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ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
DQ11小説アンソロジー主催を勢いでしている傍ら、switch購入してバケツを愛でるイカであり、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコがあれば生きて行ける!
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 アラハギーロのムーニス国王帰還の知らせは、瞬く間にグランゼドーラを巡って行くだろう。
 飛び立った伝書鳩は流れ星のようにレンダーシアの各所に向かって飛び立って行った。調理場は宴の準備に大わらわ。大門から王宮へ徒歩で戻って行ったワカメ王様をもみくちゃにした住人達も、もう帰って来ないと諦め掛けていた王の帰還に砂漠中に響き渡るほどの歓声をあげた。そんな興奮はその日の暮れには夜風と共に冷え始め、とある疑問が頭を擡げ始めた。
 王とカレヴァンという魔物使いの若者が帰ってきた。他の行方不明になった兵士達は…? と。
「本当に真実を告げるつもりなのじゃろうか…」
 ガノさんは神妙な面持ちで、オアシスの上に掛かる橋から王宮と城下町を見ていた。そろそろ床に就く頃合いに更けてきたというのに、酒場には多くの人々がいて酒を交わし、井戸端には女性達が集まって話し込んでいる。王の帰還当日とあって、旅人達もアラハギーロを包み込む不安と興奮に目が冴えてしまっているらしい。
『嘘を言っても仕方がないだろう。でも、受け取り方次第で、この国の在り方が崩れるかもしれないね』
 そう。今回の騒動の発端は確かに魔族が仕掛けた戦争だろう。
 でも、多くの兵士達が帰ってこれなかった原因の殆どが、人間を裏切ってしまったベルムドさんにあるのだ。魔物使いと人間の確執。アラハギーロの住人が魔物使いや魔物に不信感を抱いてしまったら、この国の在り方は大きく変わるだろう。モンスター闘技場は閉鎖され、モンスターバトルロードは開催されなくなる。人々の魔物への理解は遠のき、人々は無知が故に魔物を恐れて行くようになるだろう。
 そうならないようにしたいとは思っている。けど、それは僕達にはどうにもできないことだった。これは、アラハギーロの問題なんだ。
「では、よろしくお願いします」
 そう声が聞こえた先は、固く閉ざされたモンスター闘技場の扉の前だった。見遣れば、薄く開いた扉を挟んで二人の人影がなにやらやり取りをしている。頭を下げたのは、外側にいた影だった。
 扉を閉めてこちらに向かってきたのは人間の男性だ。彼は砂塵避けの外套ですっぽりと体を覆い、帽子に挿した極楽鳥の尾羽を揺らしながら歩いてくる。城下町や王宮に向かうのなら、オアシスの橋を渡るのは当然だ。道を開けるために端に寄った僕達に、男性は小さく会釈し前を通り過ぎていった。
『恐ろしい男だねぇ』
「生きながらに煉獄鳥の尾羽を持って歩けるとは、只者ではあるまいて…」
 魔鳥族の尾羽はその美しさから観賞用に珍重されるが、その取り扱いは非常に難しいとされる。中でも終世の羽根と呼ばれる尾羽は、その鳥が生まれて死ぬまでの間一度も抜けず、高い魔力を蓄た生きた魔法具と称されるほどだ。火喰い鳥なら常に炎に燃え、ホークブリザードなら冷気であらゆるものを凍らせ、煉獄鳥は呪いを振りまく。数多の美姫が、英雄が、その美しい尾羽で身を飾ろうとして、己の体に一生消えぬ傷を付けるというのは物語の定番の演出になる程だ。
 僕は目を眇めて冥界の世界に視点を寄せると、確かに煉獄鳥の尾羽には持ち主だろう鳥の魂が宿っていた。翼を広げれば馬と馬車を連ねた長さに匹敵しそうな、煉獄鳥にしては巨大な分類に属する魂だ。男性の肩に乗って毛繕いしていたが、僕が見ていると気が付いて、フッと息を吹きかけて来た。頬が火で炙られたように感じて、思わずよろける。
「イサーク青年。どうしたんだね?」
「大丈夫。ジロジロ見て失礼だって、お叱りを受けたところ」
 僕らは男が階段を登り、王宮に入っていくまでを見届けた。柔和な笑みを浮かべている男がこちらを向き、ふっと笑みを深くしたのを僕らは見た。

後半は色々考えて詰まるかと思ったけど、現段階では普通に書き終わりそうなので掲載。
何も知らない人が見たら、この人絶対悪役だよねーって感じです。

一応、このブログが上がってる頃合いは寝台特急でごろごろ移送中だと思うんですが、どんな旅だったかは後日ご報告したいなぁと思っています。
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