ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
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厚手の布に包まれた平たく丸いもの。太陽神の祝福が施された鏡で、真実の姿を映す『ラーの鏡』という宝だ。父の代に献上され、副葬品として埋葬された一つなら偽物ではあるまい。
手元をちらりと見遣り、ふっと白い息が漏れる。
弟のグリエならともかく、この俺が、こんな回り諄い事をするとは想像もつかなかった。俺の前に立ち塞がる敵は、どんなに切実に命乞いをしようと、どんなに信頼できる存在であったとしても、例外なく冥府に叩き落とすだけだ。
この鏡で真実の姿を露わにしたとして、何の意味があるのだろう?
最低限の警戒をして弛緩した意識の中で、そんな疑念が浮かび上がる。
「デザートはまだ早い」
鼻先を血の匂いが掠める。俺は呑気に思考に耽った意識を引き締め、グローリーアックスを握る手に力を込めた。血潮が駆け巡り、ひんやりと漂う冷気が吹き払われる。
鬼岩城の最も高き場所。オーグリードを滅亡へ追いやる悪鬼ゾンガロンは、轟雷王の玉座に肘を付いて座り、くちゃくちゃと肉を咀嚼していた。足元には肉片がこびり付いた骨が散らかり、夥しい血が滝の水飛沫と混ざってゆるゆると流れている。切断された鬼人の頭を掴んだ腕輪が嵌まった手を下ろすと、不味いものを仕方なく咀嚼しているような顔で俺を見た。
「聞こえなかったか? 我はメインディッシュを喰らっている最中だ」
俺は不快感が込み上げるのを堪えられなかった。
強さには自信があった。魔物達は俺が強敵であると察すれば、いきり立って襲ってくるか恐れ慄いて逃げ出した。例え敵対する王国であれ、俺の力量を見定めようと目を凝らす。戦士であれは強敵に感嘆の声を漏らし、子供や戦えぬ者は憧れに似た敬意を向けてきた。
まるで道端の石のような扱いに、俺は今まで感じた事のない屈辱を味わっていた。そっと喉を通った息は燃える程に熱く、声が怒りに震えている。
「…俺をデザートだと言うのか?」
そうだ。ゾンガロンが鬼人の耳を噛み千切り、噛みながら喋る。くぐもった声の合間に容赦なく咀嚼音が挟まる喋り声は、食らっている命に対する在らん限りの冒涜が詰まっていた。
「邪魔が入って、手駒にした鬼人共が使えなくなった。デザートをどのように美味しく調理するか、じっくりと考えているのだ。見逃してやるから、去れ」
一瞥もくれず爪で目玉をほじくり返すゾンガロンに、俺は叫んだ。
「オルセコは滅びない!」
「そうか、それは良かったな。貴様のように己が国は滅びぬと宣った愚かなオーガ共が、殺し合う様を高みから見物してきた。結果は皆、我の腹の中よ」
爪に刺さった目玉を指ごと咥え、ちゅぽっと引き抜けば唾液が糸を引いた。
「我を殺す機会を、貴様達は幾度も見過ごしてきた。その小さな自尊心を守る為に、な」
正体を知って何の意味がある?
今回のキーワードです。何度も出てきて、ちょっとうんざりしてしまいます。
