ハコの厚みはここ次第!
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■ Profile ■
稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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ゴルガーレンがコドランの優しいミルクのような白いお腹の前に、黒い壺を置いた。白い雪原に穿たれた穴のような壺にゴルガーレンが手を翳すと、壺の中から白銀の輝きが溢れ出す。輝きは矢のように上へ飛び出し、パッと弾けて雪のようにコドランの頭上から降り注いでいく。
白銀の結晶体が赤い鱗に触れると、触れた場所が真っ白く輝いていくの。
本当に人間になっちゃうのかしら! 私は高鳴る胸を押さえながらコドランの変化から目を逸らせずにいた。
仰け反っちゃうくらい大きな体が、雪が溶けるかのように崩れてくる。一瞬翼かと見紛う大きな鰭は、くしゃくしゃと萎んでいってずんぐりとした横幅と一体化した。英雄譚に見るようなドラゴンにしてはずんぐりと大きい輪郭は、今や人間だった私よりも少し小柄なくらいに小さくなってきたわ。
その頃合いを見計らい、同行者が毛皮を裏打ちした針葉樹の葉のような濃い緑の外套を外し光に掛けた。光が薄れてきても外套の闇の中が、ぼんやりと光っている。
「わあっ!」
色の白いほっそりとした腕が、外套の中から出てまじまじと掌をひっくり返している。緑の闇の上に太陽の光のように金色の長い髪が流れ、真っ白い柔らかい女性の輪郭が外套の中で無邪気に跳ねた。
「人間ドラ! ボク、人間になったドラ!」
「ちょっ! 暴れないでください! 外套が落ちちゃうでしょう!」
元がドラゴンなだけあって、女性でも力強いらしいみたいね。非力な同行者を跳ね飛ばし、留金でどうにか体に掛かった外套の下で眩い裸体が丸見えよ! 健康的にふっくらして締まるところは引き締まった、ちょっと羨ましいプロポーションね!
でも、流石に竜では感じなかった寒さも、人間じゃあ堪え切れないわ。一通り喜んだ後は、ぷしゅんとくしゃみがひとつ。自分で自分の体を抱きしめ震える背中に『ほら言わんこっちゃない』と言いたげに、同行者はメラの魔法陣を織り込んだ大きな布を体に巻きつけた。ゴルガーレンも手持ちの皮の巾着袋の中身を空けて、赤くかじかんだ足に靴のように履かせる。
「先ずは獅子門で服の調達だ」
歩き出したゴルガーレンに続こうとした同行者は、雪原に足を突き立てたままのコドランに振り返ったの。可愛らしい女の人になったコドランの顔は、不安げに曇っている。
そりゃあそうよね。いきなり、今までの自分とは違うものになっちゃったんだもの。私だっていきなり猫ちゃんになった時は、どうしたら良いか戸惑って大変だったわ。
コドランは胸に手を置いて、小さく息を吐いた。
「竜の姿じゃ槍で突かれて追い出された場所に行けるドラね。ボクは、本当に人間になったんだドラ…。好きな人を追いかけて隣にいられるってふわふわと、人間として生きていけるかってそわそわで胸がいっぱいドラ」
「もう後悔してんのか?」
ゴルガーレンが苛立たしげに言ったけれど、コドランはぶんぶんと首を振った。
「後悔はないドラ!」
細い脚が雪を踏み締め、ゴルガーレンを追い抜いていく。雪原に薄着の女の子が一人。慌てて追いかけるゴルガーレンの背を、ゆっくりと同行者が続いていく。
外套をコドランに貸してしまったので、私は雪深い地の木の樹皮のような深い茶色の髪に体を押し付け、襟巻きのように同行者の首回りにしがみついている。私の背筋を煉獄鳥の終生の尾羽が撫でるように揺れていた。
温和さを絵に描いたような唇が綻んで、雪原にそっと新月の夜の声色が押し出される。
「君は人間に戻らなくて良かったんですか?」
彼は私が人間だと知っている。でも、私の言葉は彼に届かない。彼曰く『君は人間の言葉で、猫の言葉を真似ているだけなんです』ですって! それでいて、彼は猫とおしゃべりできるのよ! ずるいわ! 私だって猫ちゃんとお話ししたい!
コドランのように人間の姿に戻りたいという気持ちは確かにあったけれど、数日しか生きられないほどに寿命を削られたら困っちゃうわ。私はエテーネ王国国王ドミネウスの娘メレアーデとしての責任を果たす為に、生きて帰らなくちゃならないの。でも、責務を果たすのに人間の姿である必要は必ずしも必要じゃないわ。コドランに示された選択肢のように、変化の杖を使って人々の前に姿を見せる時だけ人間であれば良い。信頼する者達なら、私がどんな姿でも大丈夫って信じているもの。
私の心を見透かしたように、前髪の影に黒くなった瞳が細められた。
「冗談ですよ」
さぁ、彼女も貴女もどんな物語を紡ぐのでしょうねぇ。
楽しそうな独り言に、私はにゃーおと答えた。
公式ではコドランはコンギスと同じ服を着てるし、竜族が竜から人間に戻る時は服着てるってルールのアストルティアの星ですが、ここではコドラン服着てないです!!!!
本当に竜族の竜化で服が弾け飛ぶ設定使いたいんだけど、ダズニフが目が見えないので服の管理を誰かにしてもらうってのがなんとも難題で…。稲野が好きな『うちの使い魔がすみません』では服が吹き飛ぶ設定なんですが、これが毎回竜化するとき大変で大変で。
まぁ、この時のコドランはドレスアップ設定してないってことでよろしくお願いしたい。
本当にドレスアップ強いな。ちょっとしたモシャスの原理使ってるぞこれ。
拍手に感謝!ぱちぱちっとありがとうございます!
