ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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人間? 予想外の言葉にグリエ様の大きな瞳が、殊更大きく見開かれた。
種族神ガズバラン様によって創造されたオーグリード大陸に住まうのは、殆どが種族神によって生み出されたオーガ族だ。悪鬼に蹂躙されている現在において、訪れる他種族はおらず、定住した他種族も故郷に逃れるなどして両手の指の数居るかどうか。
アタイもオルセコに滞在する三人の人間を真っ先に尋ねた。しかし、三人はずっとオルセコの民を守る為に滞在してくれていたし、黒猫を連れた人間を知らないと返された。国を守る為に留まってくれた恩人の言葉を疑うつもりはない。
そして、報告にはまだ続きがある。
「その人間は鬼人達と普通に話して、鬼人達もその人間相手だと普通なんだって。襲ったり殺したりしないで、太鼓に合わせて踊ったり楽しそうにしてたんだって」
報告を終えた兵士達は、その妙に癖になる太鼓と踊りを詳細に覚えていた。アタイも実際に見させてもらったけど、胸の奥が熱くなって体が疼くような不思議なリズムと踊りだ。
それから半日程度しかまだ経っていないってのに、あちこちから太鼓の音と楽しそうに踊ってる声が聞こえて流行の速さを実感してる。まぁ、国が平和そうで何よりなんだけどさ。
そんな事より、驚きなのは獣程度の知性の鬼人と意思疎通してるって事だ。
「獣に成り果てたはずの者達が、その理性を保っている…」
小さくか細いオーガの若者が、何一つ見逃すまいと薄氷の瞳を燃やして真実へ目を凝らしている。討伐から逃れる為、空白地帯を目指す判断力。鬼人と意思疎通出来る人間。太鼓と踊りという文化的行動。ゾンガロンの脅威に滅亡にまで追い込まれている今、その奇異な状況は、決して見逃してはならない希望への手掛かりに思えていた。
僕は。グリエ様は噛んで含めるように言葉を紡いだ。
「オーガ族誕生にまつわる神話に関わる、ガズバラン様の御印を探していると言いましたね」
アタイは小さく頷いた。
オーガ族の神話の最初の言葉は、かつてのオーガ族は魔族と変わらぬ粗暴な怪物であったと伝えられている。ガズバラン様はそんな怪物に御印を授けられ、ガズバランの子として生きる事を選んだ現在のアタイ達へ繋がっている。
グリエ様はオーガ族を鬼人に変えるゾンガロンの力が、御印を授かる前の状態に回帰させるものだと推測していた。ガズバラン様の御印があれば、失った心を取り戻す事ができるかもしれない。
それは、なんの根拠もない希望だ。神話に語られたガズバラン様の御印が現在にあるかも分からない。そんな事をギルガラン様に打ち明けたとして、まともに取り合ってはくれないだろう。だからグリエ様はお一人で、国務の間に細々と探しておられたんだ。
「その人間。ガズバラン様の御印と、何か関係があるのかもしれません」
『ムニュ大臣。オルセコをお願いします』言うのももどかしく、グリエ様が立ち上がる。オルセコに留まらず大陸全土のオーガ族の命運を背負う気概が、この細い体から猛火となって迸っていた。
あぁ、ララリア。アタイは恩人であり親友であった美しい娘を想う。
オーグリードで最も強き王は、その優しさに惚れ込み唯一の妃とした。敗れ死ぬはずだった運命を、その優しさで幾度も変えて多くの力をオルセコにもたらした。そして、その優しさは子供の一人へ確実に受け継がれ、オーグリードの命運を変えようと立ち上がろうとしている。
「僕は北へ行きます」
兄弟がそれぞれに旅立つ。
滅びゆくオーガ族を救う為に。
よぉし!!!!!!!!
前半終了!!!!!!!!
