ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 へぇー。赤い竜が大きく目を見開いて、くりんと体を傾けた。
 大きな双眸が見守る先で、同行者は集落で借りてきた鍬を金髪に差し入れた。鍬。それもそのはずで、完全に裏返ったシルバリヌスの白目だけで、今の私の身長と変わらないんだもの。豊かなシルバリヌスの金髪なんて、人間の姿だった私が横になっても余るくらい長い。そっと櫛の要領で金髪を梳くと、鍬に白銀の煌めきが引っかかっているわ。
 小さいものならちょっとした木の実くらい。大きいものなら男性の握り拳くらい。複雑な雪の結晶が知恵の輪のように絡み合った白銀の塊は、同じものが二つとなくてとても綺麗ね。大小様々な結晶を乗せたグローブを、私達は覗き込んだ。
「髪に付着した雪とシルバリヌスの魔力が結合し、白銀の結晶体となります。結構大きく育ってしまうと髪の毛を切る事になってしまうので、手入れを欠かす事はできないんですよね」
 とあるところに、ものぐさなシルバリヌスがいました。
 そう同行者は魔物が闊歩し、純白の死神がうろつく極寒の地で呑気に語り出したの。
 彼はシルバリヌスの象徴である金髪に石のような結晶体をぶら下げて、仲間からは『だらしのないやつめ』と笑われていました。しかし、一年、二年。笑っても、叱っても、何もしないものぐさに、ついに誰も何も言わなくなってしまいました。それを快適と思っていたシルバリヌスの頭には、大岩にまで育った結晶体がこびり付いていました。
 そして、ある日。
 ついに重さに耐えかねて、ごっそりと見事な金髪が抜け落ちてしまったではありませんか!
 大きく禿げた金髪に、仲間達は雪崩も起きよと笑い転げました。流石の面倒臭がりも、種族の象徴である金髪が無惨な有様に声も出ません。仲間の嘲笑に震え、誰も見られぬよう洞穴の中に逃げ込んだのです。
 そして天罰か、ものぐさのシルバリヌスに二度と金髪は生えることはありませんでした。
「アストルティアの魔物達は、この話に笑っている場合じゃありませんけどね」
 遠巻きで見る分なら綺麗な金髪だったけれど、間近で見るとうねって絡んで下手をすると結びついてる。ちょっとした小話を語る同行者は汗だくで鍬を引き、どうしてもダメな所はナイフで切り取って整えていく。ようやく美しく真っ直ぐな金髪になって、体が温まって襟元を緩めた同行者は腰を伸ばした。
「元が雪の結晶なので気温の変化ですぐに溶けてしまい、衝撃にすぐ破損するほどに脆い。存在自体知られていない希少な素材です。完全な状態であれば、それに越したことはないでしょう?」
 ねぇ、ゴルガーレンさん?
 同行者に声を掛けられ方を向けば、少し離れた所で成り行きを見守っていた壮年のオーガ族が一人。赤とグレーに染めた呪い師のローブセットから、魔法を用いる職種だとわかるけれど、王立アルケミアでは絶対にいない立派な体格ね。白髪混じりに雪がこびり付いてボリュームが増した口髭を指で払いながら、真っ黒いおどろおどろしい壺いっぱいに溜まった白銀の結晶体を覗き込む。
 そんなオーガ族の男の上から、赤い竜が嬉々として言う。
『ゴルスラ! …じゃなかったドラ。えーと、ゴルバ! …じゃないドラな。えっーと、ゴルなんとかのおっさん! これで、ボクは人間になれるドラ?』
 ゴルガーレンと呼ばれたオーガは渋い顔で頷いた。名前もちゃんと覚えてなくて、さらに『おっさん』と呼ばれたら誰だってショックよね。

実はゴルガーレンさん、めっちゃ誤字ってましてね。検索しようにも名前がうろ覚えで引っかからないとか地獄見てました。
終盤もゴルガーゲンになってたりとかして、めちゃくちゃでしたよとほほい。

拍手に感謝!早速ぱちぱちっとありがとうございます!!

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