ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 眉間に皺を寄せたゴルガーレンは真っ白い塊の溜息を吐き出した。
「無理難題と思った道具と素材の調達までやってのけたのだ。今更、出来んと言って諦めるつもりはないのだろう?」
 ゴルガーレンはオーグリード大陸でも、名の知れた呪術師なの。
 呪文は精霊や世界に干渉しさまざまな力を具現するけれど、呪術は体内や魂に干渉し能力を発揮する。遺留品なんかに強い呪術が施されていて呪いを振り撒くから、身につけた者が王宮の出入りを断られる事もあるそうね。呪いといえば人を殺したり、病気になったりと怖い不利益だけれどそれだけじゃない。病気を治す呪い、相手の心を得ようとするのも呪いなの。その為に『のろい』ではなく『まじない』と呼ばれて分けられているわ。
 暗示すら呪いの一種だと言う呪術師もいるわ。
 回復呪文や薬学の認識が低いオーグリード大陸じゃあ、医者みたいな扱いを受けている。ゴルガーレンは多くの病を治し、戦士達の心を蝕む恐怖を追い払ってきた。
 そんな彼について、ある噂が流れた。
 ゴルガーレンは、どんな生き物も望みの姿に変えてしまう。
 その噂を聞きつけ、多くの人が鬼人に成り果てた大事な人をゴルガーレンの元に連れて行ったそうなの。しかしその都度、ゴルガーレンは無理難題を押し付けて追い返してしまう。大事な人の為にと無理難題に挑んだオーガは多かったけれど、この白銀の結晶体をみっちり入れた黒い壺を見つけられずに断念する者が続出したらしいわ。
 結果、心象を悪くしてゴルガーレンの名声は地に落ちてしまったみたいなの。誰も彼が望みの姿なんて与えられないと思っていた中、こうして彼の課題を乗り越える者が現れてしまった。
 じろりと眇めた鮮血色の瞳が、雪深い地の木の樹皮のような深い茶色の瞳を睨む。睨まれた本人は朗らかに笑って見せた。ゴルガーレンは小さく舌打ちをした後、赤い竜を見上げる。
「人間にする前に、大事な確認だ」
 赤い竜はゴルガーレンとしっかりを目を合わせ、小さく頷いた。顔の横の鰭のような器官を大きく広げ、ゴルガーレンの言葉を一言も聞き逃さないよう耳を傾ける。
「俺がこれからお前に施す呪いは、望みの姿を与える代償として使用者の寿命を大きく削ってしまう」
 竜の黄金色の瞳が、意味を良く理解できずに瞬いた。
「俺は姉を鬼人からオーガに戻す為に、この呪いを施した。姉はオーガに戻ったが、数日と生きる事は出来なかった。お前が人間になれたとして、何年も生きられる保証はない」
 ゴルガーレンの視線には『それでも、やるのか?』という問いが込められていた。
 なるほど。これがゴルガーレンが無理難題を押し付ける形で断っていた理由なのね。
 きっと、後悔をしているのでしょう。
 鬼人になってしまったお姉様は、残る理性の中で切実にオーガに戻る事を望んだに違いない。それを叶えたゴルガーレンの行いは正しかったし、お姉様は取り戻したオーガの姿に涙ながらに喜んだでしょう。理性が野生に食い潰され己が己で無くなっていく恐怖を、野生を受け入れ生きる難しさを、ドランドの鬼人達と共に過ごしたからこそ良くわかる。
 しかし、その呪いはお姉様の寿命を残り数日にまで削ってしまった。それはゴルガーレンの予期しない事だったのでしょう。
 それでも、私はお姉様はゴルガーレンに感謝したと思う。
 そして、独り弟を残す後悔はあるけれど、決して恨む事はないわ。
 私もお姉さんだから、分かるの。
 コドランさん。同行者が真摯な声で赤い竜へ呼びかけた。
「僕からも、最後に確認しましょう」

まじないしのローブセットは彼が発端なのではというくらい、プレイヤーが遭遇する初めての呪術師です。魔界のマッドサイエンティスト呪術師ちゃんが出て霞みがちだが、運用的にゴルガーレンさんのほうがまじない師として正しいと思ってます。

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