ハコの厚みはここ次第!
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稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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 警告を受けても、いつだって逃げる機会がある。そう、私は自惚れていた。
 ワグミカが辞表を王国に叩きつけ、『時の指針書』を焼き払い、夜逃げ同然に自由人の集落に降った。人伝に聞いた話では、酒の溺れて廃人になっているそうだ。彼女は全てを賭けて抗議し、敗北したのだ。
 その後、私の『時の指針書』に王立アルケミアの所長になるよう書き込まれた。
 願ってもない栄誉だった。
 錬金術師なら誰もが一度は夢見る、王立アルケミアの所長の椅子に私は嬉々として座った。最高の座り心地で、権力も名誉も思うがまま。王都の美女達も所長の肩書きに、黄色い歓声をあげて持て囃した。故郷からエテーネ王国最高位の錬金術師誕生したという、吉報を伝えられたのが何よりも嬉しかった。
 研究は変わらず続けられ、魔法生物が生き物の魔力を収集し、保管し、放出するという一通りの成果が得られた頃から全てが狂い始めた。魔法生物研究の部門と連携し『時の指針書』の方針に従って、強固な魔法生物に私の研究結果を組み込む事になった。
 その魔法生物を見て、私は血の気が引いた。
 魔法生物の手には身の危険を感じる程に鋭い爪が生え、人間を遥かに上回る巨体を有していた。思わず後ずさって見た顔らしき部分には、目も鼻も口すらなく、巨大な丸い玉が嵌まっている。魔法生物は動物や魔物に似せた姿形をさせるが、これは魔物でも機械という鋼で出来た系統に似ていた。何をモデルにしたのかと問えば、お告げの通りに作ったと答えが返ってくる。
 魔法生物の頭から生えた角に、私の研究成果である魔力を保管する器官が宝石のように光を反射した。
 私の研究成果がどう使われようとしているのか、一目瞭然だ。
 培養液に浸っていながらに脅威を感じる存在が、人々に幸せを齎すなど想像もできなかった。その鋭い爪は私達を引き裂く為に存在したし、屈強な足腰は私達を追い詰める為にある。その尾は障害となる全てを薙ぎ払い、どんな抵抗も鋼のような外装に弾かれてしまうだろう。
 逃げようと思った時には全てが遅かった。
 一足先にアルケミアから降りた研究者は、数日のうちに死亡したと知らせが届いた。消されたのだと、私も逃げ出そうとすれば殺されるのだと瞬時に理解した。
 『時の指針書』に魔法生物を改良し増産せよ、と書き込まれるようになった。
 それに従っている間は、殺されるのを免れる。『時の指針書』は私が生き延びられる、最善の未来を知らせてくれているのだ。私は『時の指針書』に従い、魔法生物を生み出し改良していった。口封じに殺される未来など、書かれてなどいなかった!
 私の足は疲れに縺れ、何もない廊下で転倒した。
 もう少しで先進研究区画に着くからと、握りしめていた鍵が床に転がって音を立てる。床に押し当てた腹から、私を追いかけてくる複数の足音が這い上がってきた。この王立アルケミアを襲撃するものの足音ではない、軽やかな人間のものだ。
 肘を床に突いて上半身を捻れば、二人の人間と猫耳の魔法生物らしいものが向かってきていた。明らかに錬金術師ではない出立ちと、手にした武器に確信する。
 あれは私の口を封じ、証拠を隠滅させる為に差し向けられた殺し屋だ、と。
 赤い猫耳の魔法生物が、次の瞬間鳥のように滑空し頭上を飛び越えた。遥か先に小さく見える先進研究区画の扉を遮るように、ぬいぐるみのような体が立ち塞がる。赤い毛並みと、ぽってりとした尻尾は、レンダーシアの外で暮らす他種族を模した姿だ。
 愛らしい仕草で首を傾げ、スライムの口の形に開いた口が舌足らずな声を紡ぐ。
「おじちゃん、どーして逃げるんだよ?」
「どうして? 貴様らが一番良く分かっているだろう!」
 如何にも無害そうな体を装ったとて、このヨンゲは騙されんぞ!

公式では精神エネルギーを収集するんですが、この精神エネルギーってのが私の中で噛み砕けていなくてですねぇ。公式では主人公の精神エネルギーが莫大であったから、吸収量を凌駕し異形獣が逆にぶっ倒れたという経緯があります。
しかし、この精神エネルギーというのが何なのか。
ちなみに日本語直訳する『精神力』は実現に至らしめようとする集中力と解釈してる。
エテーネの民が持つ時渡りの力って、血統で引き継がれるので良いと思う。血統から精神に流れ込む時渡りの力。うーん。これだったら魔力で説明よくない?ってなるんですよね。
ちなみにハコの開きにおける魔力解釈も精神力に似たようなものなので、自分が混乱しない為にも魔力と表記しちゃう。バージョンが進んで精神エネルギーが正しい表記として受け入れられるようになったら、しれっと直すと思います。

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