ハコの厚みはここ次第!
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■ Profile ■
稲野 巧実
『ハコの開き』の管理人。
様々なゲームに浮気しつつ、アストルティアに度々出没する駄目社会人。ルアム【XI881-625】で冒険中。エンジョイ プクリポ 愛Deライフ! 貴方の旅に光あれ!
行動してから後悔しろが信条の体育会系思考。珈琲とチョコと芋けんぴがあれば生きて行ける!
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その日、先代国王陛下はお戯れにも、王位継承権を入れ替え主を次期国王に任命しようと仰られたのです。唐突の発言に、春の穏やかな昼下がりの空気は凍りついた。
その理由を先代国王陛下は明言しなかった。
先代陛下には二人の男児がいた。現国王のドミネウス様と、我が主であり王弟のパドレ様だ。共に優劣つけ難い優秀な方々であったが、強いて差を挙げるなら時渡りの力であろう。パドレ様は特に強いお力を持っており、その力で自分の剣先を読み、民に降りかかる災害を事前に言い当てる程であられた。
パドレ様も驚きに目を見開き開いた口が塞がらなかったが、パドレ様の兄であるドミネウス王子の驚愕の顔は今でも忘れられぬ。見開かれた目は見る見るうちに充血し、厳しい顔のこめかみに血管が浮き上がって脈打っていた。真一文字に閉じられた口の中で、歯を噛み締めていると分かり、ぶるぶると体が小刻みに震えておられた。
縁起でもない。パドレ様は兄君の様子に気が付かれぬまま、父王の発言を笑い飛ばされた。
『父上には、まだまだお元気でいてもらわなければなりません』
その一言に家臣達は『御隠居を考えられるとは、王もついにご年齢を実感されましたか』と笑って濁すことに成功した。この時の先代陛下のお言葉が、どこまで本気であったかはついぞ知れなかった。
しかし、父王のお言葉はご兄弟に暗い影を落とされた。
主の苦悩は深くあられた。
『時渡りの力とは、それほどに優れたものなのか?』
兄であるドミネウス様を、パドレ様は弟という贔屓目を抜いて尊敬しておられた。ドミネウス様は幼くして神童と呼ばれる知識と、聡明さをもっておられた。恵まれた体格は武勇に優れ、魔法も剣も一流であられる。地上に住まう民の暮らしに、王族の誰よりも親身に寄り添われていた。それらを正しく使う為に、並々ならぬ努力を重ねておられる事をパドレ様は父である先代陛下よりも理解しておられたのだ。
時渡りの力などなくても、良き統治が行われる国はいくらでもある。
だからこそ、時渡りの力の優劣で王位継承順位が変動する事に、ドミネウス様よりも憤りを感じておられた。
ドミネウス様の御即位を知っておられれば、間違いなくパドレ様は王国で最も喜ばれただろう。
即位前より兄がこの王国をより良く統治してくださると、自分が嫉妬するほどの信頼を寄せておられた。黄金の王冠を戴き世界で最も偉大なる王の姿を体現せしめたドミネウス新国王は、パドレ様が望んだ未来であった。
将来は兄の傍に立ち、王国を支え、愛する妻と子と穏やかな日々を過ごす事を望んでおられた。それは行方不明な現在、叶わずにいる。しかしドミネウス様は弟であるパドレ様の願いに報いる為、王政に励んでおられると思った。
「なんということだ…」
怒りが込められた指先に、ヨンゲの『時の指針書』がみしりと音を立てる。
パドレ様の信頼を、こんな早くから裏切っておられたとは…!
ファラスさんの主はこれくらい思うやろってことで。
名前を隠しても別段今後には影響ないかなということで、パドレさんのお名前も解禁です。このエピソードはジェリナンから聞かされるのですが、噂や憶測でものを発言しているように見えなかったので意外と多くの人の間でぺろっと出た発言なのかなぁと思います。
リンジャーラさんが狂う程に良い人らしいですが、まぁ、たぶんうちはそうなりません。残念な主になる予定です。
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