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ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
DQ11小説アンソロジー主催を勢いでしている傍ら、switch購入してバケツを愛でるイカであり、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコがあれば生きて行ける!
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 ワシは驚き、息を飲み込んだ。
 長い付き合いであるカブース大臣とワシしか知らぬ秘密を暴露したというのに、カブース大臣はワシを疑いおった。思い出しただけで腹立たしい限りじゃが、見た目がワカメ王子であってもワシはムーニス。信じて貰えぬことは、心が引き裂かれるほどに辛かった。見ず知らずの男に正体を告げても、信じて貰えるとは到底思えぬ。
 カレヴァンとて、妻と子の無事を確認しても姿を晒すことはせんかった。やはり、魔物の姿を拒絶されることは、恐ろしいのだろう。
「…お主は何者じゃ」
 ワシが絞り出すように声を出すと、カレヴァンがワシの横に蹲り男を睨み上げる。男は少し考え事をした素振りを見せてから、ワシの問いに答えた。
「申し訳ないですが、名乗ることはできないのです。僕は御前試合に招待されたモンスターマスターとして、この国に来ているので…」
 ワシとカレヴァンは雷に打たれたかのように驚いた。なにせ、御前試合に招待するモンスターマスターは、その道の一流であるからじゃ。何かしらの大きな大会で優勝しただけに留まらず、人柄、魔物への対応、モンスターの力を引き出すマスターとしての力量も審査の対象。この冴えない優男は、そんな一流のモンスターマスターなのじゃ…!
 しかし、ここはアストルティアで唯一の公式大会が開催される地。一流のモンスターマスターの滞在が耳に入った瞬間に、民衆が暴動を起こすのではないかという程の熱狂に包まれかねない。招待マスターの秘匿は、最重要機密と等しいのじゃ。
「うぅ! お主が何者なのか、聞けないけど、すっごく気になるぞい!」
「驚かれると思いますよ。僕がモンスターマスターとして大会に出るのって、とても珍しいことですので」
 優男はそう言って笑うと、ワシらを見て、ふむ、と頷いた。
「髭剃り用の鏡があったら貴方がたが何者か分かるのですが、生憎、今は仲間が持っています。貴方がたの容姿が悪ふざけでないとしたら、…そうですね、月の民の遺跡である『クドゥスの泉』を探すと良いでしょう」
 優男はそう言って、美しい声で歌い出した。それは子守唄のような単調で慈愛に満ちた調べと共に、そっとワシらを包み込む。

 月の民とは夜の民
 それらは眠りと癒しを施さん
 新月に祈りを重ね 泉は輝き
 満月に身を浸せば 輝きは身に宿る
 あらゆる病 あらゆる呪い あらゆる不安
 それらは大樹の泉が 洗い流すであろう

「アラハギーロは太陽の民、黄金の砂漠がよく似合います。逆に北方の密林は日中でも薄暗く、夜の雰囲気が似つかわしい場所ですね。密林には多くの遺跡がありますが、特に大きな樹が密林の奥にあるのです。伝説に縋ってみるおつもりでしたら、参考になさってください」
 深々と一礼すると、優男は身を翻し歩き出した。酒場の出入り口に手をかけた所で振り返り、柔らかい笑みを向ける。
「カブース大臣のこと、悪く思わないであげてくださいね。では、ムーニス陛下。お戻りになるのを、待っております」
 気が付いた時には、もう酒場の出入り口には誰もおらんかった。
 招待されたマスターは王宮で国賓として扱われる。カブースならば彼が何者か知っているはずじゃ。
 きっと、カブースは相談したのじゃろう。そして頼んだのやもしれぬ。ワシが困っていたら力になって欲しいと…。


いまだに現役、髭剃り用の鏡。
実際のカブースさんはワカメ王様の状態でも信じてくれるんでいい人です。
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