラキラと輝く飛沫を纏って既に遥か上空のリーバルに、雛鳥達は夢中で翼を叩いて大歓声だ!
 おにいちゃん すごい! かっこいい! もういっかい やって!
 ぴよぴよぴよ! 岩の上に戻ったリーバルを囲い込んで、雛鳥達はぽわぽわした羽毛を膨らませて興奮している。そんな雛鳥達を翼で撫でながら、リーバルは湖面を指差した。
「ほらほら。次は君達がやるんだよ」
 そうして、雛鳥達は湖に飛び込んでいった。空気を含んで沈まない体で、お尻とピンと立った尾羽を空に向けて、一生懸命魚を取ろうと格闘している。しかし、雛鳥達の頑張りも虚しく、魚達は放たれた矢のように逃げていってしまうのだった。
「僕のやり方を見てないねぇ」
 しょうがないねぇ。そう笑うリーバルは、雛鳥達を遊ばせるだけでそれ以上を教えたりしなかった。

リーバルくんが良いお兄ちゃんしてるのが見たいだけ!
いや、たぶん、結構面倒見はいいと思う。

更新告知見てくれた人かも!告知した甲斐があります!ぱちぱちっとありがとうございます!!!

 リリトト湖から突き出た岩に蔦を這わすが如く家を作るリト族の集落は、他の種族に比べればずいぶんとこじんまりしている。朝賑やかに階段を昇り降りしていた子供達は、リリトト湖を超えて兄弟岩で遊ぶ。里の大人達はかつて子供だった自分達がそうしてくれたように、兄弟岩で遊ぶ子供達の事をそれとなく見守ってきた。
 リーバルも例外ではなく、飛行訓練場から里に直帰するのではなく兄弟岩を経由して戻るよう心がけている。今日もふくふくした羽毛で膨らんだ雛鳥達が、空を滑空するリーバルに向かって手を振っている。そのうちの一羽が地面にぺったりと座り込んでいるのを見て、リーバルは翼を傾けて高度を落とす。やはり座り込んだままの雛を認め、柔らかい草が旋風に撫でられる中心にふわりと降り立った。
「リーバルお兄ちゃん!」
 まだ餌を強請る甲高い声の雛鳥達が、わっとリーバルに駆け寄る。リーバルは里一番の狩人ではあるが、里のリト族の中ではかなり若い方である。雛鳥達にとってリーバルは凄いけれど、『大人』ではなく『お兄ちゃん』なのであった。
 ぴよぴよ! 群がる雛鳥達を大きな翼で撫でてやりながら、リーバルは座り込んだ雛鳥の前で膝を折った。雛鳥特有の大きな瞳がうるっと涙ぐんでいるものだから、リーバルは怪我がない事を素早く確認して生成り色のマフラーでその涙を拭ってやった。
「どうしたんだい? お腹でも痛いのかい?」
 ぶんぶんと大きな頭が振られると『疲れて動けないってところかな?』とリーバルは思った。雛鳥達が遊び疲れてリリトト湖を超えられないなんて、よくある事である。親が夕食の時間になっても戻ってこなければ、迎えにいって抱えて飛んで帰ってくる事は日常茶飯事だ。
 にいちゃん、あのね! 雛鳥が頭のてっぺんから出たような声で訴える。
「あの おさかな が たべたいの!」
 リーバルの首が、こてんと傾いだ。
 あのね! おさかなは しろいの! こんがり いいにおい! かむと じゅわーって なるの! でもね! しろい おさかなは こんがり ぱりぱりしてるの!
 リーバルを囲んでいた雛達が一斉に囀り出した。
 どうやら、座り込んだ雛鳥に触発されて、全員が『あの魚料理』の嘴になっているらしい。これが夕刻が迫る時間であれば抱えて連れて帰って『親に作ってもらいなさい』で済むのだが、リーバルはそうしなかった。
 雛鳥達の嘴が、すくっと立ち上がったリーバルに釣られて上向く。つぶらな視線の先で、にっと嘴が上がった。
「じゃあ、これから作ろうか?」

久々に新ジャンルの沼に足を踏み入れたのでピクシブとか行ってきたんですが、やっぱり玉石混合で胃がもたれてきちゃいますね。自分である程度作って、消化したほうが胃に優しいのです。

拍手に感謝!パチパチっとありがとうございます!

びっくりした。思った以上に文字数稼いだわ。
私的にギルガラン王子は、めちゃくちゃ俺様で、俺のなす事は全部正解みたいな凄まじい傲慢さというか自信満々さがある。挫折を味わってるユシュカと違って、ギルガラン王子は死ぬまで挫折なんか味わった事なさそうなキャラしてるって感じです。
しかし、聖天郷の本棚の奴を見るに、グリエとの関係は彼に大きく関わってると思う。まぁ、この後のグリエとの関係を思えば、大きくならざる得ないのですが。

それはそれとして、ラーの鏡でゾンガロンの正体明かす必要あった??????ってのが本筋。
ラーの鏡で正体が明らかになる人がこの時代にもう一人いるし、ゾンガロンに変じた経緯を明らかにするというストーリー状況があったでしょうが、それを加味してもゾンガロンの正体なんてギルガラン王子には何の意味もないはずなんですよ。●す相手のことなんか知って何になる?俺は●す実力があるんだからそれでいいだろ???ってのがギルガラン王子なんだと思うんですよ。
これがグリエ王子ならラーの鏡で正体を暴くという、インテリの手続きが必要になるのです。でもグリエ王子はギルガランの贈り物には気がつけなかったし、体の弱さからゾンガロンに接触できていない可能性があるのでグリエ王子に突撃させる展開は難しい。仮に気づいたとして、ギルガランに鏡を託し、正体を暴いて欲しいと頼んでも『必要あるか?』と断られる未来が見える。
まぁ、でも公式では正体暴くので意味を持たせなくちゃなりません。
ギルガランの心を伸ばすエピソードに結びつけました。
意味がないのにしてしまった、それはギルガランの数少ない情の絡んだ行動だと思っています。父がゾンガロンであった事は、ゾンガロン討伐において何の意味もありません。でも、それを知りたがったのは彼の人としての情だと思います。嘘だと望み、真実を知りたかった彼の切なる感情だったと思う。それが、彼の俺様ぶりで全く伝わらないの大変残念です。
この挫折が未来の大王の礎になるのだと、『王とて人』という公式では父を憐れむグリエの諭す言葉ですが、これがギルガランに向けられることで彼の器を大きくするのだと思いました。

 俺はグローリーアックスをゾンガロンへ向けて振り抜いたが、巨大な翼が羽ばたき風圧に圧されて僅かに届かない。振り抜いた時には既に悪鬼は届かぬ頭上に舞い上がっていた。
 笑った大きな口が三日月の形になって闇に浮かんでいた。
「我にとっては有意義だぞ、ギルガラン。貴様の絶望が極上のデザートになるだろう!」
 悪鬼は滑らかに滑空し、瞬く間に鬼岩城唯一の出入り口からするりと出ていった。それを見送るしかできなかった自分は、斧の石突きを地面に突き立てる。頑丈な岩肌がばきりと音を立ててヒビ入ったのを感じていた。
 俺は愚か者だ。
 なぜ、千載一遇の機会を棒に振り、意味のないゾンガロンの正体を暴いてしまったのか。
 この事実を伝えたとして、何の利益があると言うのだ?
 母である王妃ララリアの親友であり腹心の部下であるムニュ大臣は、探し続けた父のその後を知れたとして気分が晴れる事はないだろう。思慮深いグリエは父がゾンガロンに成り果てた事を、憂を帯びながらも受け止めるだろう。
 優しいグリエのことだ、王であった父の苦しみを想像して胸を痛めてみたり、辛い事を共に背負いたかったと綺麗事を言うのがありありと思い浮かんだ。
 父がゾンガロンになったと知って、何の意味がある?
 王は民を守り、国を背負うもの。
 所詮、王の器ではなかった父を殺す役目は俺がする事になるだろう。グリエの優しさも思慮深さも賢さも、父を殺す役には何一つ立たないのだ。
 だが。俺は拳を握り締め、きつく歯噛みした。
 俺は絶好の機会を逃し、ゾンガロンを殺せなかった。滅亡の窮地に立たされていたオーガ族だが、海に身を投じる状況に追い立てられていくだろう。俺は命を賭してでも、ゾンガロンを討たねばならない。
 肺の奥まで凍りつくような冷たい空気を吸い込む。目を開ければ、オーグリードの数多の王国が喉から手が出るほどに欲した大量の清流が滝となって流れ落ちていた。
「どうして俺は、判断を誤ってしまったのだ?」
 真っ暗い中に轟々と響く音が、オルセコの乾いた大地に吹き荒れる風に似ている。あの日、父が『弟』を連れてきた日も、こんな冷たい夜風が吹き込む日だった。
 ギルガラン。弟のグリエだ。
 どっしりとした父の声に促されるように、傍に立つ小さな影を見る。第一印象は痩せっぽちで弱そう、だっただろう。俺と同じ銀色の髪に涼しげな薄氷の色の瞳は大きく、オーガの肌の色であっても筋肉の付いていない体は手折れるような細さだった。檜の棒を振り回す幼い子供よりも頼りなかったが、その瞳が青白い炎のように力強く輝いているのが印象的だった。
 俺にとって最も遠くの異物が、微笑んでいる。まるで見守るように、労わるように、そして寂しげに、眉根を下げて目を細め唇の端がかすかに持ち上がる。
 王とて人ですよ、ギルガラン。
 この世界で唯一俺を諭す声が、寄り添うように響いた。

後半しゅうりょ!!!!!!!!!!

 ゾンガロンの驚きの声が真っ白い光の向こうから聞こえ、徐々に光は薄れて大空洞は夜空のような闇が戻ってくる。大滝の飛沫で濡れた岩肌に残った煌めきが、満天の星のように見渡す限りに広がっている。その僅かな明かりを頼りに、俺は鏡を覗き込んだ。
 そこに映るものに、俺は息を呑んだ。
 鏡にはぎょろりとした目玉と、腕が発達しすぎてバランスに欠いた異形の魔獣の姿はない。艶のない白髪がぼさぼさと顔の上に覆いかぶさり、目深に掛かる前髪の奥に薄氷の瞳がぎらついているオーガ族の男がいる。ゾンガロンの前腕をそのまま嵌めたような隆々とした筋肉、赤い肌は何者をも受付ぬ鋼のような印象を与えた。しかし、前髪に隠れていない口元に浮かんだ笑みは、間違いなくゾンガロンである事を示すような邪悪で残虐を隠そうともしない。頭を口に放り込んだ腕には、かつて真剣に選んだ輝きが嵌まっている。
 俺の記憶とは似ても似つかぬ、憎しみに歪んだ顔。
 それでも、特徴は疑いようもなく似ていた。
「貴様のその腕輪は、父の誕生日に俺が贈ったものだ」
 嘘だと思いたかった。
 王国や部族間の激しい争い。滑落は死を意味する断崖絶壁、全てを凍てつかせる極寒の猛吹雪、渦を巻く激しい海流。強き魔物達。オーグリード最強と名を馳せた王であっても死ぬ理由は沢山あった。父が行方不明になる頃と、ゾンガロンが初めてオーガ族を襲った事が確認された頃が近い。父はゾンガロンに殺されたか、滑落などの事故で死んだのだろうと思っていた。
 しかし、ゾンガロンの腕には幼き日に父に送った腕輪が嵌められている。どんなに意匠が似ていても、見間違える事はない。父が俺の贈り物を身につけているという喜びから、腕輪に付けられた大小の傷の形や数を覚えていたからだ。
 ゾンガロンに殺され、その腕輪を戦利品として奪われたのだと心のどこかで願っていた。しかし、ラーの鏡は俺の願いを真っ向から否定する。ぼぉりぼぉりと無遠慮に頭蓋骨を噛み砕く音が、込み上げる絶望の色を濃くする。
 カラカラに干上がって硬い舌と上顎を動かし、どうにか唾液を出して飲み込んだ。
「貴様は我が父、ゾルトグリンだな?」
 ゾンガロンは『ほほぉ…』と感心ではなく、呆れた声を尖らせた唇の隙間から漏らした。
「気色悪い。ゾルトグリンなど捨てた名よ」
 腕に比べれば短すぎる足を地面につけ、ゾンガロンはもたれ掛かった体を起こした。殺意はなく、ゆっくりと俺の前へ歩み寄ってくる。手を伸ばせば喉を掴めるような距離で、ゾンガロンは俺の顔を覗き込むように見上げた。うっすらと開いた歯の隙間から、鼻が曲がりそうな生臭い血の匂いがする。
「その確認に何の意味がある? ギルガラン、貴様こそ何の意味がない事を知っているだろう?」
 ゾンガロンの言う通りだ。
 行方不明の父がゾンガロンであった事実を知って、何が変わると言うのだ? 父がゾンガロンという獣に身を堕とし、祖国を滅ぼそうとしている未来は変わらない。そこへ至る理由が如何なる内容であったとしても、俺はオルセコの敵を殺す事を躊躇ってはならない。
「我は力を求め力を得た。この姿こそ、我の真の姿よ」
 俺を頭から胸まで丸呑みしてしまいそうな大きな口が開き、腹の中から凄まじい悪臭がする笑い声が暴風となって俺の顔に吹き荒れた。心の底から愉快な笑い声が、悲しいくらいに父ゾルトグリンと重なって聞こえる。
「貴様の父がオーガ族を滅ぼす厄災である事に苦しめ! 悪鬼である我を心の底から憎むが良い! この瞬間我を殺さなかった最悪が、訪れる未来に恐怖しろ!」

ゾンガロンもいっぱい煽ってくるね!
本当にギルガラン王子ってどうしてラーの鏡でゾンガロンの正体暴きに行ったのか謎。
もちろん、腕輪が父親のもので、ラーの鏡で正体を暴けば父親が元に戻るって希望も微レ存ではあるがあっただろう。でも、公式でも正体がわかっても、殺害する意思が揺るがなかったので希望を本当に抱いていたのかは謎なのです。
そうなると、この行動は意味がないと理解しつつ、やってしまったことなのです。
そこは、締めでまとめます。

拍手に感謝!反応遅くなってしまいましたが、ぱちぱちっとありがとうございます!

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